個人年金保険とは?|個人年金保険の仕組み

個人年金保険とはその名の通り、個人で年金を受け取れる保険商品です。契約時に定めた年齢から一定期間、もしくは一生涯にわたって年金が受け取れる保険で、公的年金だけでは不安な方、退職から年金が支給開始されるまでの生活費を準備したい方に向いています。

単に個人年金保険と言っても、受け取り方には種類がありますので、まずは個人年金保険の仕組みについてご説明していきます。

個人年金保険には3種類の受け取り方がある

受け取り方1:終身年金タイプ

終身年金は、被保険者が死亡するまで一生涯年金が支払われるタイプです。個人年金が一生涯受け取れることは安心ですが、その分保険料も高めに設定されています。また、万が一早く亡くなってしまうと、それまで払い込んだ保険料を下回ることも考えられます。

受け取り方2:確定年金タイプ

確定年金は、決めれられた期間、個人年金が受け取れるタイプで、通常5~15年の期間が設定されます。万が一この期間内に被保険者が亡くなってしまっても、遺族が個人年金を受け取ることになり、原則的にそれまでの保険料が受取額を下回ることはありません。個人年金保険では、この確定年金タイプが主流になっています。

受け取り方3:有期年金タイプ

有期年金も確定年金と同じように決められた期間だけ個人年金が受け取れるタイプです。確定年金と違う点は、被保険者が亡くなった後に個人年金は受け取れなくなります。ですので、期間内に亡くなってしまうと元本割れも考えられます。一方では、保険料が安いのが特徴です。

個人年金保険の仕組み

それでは、これらの内容を踏まえて、個人年金保険の仕組みを解説します。まずは以下の図をご覧ください。

支払い期間は死亡保障付き

まず左の部分が保険料の払い込み期間ですが、この間はそれまでに払い込んだ分と同額の死亡保障が付きます。ただ、この金額は通常の死亡保険に比べると、額も低いことがほとんどですのでこれだけでは安心できません。

個人年金受給開始

保険料の払い込みが終了し、受給開始になるといよいよ年金を受け取れます。55~75歳から受け取り開始になることがほとんどです。

個人年金受給期間

受け取り開始後は、それまでに払い込んだ保険料を分割して受け取っていきます。受取期間については上記でお伝えした通りです。

保険料の支払い方

個人年金保険は、保険料の支払い方もいくつかの種類があります。

支払い方1:分割払い

月払い・半年払い・年払いのいずれかの方法で個人年金保険を支払う方法です。一般的に、月払い、半年払い、年払いの順で保険料が安くなります。

支払い途中で解約すると元本割れをしてしまう場合があります。個人年金保険は長期間の支払いが必要となる保険のため、申し込みの際は、確実に支払える金額に設定しましょう。

なお、生命保険文化センターの令和3年度『生命保険に関する全国実態調査』では、個人年金保険加入者は平均して月額約1万7,167円(年間20.6万円)を支払っています。必要な老後の資金は人それぞれですが、ひとつの目安として参考にしてください。

支払い方2:全額一括

保険料を一度に支払う方法で、一時払いと全期前納払いがあります。一般的に、分割払いより保険料が安かったり、年金額が高かったりと優遇される傾向があります。

運用方法

個人年金保険の運用方法には定額型と変額型があります。

運用方法1:定額型

契約時に決められた予定利率で運用するタイプです。年金額が確定しているので、安心感があります。

運用方法2:変額型

投資信託などで保険料を運用する保険商品です。運用次第で受け取れる年金額が大きくアップする可能性がある一方で、元本割れのリスクもあります。

運用の種類

保険料の運用方法には、円建てと外貨建てがあります。

運用の種類1:円建て

従来型のベーシックなもので、保険料は円で支払い受給時も円で受け取ります。

運用の種類2:外貨建て

米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国の通貨で運用する保険で、受け取れる年金額は外貨の為替で変動します。

外貨で運用することで、安全性と収益性の両方を兼ね備えられます。とは言っても、のちに日本円が高くなった場合、日本円に戻す際に損をしてしまうケースもあります。

個人年金保険のメリット・デメリット

このような個人年金保険ですが、どのようなシーンで役に立ち、どのような注意点があるのでしょうか。こちらでは、個人年金保険のメリット・デメリットをまとめてみました。

個人年金保険のメリット

メリット1:銀行の利率よりもいい

現在、銀行の普通預金にお金を預けていても利息は全くと言っていいほど付きません。銀行にお金を眠らせているくらいなら、個人年金保険を利用したほうが老後の備えになります。

メリット2:老後の資金を準備できる

若い間は老後の備えがおろそかになりがちです。しかし、個人年金保険は、自動的に毎月貯蓄をしていく形になりますので、きちんと資産形成ができます。

メリット3:個人年金保険料控除が受けられる

個人年金保険で支払う保険料は、個人年金保険料控除の対象になります(一定条件を満たすもの)。会社員は、年末調整で申告することで、所得税と住民税が一定額抑えられます。

例えば、年間8万円超(年間8万円は、月額ならば約6,667円以上の保険料)の個人年金保険料を支払った場合、所得税では4万円、住民税では2万8,000円の所得控除を受けることが可能です。

※これは平成24年1月1日以降に締結された保険契約に適用される金額で、それ以前のものは異なる金額になります。

控除の条件として「保険料払い込み期間が10年以上であること」などいくつかの条件がありますが、上手に活用すれば個人年金保険をお得に利用できます。

個人年金保険のデメリット

デメリット1:途中で解約したら元本割れになる

まず、最も大きなデメリットは解約してしまうと、元本割れを起こしてしまうことです。解約の際は、解約返戻金が支払われますが、払い込んだ保険料を下回ることがほとんどです。

家計が苦しくなった場合や、ローンなどでどうしても他の支払いをしなければいけない場合などあるでしょうが、やむを得ない場合を除き、解約は控えるようにしましょう。

デメリット2:保険会社が破綻したら保障が一部カットされてしまう

個人年金保険は、長きにわたって関わる保険商品ですが契約期間中に万が一保険会社が破綻してしまったら、保障額・個人年金額が一部カットされる可能性があります。「生命保険契約者保護機構」によるバックアップがあるので、保障の全てを失うことはありませんが、万が一の事態になってしまうリスクはデメリットです。

銀行にお金を預けていても、他の投資商品を持っていても同じことが言えるのですが、運営元が破綻しまうと利用者にしわ寄せが来てしまいます。その会社の運営が健全であるかどうかを気にして契約することでいくらかリスクを減らせるでしょう。

保険会社が倒産する事態は想像できませんが、実際に起こりうる事態です。以下の記事では、保険会社が倒産した実例や対策などをお伝えしています。

個人年金保険は長期間にわたってご自身を支えるものですので、しっかりとリスクを把握しておくことが大切です。

個人年金保険料控除のいろは

この章では、個人年金保険料控除について以下のことをお伝えします。

①個人年金保険料控除の概要

②控除額の計算方法

③控除対象となるための条件

個人年金保険料控除とは

個人年金保険料控除とは、一定の条件を満たした状態で個人年金保険に加入している場合、1年間の支払い保険料の金額に応じて所得控除を受けられる制度のことを言います。

控除額の計算方法

年間支払い保険料等に応じて控除額は変わります。年間支払い保険料等とは、その年の1月1日~12月31日に支払った個人年金保険料から、その間に受け取った剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額を指します。(以下は平成24年1月1日以降に契約したものの場合)

所得税
年間支払い保険料等 控除額
2万円以下 支払い保険料等の全額
2万円超~4万円以下 支払い保険料等×1/2+1万円
4万円超~8万円以下 支払い保険料等×1/4+2万円
8万円超~ 一律4万円
住民税
年間支払い保険料等 控除額
1万2,000円以下 支払い保険料等の全額
1万2,000円超~3万2,000円以下 支払い保険料等×1/2+6,000円
3万2,000円超~5万6,000円以下 支払い保険料等×1/4+1万4,000円
5万6,000円超~ 一律2万8,000円

個人年金保険料控除の対象になる要件

個人年金保険料控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

個人年金保険の加入率

個人年金保険は、具体的にどのくらいの人が加入しているのでしょうか?

生命保険文化センターが行った調査(令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」)によると、下記のような結果となりました。50代、60代では4分の1以上の方が個人年金保険に加入していることが分かります。

(参考:令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」

中年以降は老後の生活を見据えて加入する人が多いですが、20代、30代はそこまでの必要性を感じていないようです。所帯を持っていない人は特に、個人年金保険のみならず生命保険そのものに興味や関心が低いのが現状です。

なお、「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」(総務省統計局)によると、老後の1ヶ月の支出は以下のようになっています。

独り暮らしの場合、年間では「15.5万円×12ヶ月=186万円」の費用がかかります。65歳で定年退職し、80歳まで生きると仮定すると、(80歳-65歳)×186万円=2,790万円必要です。

これにプラスして、余暇を楽しみたい場合は旅行費や趣味のお金がかかります。また、高齢になるにつれて病気になるリスクも高くなりますので、医療費なども必要になるでしょう。

年々徐々に上がっていく物価の上昇にも対応しなければいけません。そのため、資産運用をしたり、個人年金保険を活用したりして、まとまったお金を用意しておきたいところです。

個人年金保険への加入を検討すべき人の特徴

個人年金保険は、以下のような人にこそ向いていると言えるでしょう。

加入を検討すべき人1:お金を個人年金保険によって半強制的に貯めたい人

個人年金保険の保険料は、預金口座やクレジットカードから自動で引き落としになります。お金があるとあるだけ使ってしまい貯蓄ができない方は、個人年金保険を解約しないことでコツコツと、半強制的にお金を貯められます。

加入を検討すべき人2:老後のための資産形成に興味があるがリスクを取りたくない人

老後のための資産形成の方法には、保険だけではなく投資も有効的です。しかし、元本割れが怖いのでリスクを取りたくない…でも銀行に預けるよりお金を増やしたいという方に向いています。

加入を検討すべき人3:個人事業主

自営業、個人事業主の方は、会社員とは異なり厚生年金がありません。つまり、将来受け取れる年金もその分少なくなるということです。

老後を考えた場合に、国民年金に保険料を上乗せして支払う国民年金基金に入っておくという手段もありますが、将来受給額が減ったり受給年齢が引き上げられるリスクがあります。このリスクのカバーを目的として、民間の保険である個人年金保険への加入も検討してみるべきでしょう。

個人年金保険に加入した場合の保険料シミュレーション

個人年金保険に加入した場合にかかる保険料は、年金の受給金額や受取期間などによって決まります。まず、保険料を決めるために以下のことを行う必要があります。

・老後の月々の生活費を予測する

・年金支給までに準備しておきたい額を予測する

・年金受給期間を決める

・年金受給開始時期を決める

など、ここでお伝えしたのはほんの一部です。

【年代別】個人年金保険の選び方

少し見方を変えて、現在のあなたの年齢から個人年金保険の選び方をアドバイスします。参考としてご覧ください。

20代:分割払いでコツコツと

この年代は最も加入率が低いですが、若いときに加入することで払込期間を長くできるため、月々の保険料負担を軽減できます。

30代:ローリスク・ローリターンを念頭に

こちらも20代と同様、保険料が安い時期です。この年代の方は、まとまったお金のある年代だと思いますので、余裕のある方は変額型や外貨建てなどの保険商品に加入することを検討されてもいいかもしれません。

一般的にローリスク・ローリターンの投資は長い期間をかけた方が資金が増えやすいと言われています。他の人が加入していないからこそ長く運用するチャンスです。

40代:現在の経済状況に合わせて

実際に個人年金保険に加入される方は、この年代の方が多いと思います。職業や配偶者・子供の有無など、ライフスタイルも定まりつつある時期ですので、それに合わせた保険に加入しましょう。

例えば、厚生年金に加入している会社員で、退職金も見込める場合は支払い期間が一定期間の「確定年金」を、個人事業主は亡くなるまで支払いが受けられる「終身年金」を選ぶといいでしょう。40代は年金受け取りまでに時間があるため、支払い方法は分割払いがおすすめです。

50代:返戻率を上げたいなら一時払いで

年金を受け取るまでにあまり時間がないため、商品の選択肢は減ります。しかし、若いときに加入するより途中解約する可能性は低いです。いい商品があれば、ぜひ加入を検討してください。分割払いも選択可能ですが、返戻率を上げるためには一時払いがおすすめです。

60代:一時払いで

高齢化の影響で、現在では加入可能年齢が70歳まで対応している個人年金保険も登場しています。保険料の支払い方は一時払いがほとんどで、まとまったお金が必要です。

最後に

公的年金の保険料を支払うことは国民の義務ですが、老後の自分と家族のために、資産運用は必須の時代になってきたと言えます。資産運用のひとつの方法として、ローリスク・ローリターンの個人年金保険は有効です。様々な金融商品と組み合わせながら、加入を検討していきましょう。

また、老後の備えは個人年金保険だけではありません。様々な観点から老後の資産運用の提案をしてくれるプロに相談してみることをおすすめします。

※2023年9月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以

老後にかかる費用を計算する3ステップ

そもそも、老後生活に一体いくらかかるのか、検討をつけなければ話が進みません。読者の皆さんは年齢も収入も様々かと思いますが、下記の図式を参照して老後にかかる費用を計算してみましょう。

ステップ1:老後の生活水準の変化を把握する

生命保険文化センターの令和4年度に公開された最新版の『生活保障に関する調査』によれば、自分の老後が経済的にどのように変化すると考えているかを見ると、

つつましい生活:63.9%
同程度の生活:26.5%
経済的に豊かな生活:2.3%

となっており、多くの方が今より贅沢をせず、つつましい生活をしていくであろうと思っています。65歳で収入が途絶え、年金生活をしていくのであれば、当然と言えば当然の回答かもしれませんね。

参照:『令和4年度 生活保障に関する調査|生活保険文化センター

ステップ2:老後にかかる最低日常生活費用の相場を把握する

夫婦2人で老後生活を送るための最低日常生活費を尋ねる調査では、以下の平均額と割合になりました。

平均額:23.2万円
20~25万円未満:28.3%
25~30万円未満:14.3%
30~40万円未満:19.1%


引用元:令和4年度 生活保障に関する調査|生活保険文化センター

「20~25 万円未満」と回答した人が最も多いですが、「わからない」と回答した人もたくさんいます。

ステップ3:上記の情報を把握した上で、老後生活に必要な金額を計算する

老後の生活にかかる費用の計算式は下記の形で求めることができます。

・平均寿命(※) − 65歳(もしくは退職年齢)= 老後生活の期間(年)
・毎月の生活費 × 12(ヵ月) × 老後生活の期間 = 老後にかかる費用
※平均寿命は男性約81歳、女性約87歳(令和4年簡易生命表より)

例えば、男性の平均寿命を81歳で計算すると老後の生活期間は16年です。次に毎月の生活費は、最低生活基準である23.2万円の場合と、”ゆとりある老後生活”を送るために必要な生活費の37.9万円の場合にわけて見ていきましょう。(参照:「ゆとりある老後生活費」)。

【最低資金の場合】23.2万円 × 12ヶ月 × 16年 = 4,454.4万円
【ゆとりある生活】37.9万円 × 12ヶ月 × 16年 = 7,276.8万円

いかがでしたか。想像よりも高い、驚くような数字が出たと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、そもそもこの『ゆとりある生活』とは一体どのようなものなのでしょうか。

補足:ゆとりある老後生活費では月々平均37.9万円かかる

ゆとりある生活を送りたい場合は、最低日常生活費だけでは足りない場合があります。

生命保険文化センターの令和4年度「生活保障に関する調査」によると、老後のゆとりのための上乗せ額の平均は14.8 万円でした。

最低日常生活費の平均23.2万円と合算すると、37.9万円(※サンプルごとに合計した値の平均値)と公表されています。(参考:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」)


引用元:令和4年度 生活保障に関する調査|生活保険文化センター

平均額は前回の調査のときよりも増えていることがわかります。

上乗せ金額の使途とは

ゆとりのための上乗せ額は、具体的に何に使いたいと考えているのでしょうか?使途に関する回答結果は以下です。


引用元:令和4年度 生活保障に関する調査|生活保険文化センター

旅行やレジャーに使いたいと考えている方が多いようです。必要最低限の生活だけではなく旅行やレジャー、趣味や教養、身内とのつきあいを充実させたい方は、できるだけ多くの老後資金を準備しておいたほうが安心でしょう。

老後に年収がなくなっても生活を変えるのは難しい現実

老後を迎える前にゆとりのある暮らしをしていた方は、退職後に収入が減っても、生活水準を下げることができないものです。仕事をする時間がなくなることで、むしろ必然的に生活や余暇にお金をかけてしまうことも考えられます。老後の生活費でかかる費用は、余裕をもって見積もるべきです。

もし年金や退職金、また将来的な貯蓄額の予測がついているのであれば、その数字から考えてみましょう。

老後資金を確保する7つの方法

では、先ほど計算した老後の生活に必要な資金をどのように確保すればいいのでしょうか。以下、老後資金を確保する方法を紹介していきます。

方法1:企業の退職金

退職金は貴重な老後生活資金です。一度、会社の退職金制度と額を確認してみましょう。

退職金の計算方法は企業によって異なります。主に以下の種類があります。

方法2:年金

年金1:国民年金

国民年金の加入者は毎月、保険料を納めていますが、その代わりに老後になると国から年金が支給されます。

令和5年4月からの年金支給額は67歳以下の方で月額6万6,250円(満額)です。夫婦2人で満額受け取れる場合、13万2,500円となります。

最低日常生活費が月額23.2万円なので、9万9,500円不足することになり、貯蓄などでカバーするしかありません。

年金2:厚生年金

令和5年4月分からの厚生年金(67歳以下の場合で、平均的な収入のある夫婦2人分)の年金額は月額22万4,482円です。

あと少し貯蓄があれば最低日常生活費の月額23.2万円を用意できます。

ただ、ゆとりのある老後を送りたい方は、年金以外での準備が必要になりますね。

参考:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について

方法3:個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCO)とは、国の年金とは別に個人で用意する年金制度です。

月々の掛金は加入者が決めた上で、定期預金、投資信託、保険商品などの金融商品から選んで資産運用を行います。

そのため、個人型確定拠出年金(iDeCo)で支給される年金額は加入者の運用実績次第です。

個人型確定拠出年金は掛金の全額が所得控除に含まれたり、運用益に対して税金がかからなかったりするメリットを持つ一方、基本的に60歳まで引き出せないなどのデメリットを持ちあわせています。

しっかりした資金計画を立てることができれば、個人型確定拠出年金は老後の資金を貯めるためのいいツールと言えるでしょう。

方法4:投資系運用商品

株やFXなどの投資で、資産を運用していく方法もあります。うまくいけば、大きな利益を手にすることができ、老後資金の足しになるかもしれません。

しかし、これらはリスクを伴います。信頼できる専門家に話を聞くか、ある程度知識を得た上で運用するのがいいでしょう。

方法5:貯金

上記以外の方法だと、自ら貯金をするという選択もあります。ただ、つい目の前の支出がかさんでしまい、老後の資金は後回しということになりかねません。

定期預金や保険の活用など、うまく資産をわけていくことが、より良い資産設計をするコツです。どういう貯め方が自分にあっているのか、一度立ち止まって考えてみましょう。

また、上手に貯金をするために、目標金額を設定することをおすすめします。漠然とお金を貯めていくよりも目標が明確なほうが、貯金しやすいためです。

方法6:再雇用

一度退職した企業に、再雇用してもらえる可能性もあります。それが難しいのであれば、アルバイトなどをしてみるのも手です。

肉体作業は難しいと思いますので、デスクワーク系の仕事を探して無収入の期間をできるだけ作らないという工夫も必要でしょう。

方法7:支出を減らす

老後資金を積み立てることと同じくらい支出を減らすことは大切です。しかし、生活水準をいきなり下げることは難しいので、老後を迎える前に生活費を抑えるポイントを知るべきでしょう。

生活費を抑えるためには、まずは家計簿を作成して収支の内容を記載する習慣をつけてください。家計簿を作成したら、生活費に優先順位をつけ、優先度の低い費用から節約するようにしましょう。

高齢者が利用できる社会保障制度

老後は何かと医療費がかさむと思いますが、高齢者になると「介護保険」、「後期高齢者医療制度」が適用されるため、介護にかかる費用や医療費を安く抑えることができます。

保険を活用した老後資金の貯め方

ここからは、保険をどのように活用して貯めていくかを考えてみましょう。保険は貯蓄型保険と掛け捨て型保険の2種類にわけることができます。まず、押さえておきたい保険のタイプを簡単に説明します。

貯蓄型保険は、支払った金額を積み立てられる商品です。様々な利率のものがあり、払込期間が終わった時点で払込金額より多く貯まっているもの、ほぼ同額貯まっているもの、下回るもの、とわかれます。

掛け捨て型保険は保険料を積み立てることができない商品です。安い保険料で高額な保険金額を設定できますが、老後資金を貯めるのには適していません。老後資金のために保険を活用するなら貯蓄型保険を選びましょう。

貯め方1:利率の高い保険を選ぼう

貯蓄の利率が高ければいいというものではなく、利率の低いものに関しては特約が付いていて、病気の保障が手厚かったり、死亡保障額が高かったりと様々なメリットがあります。ただし、老後資金を貯める目的で言えば、利率の高いものが適しているでしょう。

貯め方2:どのくらいのお金を保険に回すか考えよう

考え方としては、保険に回すお金と、銀行口座に入れるお金にわけてみることです。毎月の収支を計算して、確実に余る金額を保険に回してください。保険は、長期でお金を保険会社へ預けていくことになるため、転職や出産など収入や支出に関する変化が起きても対応できるように設定しましょう。

貯め方3:貯蓄機能のある保険商品を把握しよう

では、貯蓄型の保険にはどのような商品があるのでしょうか。

 貯蓄機能のある保険1:養老保険

養老保険は生命保険の一種であり、保険期間中、死亡保障を受けられると同時に、満期時に死亡保険金と同額の保険金を受け取ることができます。死亡保障と同時に老後資金を確保したい方におすすめの保険です。

<メリット>
・満期時には満期保険金を受け取ることができる
・満期保険金は死亡給付金と同じ
・貯蓄性が高い

<デメリット>
・保険料が高い
・一生涯保障されるわけではない
・保険の見直しがしにくい
・インフレしてしまうと、価値が下がってしまう
・金利が低い

養老保険のメリット・デメリットは以上のようなものがあります。

 貯蓄機能のある保険2:低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険は、貯蓄型保険の中でも保険料が安いことが魅力であり、被保険者の死亡時に死亡保険金が支払われます。保険料が安い代わりに、払込期間終了前に解約すると解約返戻金の返戻率が100%を切ってしまいます。ただし、それ以降は解約返戻金が上がるため、保険料を抑えながら老後のために積み立てたい方におすすめです。

<メリット>
・保険料払込期間中の解約返戻金は安いが、それ以降に一気に上がる
・通常の終身保険と比べて保険料が安い

<デメリット>
・保険料払込期間中に解約すると損をする
・保険の見直しがしにくい

低解約返戻金型終身保険のメリット・デメリットは以上のようなものがあります。

貯蓄機能のある保険3:変額保険

変額保険は、保険会社の運用次第で返戻金の額が変動するタイプの保険です。運用実績次第では、返戻金が大きくなる可能性もありますが、運用が上手くいかなった場合は少なくなるリスクがあります。

<メリット>
・インフレ対策になる
・死亡保険金には最低保証がある

<デメリット>
・運用不調による減額がある
・デフレに弱い

変額保険のメリット・デメリットは以上のようなものがあります。

貯蓄機能能ある保険4:個人年金保険

個人年金保険とは、老後資金を増やすことを目的とした保険です。年金開始時期になると、これまで払い込んだ保険料を元に年金を受け取れます。受け取り前に死亡した場合は、死亡給付金が支払われる仕組みです。

<メリット>
・銀行の利率よりもいい
・個人年金保険料控除が受けられる

<デメリット>
・途中で解約したら元本割れになる
・保険会社が破綻したら保障が一部カットされてしまう

個人年金保険のメリット・デメリットは以上のようなものがあります。

保険を使って老後資金を貯蓄するのに向いている人

保険を使って老後資金を貯蓄するのに向いているのは、以下の条件に該当する人です。

意志の力だけで老後の貯蓄を貯めるのは難しいかもしれません。人間はどうしても余裕があるときには贅沢をしたくなってしまう生き物です。

うまく保険の制度を利用して、老後の生活のための資金を貯めていきましょう。

年齢別|老後資金の確保に向いている保険の選び方

年代別にわけて、具体的に見ていきましょう。

選び方1:20代が選ぶべき保険のタイプ

独身の場合

20代の独身の方は、収入は高くなくとも、自由に使えるお金が多い方が大半でしょう。「老後はまだ先のことで、イメージできない。」という言葉が聞こえてきそうですが、老後資金を蓄える上で早過ぎることはありません。今から老後の貯金をしていきましょう。

まだ身体が健康であり、長く支払期間を設けることができることを考えると、保険商品の選択肢は多いです。長く使える終身保険や、終身の医療保険などに20代から入っておくと安心でしょう。また、老後のためには利率の高い外貨建て保険なども、20代のうちに入っておけば、支払金額に対し受給金額が上回る時期が早くなります。

既婚者の場合

まだ収入が高くない時期に結婚や出産を迎えると、なかなか経済面でゆとりを持ちにくいです。また、家庭を守る責任もあるため、保険料の安い低解約返戻金型終身保険に入ることをおすすめします。

年齢を重ね、子供が大きくなったり、出世して給料が上がったりした際に、保険に回す金額を増やすといいでしょう。

選び方2:30代が選ぶべき保険のタイプ

独身の場合

仕事や収入面で、ゆとりが出てくる頃です。自由に使うことができるお金があるうちに、老後資金の蓄えを始めておきましょう。若いほど保険料は安くなるため、早めに終身保険や低解約返戻金型終身保険など貯蓄型保険に入っておくことをおすすめします。

また、働き盛りであるがゆえに、体調を崩す方も出てきます。がん保険や医療保険に加入しておくと安心でしょう。

既婚者の場合

出産、引っ越しなどライフイベントが多く発生しやすい時期です。それに伴い、家計の収支も変化してくるでしょう。子供が小さいうちは、家族の生活を守るため高額な死亡保障が必要になります。自分の老後生活だけでなく、子供の教育費用など、先を見据えた貯蓄が大切です。学資保険と死亡保険、老後資金を貯めるための保険をわけて考え、それぞれで加入しておくといいでしょう。

また、妊娠・出産を希望している女性は、女性特有の病気に対応している医療保険に入っておくと安心です。

選び方3:40代が選ぶべき保険のタイプ

独身の場合

仕事では、管理職など責任のある立場になることが増えてくる時期です。年齢が上がるごとに病気にかかりやすくなりますから、医療保障のついた保険に加入することをおすすめします。老後まで約20年です。年に50万円~100万円を保険で積み立てることができていれば、60代には1,000万円の貯蓄ができます。

お金にゆとりが出てくる時期でもあるので、気持ち多めに老後資金のための保険にお金を回すようにしましょう。

既婚者の場合

子供が少し大きくなり、住宅ローンを抱えている方もいるでしょう。住宅ローンを組む際は団体信用生命保険に加入するため、自分に万が一のことがあっても家族に家を残せます。死亡保険に加入している方は、保険金額を少し減らせます。

その一方で、浮いたお金を老後の資金のために終身保険や個人年金保険に回すといいでしょう。

選び方4:50代〜65歳が選ぶべき保険のタイプ(独身・既婚者)

いよいよセカンドライフと言われる老後生活が目前です。子供が社会人になれば養育費はいらなくなるので、家族のための保障は減らしましょう。病気のリスクが高まるため、医療保険やがん保険を検討するのがおすすめです。

個人年金保険は、この時期から入ると利回りがあまりよくない場合があります。しっかりと吟味して選びましょう。

老後資金だけでなく相続にも備えておく必要がある

相続時に親族が揉めてしまうこともあります。馴染みのない方が多いでしょうが、前もって考えておきましょう。

争いを避ける

例えば、持ち家がある、または土地を所有している場合、取りわけはどうなるでしょうか。遺言を残していればいいものの、残していないケースも多く混乱を招きかねません。不動産は資産の大半が分割しづらく、揉める原因になりやすいです。

その点、保険はお金の取り分をあらかじめ決めることができます。保険契約時に受取人を指定でき、途中で変更することも可能です。死亡保険金は受取人固有の財産とみなされ、遺産分割協議の際は対象財産になりません。

相続税対策

税金対策にも目を向けることが必要です。家やお金を渡す際、贈与税や相続税が発生し、支払いが負担になってしまうことが考えられます。そこで、対策の一つとして、生命保険を活用することです。生命保険金は、【500万円×法定相続人の数】が非課税になります。

使う予定のないお金を銀行に預けたままの方は、終身保険に加入し対策をしておくことをおすすめします。

まとめ

老後資金の貯め方のポイントが掴めてきたのではないでしょうか。一見、難しそうでも、ポイントさえ掴めば、誰でも簡単にできることです。

何よりも重要なポイントは、早い時期から考えて準備しておくことです。しっかりと備えておけば、「老後は毎日が休日」とも言えます。時間にゆとりが生まれ、趣味を作り、楽しいセカンドライフを過ごすことも夢ではありません。

うまく資産をわけ、コツを掴んで、素敵な老後生活を送りましょう。今後の老後生活の貯蓄方法を考える際に、ぜひお役立てください。

また、老後資金の相談は、ファイナンシャルプランナーに頼むことをおすすめします。当記事で紹介した保険商品に詳しいだけでなく、資産運用に関する知識にも長けているので、老後資金でお悩みの方は一度、相談してみてはいかがでしょうか。

※2023年9月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以

高額療養費制度における自己負担額の上限

高額療養費制度は、自己負担額を超えるほどの高額な医療費を支払った場合に利用できる制度です。まずは自己負担額がいくらなのかを確認していきましょう。

69歳以下の場合

69歳以下の場合は、所得に応じて5つの区分に分けられています。

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~
健保:標報83万円以上
国保:旧ただし書き所得901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770~約1,160万円
健保:標報53万~79万円
国保:旧ただし書き所得600万~901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370~約770万円
健保:標報28万~50万円
国保:旧ただし書き所得210万~600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円
健保:標報26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税者 35,400円

引用元:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)

70歳以上の場合

70歳以上の場合は以下の区分になっています。

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
外来
(個人ごと)
現役並み 年収約1,160万円~
標報83万円以上/課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円
標報53万円以上/課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円
標報28万円以上/課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000)×1%
一般 年収156万~約370万円
標報26万円以下
課税所得145万円未満等
18,000円
〔年14万4千円〕
57,600円
住民税非課税等 Ⅱ 住民税非課税世帯  8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円

引用元:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)

一般と住民税非課税等の区分では、外来だけ(個人ごと)の上限額も設定されていることがポイントです。

1ヶ月の医療費が200万円だった場合の払戻し金額の例

実際に高額療養費制度を使った場合、いくらのお金が返ってくるのか計算してみましょう。

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
=80,100円+(200万円-267,000円)×1%
=80,100+17,330=97,430円

つまり、200万円という高額な医療費がかかったとしても、高額療養費制度を使えば自己負担額は約10万円で済むということです。

高額療養費制度は世帯で合算できる

例えば、1世帯のうち複数人が病気やケガをして治療を受けた場合、それぞれの医療費を合わせて計算することができます。もし合算額が自己負担限度額を超えるのであれば、超えた金額が払戻されます。

おひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方に限ります。)の受診について、窓口でそれぞれお支払いいただいた自己負担額を1か月単位で合算することができます。

その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。

※ ただし、69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。

引用元:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)

高額療養費制度を利用するには?

高額療養費制度は黙っていても利用できませんので、ご自身が加入されている公的医療保険協会に高額療養費の支給申請書を提出しましょう。

加入している保険協会によっては、申請をすすめてきたり、自動的に口座に振り込んでくれたりする場合もあります。病院の領収書の添付を求められることもあるため、保管しておいてください。

申請後は、各保険協会によって内容を審査します。レセプト確定後の審査となり、受診月から支給までは最低3ヶ月ほどかかります。

事前に高額な医療費になることが分かっていれば限度額適用認定が便利

入院や手術の予定があるなど、高額療養費制度を使うと事前に分かっている場合は「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」を交付してもらいましょう。この認定証を病院の窓口に提示すれば、窓口での支払いを自己上限額までに抑えることができます。

先ほどの例を使うと「97,430円」を払うだけで済みますので、高額なお金を用意しておく必要がなくなります。

まとめ

高額療養費制度は年齢や所得によって区分が設定されています。もし該当するようであれば、加入している公的医療保険協会に申請しましょう。

なお、支給期限は診療を受けた月の翌月初日から2年間です。期限が迫っている方は、早めの申請をおすすめします。

※2023年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以

女性保険には妊娠保障が付いているものもある

医療保険の女性向けプランの中には、妊娠・出産に備えられるものもあります。いつ何が起こるかわからない妊娠・出産は、入院や処置で急にまとまったお金が必要になることもあるでしょう。保障をうまく活用できるとお金の心配をしなくて済みます。妊娠・出産での保険選びのポイントは以下の通りです。

妊娠・出産で保険加入を考えている方は27週目までに加入した方がいい

妊娠や出産に備えて女性保険に加入したいと考えている方は、保険商品によっても異なりますが遅くとも妊娠27週目までに加入するようにしてください。多くの女性保険は、妊娠27周目までであれば加入できます。

ただし、妊娠中の保険加入の場合「特定部位の不担保」になる場合もあります。

妊娠・出産で保険を活用する時に考えるポイント

妊娠・出産のため保険に加入したい場合は、医療保険に加入することをおすすめします。保険には生命保険と医療保険がありますが、生命保険は死亡時の保障、医療保険は入院・手術時の保障と考えてください。妊娠中は、出産入院だけではなく、体調不良により入院する方もいます。そんなときに頼りになるのが医療保険です。

妊娠・出産に備えて医療保険に加入する場合は、入院保障がどのようなものか、帝王切開や自然分娩などどこまで保障されるかを確認することが大切です。

妊娠・出産の期間だけ保障を手厚くしたい場合は少額短期保険

妊娠・出産は一生のうちに何度もあることではありませんが、入院や手術を伴う可能性が高いイベントですよね。そんな時は、「少額短期保険」に加入するのがいいでしょう。

少額短期保険は、保険金額が少額で、保障期間が1年〜2年以内などの短期間の保険のことです。妊娠・出産などの特定の期間だけ保障を手厚くしたい場合におすすめです。以下の表では、妊娠・出産を対象にした少額短期保険を扱っている2社の保障内容を比較しました。

A社(30歳女性の例) 内容
特徴 妊娠19週目までの申し込みで加入できる
自然分娩を含む入院 5,000円/日(※保障開始日に妊娠中だった場合は対象外)
帝王切開を含む入院中の手術 5万円/回
死亡時 50万円
月額保険料 2,220円/月

妊娠・出産の保障がある保険には、自然分娩にも保障が付いているものとそうでないものがあります。自然分娩は公的医療保険の対象ではないため、保険商品によっては保障対象にならないので確認するようにしてください。

>B社(27歳女性の例) 内容
特徴 妊娠10ヶ月までの申し込みで加入できる
自然分娩を含む入院 1万円/日(※加入時に妊娠中だった場合は正常分娩も異常分娩も対象外)
死亡時 150万円
交通事故や不慮の事故での死亡 300万円
月額保険料 2,500円/月

商品によって保障内容や金額が異なるので、加入時によくチェックして比較検討してください。

妊娠・出産にかかる費用は100万円!?|医療費やその他発生する費用

妊娠・出産にかかる費用はおよそ50~100万円とも言われています。妊娠・出産は、国や地域から助成金などがもらえますが、受け取りが出産後になるケースもあります。

そのため、公的制度を利用する場合であっても、一時的にお金が必要になるのです。この項目では、妊娠・出産時の費用についてご紹介します。

妊婦検診などにかかる費用

妊娠は病気ではないため、妊婦検診は通常、保険適用外です。

妊婦検診は5,000円〜1万円ほどで病院により差があります。通院回数は母子の健康状態にもよりますが14回ほどです。妊婦健診はおよそ10万円前後と考えておきましょう。

(5,000〜10,000円)×14回= 7万〜14万円

検診以外の検査費用

定期検診以外にも、お母さんや赤ちゃんの状態によって様々な検査をする必要が出てきます。検査内容によって費用は変わりますが、1回の検査費用として1,000円〜1万円程度でしょう。検診以外の医療費として3万円〜5万円前後の余裕を見ておくを安心です。

母親学級・父親学級などの参加費

妊娠・出産の知識や子育てに関して学ぶことができる母親学級・父親学級。ほとんどの地域や病院では無料で行なっていますが、有料のところもあります。有料の場合、参加費として1回1,000円〜2,000円程度のところが多いです。母親学級・父親学級の参加費は1万円前後と考えていいでしょう。

出産にかかる費用

厚生労働省によると、出産にかかる費用は平均約47万円です。出産費用は利用した施設によっても多少変動します。出産だけの費用としてだいたい50〜70万円前後を見積もっておきましょう。現在では、産後エステ等様々なサービスを備えたクリニックもあります。豪華な病院では100万円ほどかかる場合もあります。出産費用の詳細は、施設に確認しましょう。

引用元:厚生労働省保険局|出産育児一時金について

その他に発生する費用

この他に、マタニティウェアやベビー用品などの購入費用があります。妊娠中期〜後期になると赤ちゃんの成長とともにお腹もどんどん大きくなって、普通の洋服では不都合が出ます。また、生まれてくるかわいい赤ちゃんのためにベビーベッドやベビーウェアなど、ついつい色々買ってしまうこともあるでしょう。お母さんや赤ちゃんの物の購入費は、だいたい10~15万円前後と言われています。

妊娠・出産費用を安く抑えるために知っておきたい公的制度

妊娠・出産にかかる費用は高額になってしまう場合が多いですが、一時金や助成金などの制度もあります。公的制度と民間保険をうまく併用して、費用をなるべく安く抑えたいですよね。

公的医療保険適用のものは3割負担になる

妊娠・出産に伴う医療のうち、公的医療保険適用のものは3割負担で済みます。公的医療保険適用となるのは帝王切開などの異常分娩、切迫流産や流産、重症妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群などです。

通常の妊婦健診、自然分娩は保険適用外になるので全額自己負担となります。

国からの一時金・助成金制度を利用する

先の項目「出産にかかる費用」でもお伝えしましたが、出産には平均約47万円の費用がかかります。しかし、出産育児一時金として胎児ひとりあたり42万円(※)(2023年4月からは50万円)を受給できるため、出産にかかる費用をカバーできます。

また、妊娠・出産で会社を休んだ場合は、出産手当金も受給対象になる可能性があるため、加入している健康保険協会のサイトなどで調べてみましょう。

※…産科医療補償制度対象外の出産は40.8万円

地域の助成金制度を利用する

国からの出産育児一時金の他にも、各地域自治体では「妊婦健康診査費用助成」という助成金制度があります。要件や保障内容については地域によって異なりますが、妊婦健診などの費用が保障されます。

保険を見直す時は子供が生まれた後のことも考える

妊娠・出産を機に保険を見直す場合は、子供が生まれた後のお金について考えておくといいでしょう。生まれた子供の教育費のための学資保険は早い段階で備えておきたいものです。

まとめ

妊娠・出産は女性によって人生最大のイベントとも言えます。新しい命を授かることは素晴らしいことですが、現実問題として様々な費用が発生します。国や地域の公的制度を利用するとともに、民間保険も併用することで金銭的負担を軽くすることができます。この記事で、妊娠・出産をされる方がお金の心配なく子供を産み育てるお手伝いができれば幸いです。

※2023年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以

シングルマザーが生命保険に加入する必要性|子供にかかる教育費で判断しよう

夫が亡くなったため高額な保険金を受け取り、将来のための十分な貯蓄もあるというシングルマザーは、すぐに保険に加入する必要はないでしょう。

しかし、離婚をして貯蓄が少ないシングルマザーは、万が一の時に子供が生活していけるようにするためにも保険への加入を前向きに検討すべきです。

特に子供がまだ小さい家庭は、これから子供が成長するにつれて養育費や学費などが必要になり、経済的な負担はどんどん増えます。統計によれば、幼稚園から大学まですべて公立の学校に入学をしたとしても約1,000万円はかかるようです。

幼稚園にかかる教育費の相場

幼稚園の場合 公立の場合 私立の場合
学校教育費 6.1万円 13.5万円
学校給食費 1.3万円 3万円
学校外活動費 9.1万円 14.4万円
年間の教育費総額 16.5万円 30.9万円

文部科学省|令和3年度子供の学習費調査の結果について』を参考に、幼稚園から高校までの教育費を表でまとめました。

小学校にかかる教育費の相場

小学校の場合 公立の場合 私立の場合
学校教育費 6.6万円 96.1万円
学校給食費 3.9万円 4.5万円
学校外活動費 24.8万円 66.1万円
年間の教育費総額 35.3万円 166.7万円

参考:文部科学省|令和3年度子供の学習費調査の結果について

中学にかかる教育費の相場

中学校の場合 公立の場合 私立の場合
学校教育費 13.2万円 106.1万円
学校給食費 3.8万円 0.7万円
学校外活動費 36.9万円 36.8万円
年間の教育費総額 53.9万円 143.6万円

参考:文部科学省|令和3年度子供の学習費調査の結果について

高校(全日制)にかかる教育費の相場

高校の場合 公立の場合 私立の場合
学校教育費 30.9万円 75万円
学校外活動費 20.4万円 30.4万円
年間の教育費総額 51.3万円 105.4万円

参考:文部科学省|令和3年度子供の学習費調査の結果について

公立と私立で特に差が出るのは、学校教育費です。塾やお稽古など学校外活動費にもお金をかける傾向にあります。

すべて私立にした場合は1,800万円程度の費用がかかる

幼稚園から高校までの教育費総額は上記で説明した通り、すべて公立にした場合は600万円程度で収まります。しかし、すべて私立にした場合は1,800万円程度かかり、その半分以上は小学校6年間での教育費用であることが分かります。

そんな中、母親が病気をしたり死亡したりして収入が途絶えてしまうと、この負担を子供自身でどうにかしなくてはいけなくなります。しかし、どう考えてもそれは不可能ですよね。

愛する子供のことを考えるのであれば、母親として、家庭に支障が出ない範囲でしっかりと必要な保障を付けておきたいものです。

シングルマザーが保険に加入するメリット・デメリット

保険への加入が子供のためになるのは当然ですが、ここではそれ以外のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

健康なうちに加入すれば加入しやすい

保険に加入する際には、健康診断の結果を伝えたり、医師の診断を受けたり、健康状態の告知と審査があります。若く健康なうちに加入すれば、こうした加入審査に通りやすく、希望の保障も得やすいです。

精神的な支えになる

「自分に万が一のことがあった場合、子供はどうなるのだろう…」と不安に感じている方が大半かと思います。保険に加入することで金銭的な負担だけでなく、“備えがある”ことで精神的な負担も軽減されるでしょう。

デメリット

「万が一」がない場合は損をする

若いうちは死亡するリスク、大病にかかるリスクが低いです。そのため、掛け捨て型の保険に加入し、ずっと健康だったら支払った保険料分は当然損してしまいます。保険は万が一の時のものと心得ましょう。

保険料が家計を圧迫する可能性もある

子供のことが心配だからと様々な保障を付けたり、保険金額を増やしたりしていると、保険料が上がり家計を圧迫することがあります。月々の保険料を負担に感じて解約するのは本末転倒なので、継続的に支払える額の保険を探してください。

シングルマザーに加入をおすすめする3つの保険

ここでは、シングルマザーが加入しておくといい保険の特徴や保障内容について、加入優先度が高い順番に見ていきましょう。

生命保険(収入保障保険)

父親のいる家庭では、父親が万が一に備えて生命保険に加入しておくケースが多いです。

これは収入が途絶えて生活に困窮してしまうリスクに備えるためですが、母子家庭の場合では働き手である母親が生命保険に加入する必要があります

死亡時に多額の一時金が受け取れる一般的な死亡保険もいいですが、死亡してから契約期間終了まで、毎月決まった保険金を受け取れる収入保障保険は特におすすめです。

下記の図のように、死亡時期が契約期間の後半になればなるほど受取総額が減るために三角の保険とも呼ばれています。

子供の養育費として、子供1人あたり月に約10~15万円をカバーしながら、子供が就業するまでを目安に保険期間を設定するといいでしょう。

医療保険

母親が死亡しなくても、重い病気によって働くことができなくなり、家計を圧迫するリスクがあります。こうしたリスクには、医療保険に加入して備えておきましょう。

生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(令和元年度版)」によれば、入院1日あたりの費用は1万円以上かかるケースが最も高く、平均額は23,300円です。

入院給付金日額が1万円以上の医療保険を選ぶようにしましょう。

学資保険

子供の教育費を確保するなら学資保険に加入するのもいい方法です。

母親の死亡・生存に関わらず子供の入学金を準備することができるため、それなりの教育を受けさせたいと考える方は加入を検討してみてはいかがでしょうか。

しかし、学資保険に様々な特約を付けると、積み立てた保険料よりも満期保険金が下回ってしまうこともあります。保障内容と保険料のバランスが取れた商品を探しましょう。

シングルマザーが知っておくべき保険以外の助成制度

本記事の最後に、シングルマザーが家計のために知っておくべき公的な助成制度についてお伝えします。

遺族年金

遺族基礎年金は、被保険者が亡くなった場合、子供が18歳になる年の3月末まで遺族年金を受け取れます。受給要件を満たしている場合は、遺族厚生年金も受給可能です。

児童手当

国が子供の養育費を支援してくれる制度で、子供の年齢や数により受け取れる金額は変わります。

傷病手当金

協会けんぽなど、健康保険に加入している被保険者が病気やケガなどで働けなくなった時に、家族の生活を保障するための給付金をもらえる制度です。

住宅手当

市区町村によっては、ひとり親世帯に対して住宅手当を設けているところがあります。住宅を借りた場合、家賃の一部を助成してくれる制度で、1万円程度負担してくれる自治体が多いです。お住いの地域で実施していないか調べてみましょう。

まとめ

シングルマザーは万が一の時のために、保険で備えておきましょう。

子供のために必要な保障額はいくらなのか、現在の家庭の収支バランスを見て問題なくその保障を得られるかなどを把握するためにも、ファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめです。

※2023年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以