変額保険とは、契約した保険会社の運用実績に応じて解約返戻金が変化する仕組みを取り入れた、貯蓄系の保険です。保険会社の運用次第で返戻金も大きくなりますが、投資信託を利用する選択肢もありますので、今回は変額保険の特徴やメリット、投資信託との比較を解説します。

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変額保険(へんがくほけん)とは保険会社の運用実績によって、将来自分のもとに入ってくる保険金や解約返戻金の金額が変化するというものです。
運用方法は各保険会社によって異なりますが、主に株式や債券に投資されるケースが多いでしょう。
利益が出れば加入者に保険金や返戻金として戻ってくる仕組みになりますが、損失が発生した場合などは逆に保険金や返戻金が減ってしまうという点で、一言でハイリスク・ハイリターンな保険商品になります。
運用実績 | 死亡保険金 | 解約返戻金 |
良いとき | 金額増加 | 金額増加 |
悪いとき | 金額固定 | 金額減少 |
また、変額保険にも様々な種類もがあり、多くのメリットやデメリットを把握する必要があります。ちなみに、貯蓄系の変額保険と投資信託がよく比較されていますので、比較した結果、どちらが優れているのかについても、詳しく紹介していきます。
【目次】
変額保険の4つの特徴
変額保険の主な特徴を説明します。変額保険のイメージでは、将来のための貯金ができる保険というのが一般的なものではないでしょうか。しかし、変額保険には、貯蓄するにもリスクがあり、必ずしも順調に貯金ができるとは限りません。
変額保険の使い方を自分で理解してうまく活用すれば、とても便利な保険になります。変額保険を知ってもらうために、特に大切な4点の特徴を紹介します。
最低額の保障しかないが安定した保険金がもらえる
変額保険には死亡保険金の最低金額が保証されています。これはどういうことかと言うと、利益、不利益に関係なく、各保険会社が定めている最低の保険金をいかなる場合でも受け取ることができるということです。
この仕組みのお陰で変額保険はハイリスク・ハイリターンだけでなくなっていると言っても過言ではありません。
しかし、あくまでも最低保証は最低の金額を受け取れるというだけなので他の保険の死亡保険金に比べると高くはありません。
変額なので景気に左右されやすい
また、この保険は景気の変化にも左右されやすく、バブル期にはこぞって加入者が増えたという過去もあります。俗に言う「お宝保険」というものです。
このように変額保険とはその時々の景気状態によって収支が変化する保険の中では特殊な存在に位置づけられます。
投資性もあるがあくまで保険
変額保険は投資性があり、他の保険にはない特徴がありますが、勘違いしてはいけないのが変額保険は保険商品の一部であるということです。
保険の機能におまけとしての投資性が付いただけなので、投資信託などと比べると明らかに投資性は弱いものになります。
そのため、最初から投資目的の方は変額保険ではなく、投資信託などの専門の仕組みを利用することをおすすめします。保険目当てで少し投資もできればいい方におすすめなのが変額保険です。
運用お任せのセットが一般的である
以前は運用先を契約者が選ぶタイプが多かったものの、最近では運用を一任するタイプの商品が一般的です。しかし、運用環境の悪化により元本割れが続出しているのが現状です。
変額保険には3つの種類がある
変額保険には「終身型」「有期型」「年金型」などの種類があります。どれも一度にまとまったお金を運用するものが多く、返戻金や保険金は運用状況(経済状況)によって変動しますが、死亡保障額は一定であるところが特徴です。
しかし、生命保険会社によってその仕組みは異なるので必ず加入前には気になる点を保険会社に確認してください。
変額終身保険
一生涯保障が続くのが終身保険の特徴で、運用実績によって保証額が変動します。契約を解約した際に生じる解約返戻金額も実績によって変動します。
変額有期保険
保険期間が一定なのが有期保険の特徴で、運用実績によって保証額が変動します。契約期間の満期をむかえると、実績に応じた満期保険金が受け取れます。
有期ですので保険が終了してしまうと、保険の効果は期間終了後に失われるので注意してください。保険料を払い続けることがないので契約した期間までの保険料の支払いになります。
しかし最低保証がないので、基本保険金額を下回ることもあるので注意してください。600万円もらえるはずが、520万円程になってしまう可能性もあります。
変額個人年金保険
決められた年齢になると、支払った保険料を元に年金を受け取れます。変額保険の運用の状況によって保険金額が変わる仕組みと合わさった年金保険で、運用実績によって年金支給額が変動します。
支払った金額よりも多く年金を受け取れれば嬉しいですが、状況によっては、元本割れ(支払った保険料よりも最終的に受け取れる金額が少なくなってしまうこと)になってしまうことがあります。
そのため、変額保険を活用する際にはどんな場合もリスクを覚悟した上での運用が重要になってきます。また、年金としてではなく、一時払い、月払い、年払いとしても活用できます。
【関連記事】
「個人年金保険|知っておきたい仕組みとメリット・デメリット」
「個人年金保険の利率|個人年金保険における資産運用の注意点」
「個人年金保険のシミュレーションと得をする加入条件まとめ」
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変額保険に加入するメリット
変額保険の特徴はとても多く、理解しにくい人もいるかもしれないので、メリットとデメリットを紹介します。
活用方法が複雑で運用が難しい変額保険ですが、理解することができれば自分の財産を保険を使って増やすことができるのでとても期待のできる保険になります。
インフレ対策になる
そもそも変額保険とは景気の状況などによって保証金額などが変動するものになります。インフレとは物価が高騰し、お金の価値が下がることです。
つまりインフレになると、通常の保険の場合は将来もらう保険金や解約返戻金の額が減少してしまう事態が起こります。
今預けている500万円の価値がいざ保険金が給付されるときには100万円の価値しかなくなっているなんてことも考えられます。
変額保険は市場金利などによって保障金額が変わるので、インフレによって市場金利が上がれば保険金や解約返戻金も比例して上昇するようになっています。
つまり、インフレになればなるほど将来もらえる金額が増えるのです。そのため、バブル期のインフレ状態にあったときに、変額保険が大量に出回ったという背景があります。
しかし、バブル期が終わり、経済不況に陥ると、変額保険の保障金額は暴落し、最低保障金額しか受け取ることのできない状況になったという過去もあります。
そのため、正直最低保障があったとしても受け取れる金額には差があるので一番先が見通しにくい保険でもあります。
保険料が割安である
変額保険は他の保険に比べて明らかに保険料が安いということもメリットの一つです。一般の保険料の平均は1万円前後ですが、変額保険は7千円~8千円と安いことが分かります。
また変額保険は運用で得られた利益を年に二度引き出せるので、その利益を保険料にあてれば相当割安な保険となります。
安いからといって保障内容が少ないというわけではないので、このメリットはとても嬉しいものです。
しかし、他の保険にあって変額保険にない解約返戻金の保証などがありますので、一概に安いからと言ってメリットしかないとも言えません。
解約返戻金が受け取ることのできる保険では解約しても返戻金として資金を得ることができますが、変額保険は解約返戻金が受け取れない場合があるので解約した際になにも受け取れない場合があります。
特約や受け取れる金額内容などを問い合わせなどで確認してください。
最低限の死亡保険金がある
変額保険の一番の魅力は、何度も出てきますが、死亡保険金の最低限保証がある点です。例えば400万円の保険に加入し、死亡した時の運用状況が悪かったとしても、400万円の保険金は発生します。
そのため、この場合は自分が損をすることはありません。この保証があるので初めての人も安心して投資的な利用が可能になります。
相続税対策になる
■相続税対策①生命保険の非課税枠が利用出来る
多額の相続財産を相続される場合には、高額な相続税が生じてしまいます。1億円の相続が一人に相続される場合の相続税は600万円にも及びます。
多くのお金持ちや、親族が多額の資金を持っている場合は、税を逃れようと脱税や税率が低い国に移住する人まで現れます。
相続財産が多いほど相続税率は高くなります。ここで活用できるのが身近にあり、だれでも加入できる変額保険です。
相続税には非課税財産として、生命保険金のうちの【500万円×法定相続人の数に相当する額】という規定があります。
これにより死亡保証額が保障されている変額保険に加入していて発生した死亡保険金によってかなりの相続税対策が見込めるのです。しかし、これから年金受給権(※)が改正される可能性もあるので、注意が必要です。
(※)年金受給権とは 年金を受け取ることのできる権利になります。国民年金などの公的年金は、「加入期間」と「年齢」の条件を満たすことによって年金の受給権を得ることができます。 しかし、年金の種類によって受け取れる条件は変わりますので注意してください。 保険を活用した相続税の節税方法について詳しく知りたい方は「生命保険で相続税対策をする時に知るべき2つのポイント」をご確認ください。 |
■相続税対策②納税資金を用意できる
終身タイプの変額保険を利用して相続税を支払う現金を確保できるという特徴が変額保険にはあります。
変額保険の終身タイプに加入すると、契約時の死亡保険金額が保証されるため、通常の終身保険に加入しているのと同じになります。
それに加えて変額保険は運用実績により保険金額が増減しますので、うまく運用できれば当初の保険金額を上回る可能性もありインフレにも対応できます。
そのため、死亡時に発生する相続税を変額保険の死亡保険金で補うことが可能なので、変額保険のリスクを考えずに運用が可能です。
自分だけで相続対策や相続税申告をしてしまうと複雑でよくわからなかったり、余計に税金を払うことになってしまったりします。相続税対策のための保険活用方法についてより詳しくチェックしたい方は厳選相続税相談ナビの【相続対策無料診断フォーム】からあなたにぴったりの専門家を探してみるのもいいかもしれません。
変額保険に加入するデメリット
運用不調による減額がある
減額保険は、死亡保険金の最低限保証があるものの、解約返戻金の保証がない点が不安なところです。不調によって基本返戻金の金額を下回ってしまうこともあります。
変額保険は保険金の変動が多い代わりに、多くの利益を得られる可能性があるため、このように保障の範囲が狭まってしまうデメリットがあります。しかし、必ずしも下がってしまうわけではありません。
要は運用次第です。経済状況などを先まで見通し、判断する必要があります。経済新聞や、政治状況などを把握することにより、運用不調のリスクを回避できる場合もあるので、自分でも行動してみましょう。
手数料が割高である
変額保険は一部では保険会社が手数料のために売りつける商品と言われてしまうほど、手数料が割高なものもあります。
ものによって異なりますが、似た種類の投資信託の手数料と比べると、投資信託の手数料が約1.5%に対して変額保険は約30~40%とかなり割高なことが分かります。(投資信託については後述します。)
ここだけを見てしまうと、加入時に手数料が割高な商品よりも、割安な商品の方に目が行ってしまいますが、それ以上に変額保険は利益を生むことがあるので、変額保険に賭けてみるのもいいと思います。
今は様々な変額保険のプランが出ているので、多くの保険会社を比較して検討が必要になります。
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変額保険の賢い活用方法とシミュレーション例
変額保険を賢くお得に活用するには、株式市場や為替市場、積立金額によって運用方法や運用先を変えることが重要です。実際にここで、簡単なシミュレーションを見てみましょう。
Aさんの変額保険契約例 |
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契約年齢 | 35歳 |
保険期間 | 30年 |
払込み期間 | 30年 |
死亡保険金額 | 1,000万円 |
満期保険金額 | 1,000万円 |
月払い保険料 | 20,000円 |
投資運用プラン | ・安定運用プラン(長期的に安定した投資成果を目標とするプラン) ・積極運用プラン(中期的に安定した投資成果を目標とするプラン) 上記2つのプランの併用 |
Aさん35歳のシミュレーション例
死亡保険金が1,000万円受け取れる変額保険に加入。投資の知識が浅いということもあり、まずは「安定運用プラン」でファンドに投資し運用をスタートさせる。(日本株式と外国株式の割合を50%ずつ投資。)
※Aさんが支払う月額保険料20,000円の中から経費を引いた金額が運用にあてられ、その運用実績によって積立金額も変動していく。
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Aさん40歳のシミュレーション例
運用実績が好調なため、もう少し積極的な運用を行おうと「安定運用プラン」を「積極運用プラン」に切り替える。株式市場や為替市場が動く中、運用を継続。
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Aさん65歳のシミュレーション例
変額保険が満期を迎える。最終的な運用実績は契約時の予定を上回り、満期保険金額は1,000万円から1,100万円になった。
まとまった金額で受け取ることも可能だが、Aさんはさらに老後のことを考え“年金式”で数回に分けて受け取ることを選択した。
変額保険への加入に適した人・適さない人
今まで変額保険について説明してきましたが、この保険は一般の保険に比べると極めて変わったものであることが分かったかと思います。
それでは、この変額保険への加入を検討すべき人の特徴について見ていきましょう。
変額保険への加入に適した人
投資などの知識が豊富で資産運用目的の人
そもそも変額保険の投資先などは、保険会社が決めるわけではなく、自身の裁量で投資先を決定します。
そのため、投資に関しての知識や金融・経済にたいしての興味が多い方の方が大きな運用利益を生むことが可能です。
しかし投資は失敗すれば多少なりとも損失が生じるものなので、軽い気持ちで行わないようにしましょう。お金に相当余裕がある方は資産を増やす目的で加入だけしておくのもいいかもしれません。
保険という安心がある商品にもかかわらず、少しだけギャンブル要素もあるとても面白い保険が変額保険なので、興味のある方は是非加入をすることをおすすめします。
解約するつもりがなく死亡保険金目的の人
一般的な考え方かもしれませんが、万が一の時のため、家族のための死亡保険に加入する方は多いのではないでしょうか。そんな方には変額保険がおすすめできる場合があります。
なぜなら、変額保険の保険料はどの保険よりも安く設定されているからです。保険料が安いにも限らず、死亡保険金はしっかりもらえるものが多いので万が一のための死亡保険金を望むならお得な保険です。
詳しくは〔保険料が割安〕の内容をご確認ください。保険料がどれだけ安いかが一目で分かります。
変額保険への加入に適さない人
日本で変額保険をうまく運用するには、経済不況の影響などもあり、少し厳しい現状があります。そのため、投資に興味がない方や、一般的な保険を希望する方は変額保険はあまりおすすめしません。
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変額保険と投資信託を比較|どちらが運用におすすめか?
変額保険への加入に興味のある方は、根本的な仕組みが同じである投資信託(とうししんたく)についても覚えておくとよいでしょう。
投資信託は貯蓄のための投資
投資信託とは、投資を目的にしている人たちからお金を集め、まとまった資金にし、投資の運用のプロであるファンドマネージャーが株式などに投資して、その投資によって生まれた利益を投資してくれた人に分配する仕組みです。
つまり、変額保険と同じ仕組みではありながら、保険として金銭を貯蓄するのではなく、投資として貯蓄するものになります。そのために変額保険と比較するとリスクは増えます。
保障はつけずに資金を増やしたい方は投資信託がおすすめ
インフレ対策や資金を増やす目的の方は、投資信託の方がおすすめです。そもそも変額保険の仕組みは投資目的ではなく、保険としての機能を果たすのが目的なので、保険料などの保険としての金額が発生します。
そのため、変額保険と投資信託を比べると投資するにも明らかに変額保険の方がコストがかかってしまいます。
保障などが必要なく、インフレ対策や資金運用目的のための方には、総コストが低い投資信託がおすすめです。その方が効率的な運用が可能です。
まとめ
変額保険は経済状況などによって解約返戻金の下り、最終的に受け取れる保険金の額が少なくなってしまう可能性がありますが、死亡保険金は最初に契約した際の金額が最後まで変わらず保障されます。
そのため、格安の保険料を払いながら最終的には決まった額の死亡保険金が受け取れるのでかなりお得な運用が可能です。
変額保険の内容を理解して自分に合ったと思えばその保険が一番自分に合った保険であると信じてください。リスクは確かにありますが、それだけ将来的に利益を得ることも可能です。