帝王切開にかかる費用は約40万円〜80万円とも言われていますが、健康保険や医療保険を活用することで出産時の費用をかなり抑えることができます。入院費や通院費の保障も、保険を上手く使えば出産費用を黒字にすることもできるのです。

損をしてる!?現在ご加入の保険は、加入時の必要保障になったままではありませんか?
帝王切開は、自然分娩で子供を産むよりも高額な費用がかかります(約60〜100万円)。
帝王切開が高額になる理由としては『手術費用の加算』と『入院日数の増加』が挙げられますが、この費用は健康保険や医療保険に加入しておくことで給付金がもらえますので、費用は十分に抑えられるでしょう。
この記事では、帝王切開による出産をお考えの方にむけて『帝王切開の費用はどれくらいになるのか』『帝王切開におすすめの保険』『帝王切開にかかる費用を抑える方法』について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】出産に備える医療保険についてくわしく知る
自然分娩は病気ではありませんので、健康保険といった公的医療保険は適用されません。
自然分娩での出産も大きな費用が必要ですので、保険で出費に備えるべきだといえるでしょう。
出産に備える医療保険は一般的に妊娠27週目まで加入できます。
以下の記事では、出産に備えた医療保険についてくわしく解説しています。あわせて参考にしてください。
▶『出産に備える医療保険の選び方|妊娠後にも加入・適用可能な保険とは』
【目次】
自然分娩・帝王切開にかかる費用はどれくらい?
帝王切開にかかる費用は自然分娩に比べると高額になるといわれています。
そこでまず、自然分娩にかかる費用を解説していきたいと思います。
なお、出産方法に関わらず、どの程度費用が発生するかは地域や病院によりさまざまです。
ここで紹介する費用はあくまで目安であることを理解しておいてください。
自然分娩にかかる費用
国民健康保険中央会の調査による、2017年度の自然分娩にかかる費用は以下の通りとなっています。
正常分娩分の平均的な出産費用について(2017年度) | |
項目 | 平均値 |
入院日数 | 6日 |
入院料 | 11万2,726円 |
室料差額 | 1万6,580円 |
分娩料 | 25万4,180円 |
新生児管理保育料 | 5万621円 |
検査・薬剤料 | 1万3,124円 |
処置・手当料 | 1万4,503円 |
産科医療補償制度 | 1万5,881円 |
その他 | 2万8,085円 |
合計負担額 | 505,759円 |
参考:正常分娩分の平均的な出産費用について|国民健康保険中央会
2017年のデータからは、平均して約50万円かかることが見て取れます。
ただ、どの程度入院するかによっても費用は大きく変わります。
一般的に自然分娩には40万円~80万円程度が必要であるといわれています。
帝王切開にかかる費用
自然分娩に比べて費用がかさむことが多い帝王切開。その理由は『手術費用の加算』と『入院日数の増加』です。
帝王切開手術の費用は地域や医療機関に関わらず、22万1600円(32週未満の早産の場合などは24万5200円。平成24年診療報酬点数表より)。
また、帝王切開の場合は入院日数が10日ほど増加する傾向にあり、入院費が1日約1万円としても、帝王切開の場合は10日分で10万円。これは大きな出費です。
その他に、おなかの傷対策に術後用腹帯や、ケロイド予防のシリコン・ジェルシートなど、自然分娩の時には必要ない物の購入費用(約1万円ほど)がかかります。
帝王切開では、自然分娩よりもおよそ20万円以上費用が必要になると考えればよいでしょう。
施設の特徴と費用の違い
出産費用の中で大きな割合を占める入院費は、出産する施設によってその値段が変わってきます。
これは費用が高い順に、個人病院、総合病院、助産院などが選べます。
以下に、それぞれの施設の特徴と、かかる費用をお伝えします。
施設の種類 |
費用相場 |
特徴 |
個人病院 | 50万円前後 | ・費用は高め
・共有スペースなどの施設も充実 ・個室も充実 |
総合病院 | 40万円前後 | ・大部屋で費用を下げることも可能
・個室を選択可能(別途費用) |
助産院 (自宅出産) |
30万円前後 |
・費用が安い
・入院のストレスも軽減(自宅) ・帝王切開などの対応ができない |
このように、費用だけで見てみたら、助産院や自宅出産の方が安く済む傾向にあります。
しかし、帝王切開のリスクを考えると、やはり出産の際は総合病院・個人病院に入院することが無難であるといえるでしょう。
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帝王切開では公的医療保険が適用される
出産には大きな出費が必要であることを理解していただけたかと思いますが、実はすべてあなた自身で負担する必要はありません。
なぜなら、帝王切開には公的医療保険が適用されるからです。
具体的な内容としては以下の5つが挙げられます。
- 公的医療保険が適用されるの部分の自己負担は3割でよい
- 出産育児一時金をもらえる
- 高額療養費制度を利用できる
- 出産手当金をもらえる
- 高額医療費控除が活用できる
ここでは、それぞれの内容について詳しくみてみましょう。
公的医療保険が適用されるの部分の自己負担は3割でよい
国民健康保険や会社などで加入している健康保険では、帝王切開の費用が負担される項目があります。
保険が適応される項目は手術料、投薬料、診察料、入院料などで、これらは医療行為とされているため、自己負担分は3割です。
一方、分娩費や差額ベッド代、食費などは全額自己負担です。
また、自然分娩には公的医療保険が適用されませんので、すべて自費で負担しなければなりません。
出産育児一時金をもらえる
保険証を医療機関に提示することで、妊娠4カ月以上の方が出産した際に、1児につき42万円の一時金を受け取れる制度です。
(ただし、出産した医療機関が産科医療補償制度に加入していない場合は40万4,000円)
なお、出産一時金は自然分娩にも適用されます。
【関連記事】出産育児一時金についてくわしく知る
出産育児一時金をもらうには、妊娠4カ月以上の出産であるなど、いくつか条件があります。
また、受給方法も『直接支払制度』『受取代理制度』『産後申請方式』の3種類があり、それぞれ申請方法が異なります。
以下の記事では、出産育児一時金についてくわしく解説しています。あわせて参考にしてください。
▶『出産育児一時金を受け取る3つの受給方法|申請の仕方と受給の条件』
高額療養費制度を利用できる
帝王切開は、高額療養費の給付対象となっています。
高額療養費とは、健康保険が適用される3割負担で算出された治療費が、自己負担限度額を超えた場合に支給される医療費です。
自己負担限度額は年齢や所得に応じて決定され、以下の表の通りです。
年収 | 月単位の上限額 |
住民非課税の人 | 3万5,400円 |
年収約370万円以下 | 5万7,600円 |
年収約370-770万円 | 8万100円+(医療費-26万7,000円)x1% |
年収約770-1160万円 | 16万7,400円+(医療費-55万8,000円)x1% |
年収約1160万円以上 | 25万2,600円+(医療費-84万2,000円)x1% |
出産手当金をもらえる
産前42日、産後56日の産休中の給与は基本的に支給されませんが、給与の補助として健康保険から出産手当金が支給されます。
出産手当金は上限がありますが、標準報酬日額の2/3を、休んだ日数分受けとれます。
高額医療費控除が活用できる
高額医療費控除とは、1年間で一世帯の医療費の支払いが10万円以上になった場合、確定申告で税務署に申請するとお金が戻ってくるものです。
妊娠の確定診断を受けてからの定期検診代や、通院のための交通費、分娩や入院の費用などは全て医療費控除の対象となるため、領収書は保管しておきましょう。
増加する帝王切開率から見る保険の必要性
厚生労働省のデータによると、帝王切開で出産する人の割合は全体の23.3%と、ここ20年で2倍以上になっています。
これは、ほぼ5人に1人となる確率です。
帝王切開が増えた原因は、医療技術の発達により安全に帝王切開ができるようになったため帝王切開を選ぶ人が増えてきた、という要因もありますし、医療側の人手が不足しているために早期に帝王切開を行い、人的負担の大きい自然分娩を避けるため、という要因もかんがえられるでしょう。
いずれにせよ、帝王切開を選ぶ人は増加し、自然分娩を望んでいても、母体や赤ちゃんの容態によって、帝王切開になる場合が出てきます。
そのような時に、保険に入っていないと、費用がよりかさんでしまうのです。
(出典:読売新聞医療サイトyomi Dr. )
帝王切開になるケース
先ほど、帝王切開を選ばなければいけないケースがあるとお伝えしましたが、それはどのようなケースなのでしょうか?
帝王切開には、あらかじめ計画して行う『予定帝王切開』と、出産中のトラブルで自然分娩から切り替える『緊急帝王切開』の2つのパターンがあります。以下にその例を挙げていきます。
◯予定帝王切開になるケース
・逆子
・多胎妊娠
・以前も帝王切開だった場合
・母体感染症
・母体合併症
・巨大児 など
◯緊急帝王切開になるケース
・出産に時間がかかりすぎる場合
・妊娠数週が早い未熟児
・子宮内感染、子宮が破裂しそうな場合
・胎児の状態が悪い場合 など
このうち、後者の「緊急帝王切開」が帝王切開を選ばなければいけないケースです。
予定帝王切開になる場合は、あらかじめ入院をするなどしておけば対処ができます。
一方で、自然分娩を予定していても、急に陣痛が始まる場合や、早産になる場合もあります。
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帝王切開に備えるおすすめの保険
帝王切開にそなえるおすすめの保険は、以下の2つです。
- コープ共済
- 県民共済
それぞれの内容を簡単に紹介します。
【関連記事】帝王切開に手厚い保険についてくわしく知る
この記事では帝王切開に手厚い保険について簡単に紹介しています。
よりくわしい内容を知りたい人はいかの関連記事を参考にしてください。
▶『コープ共済は帝王切開への保障が手厚い|たすけあい女性コースの内容』
▶『県民共済は2人目の帝王切開も保障する|保障内容と給付金請求の流れ』
たすけあい女性コース|コープ共済
コープ共済の『たすけあい女性コース』は、妊娠中でも、月々2,000円の掛け金から加入できる保険(共済)です。
帝王切開手術をした場合には、給付金として8万円支給されますので、自己負担額を大幅に減らせるといえるでしょう。
また、入院も保障しており、1日につき入院給付金として8,000円が支給されます。
県民共済
一般的な医療保険では、2人目の帝王切開は保障対象外です。
しかし、県民共済は2人目も保障しますので、過去に帝王切開で出産経験のあるひとにおすすめの保険(共済)です。
ただし、適用の条件として、『県民共済加入より1年以上経過していること』『妊娠合併症を併発していないこと』などがありますので十分注意してください。
帝王切開による出産費用を医療保険で抑える場合
帝王切開で保険金をもらうには?
実際に保険に加入するときには、どのような保険を選べば良いのでしょうか?
実は帝王切開専用の保険、というものはほとんどなく、生命保険に入院・治療特約を付帯させるか、医療保険を利用するかの二択です。
生命保険の特約や、医療保険では、入院費をはじめ、通院・手術などを保障する保険も選べるため、これを利用するわけです。それでは、生命保険と医療保険では、どちらに加入すれば良いのでしょうか?
入るべきは生命保険?医療保険?
ふたつの保険の違いを説明すると、被保険者が死亡時に保障がおりるのが「生命保険」、被保険者の治療時に保障がおりるのが「医療保険」です。
通常、生命保険には、入院・通院費や手術費の保障はありませんが、入院・治療保障の特約に追加で加入すると帝王切開の保険として活用する事ができます。
医療保険の場合、比較的短期間で利用できる「定期保険」がありますので、加入期間を短くできてお得です。
通常、ケガや病気はいつかかるか分からないものですが、妊娠・出産の場合、あらかじめ予定を立てておけるため、出産予定日にすこし余裕を持たせる形で期間を定めて加入すれば、計画的に保険を利用できるでしょう。
妊娠・出産を機に、
- 子宮がんや子宮筋腫が心配などの理由で長期的に保障を受けたい場合
- または、加入済みの生命保険や医療保険の見直しをしたい場合 など
終身保険など、長期で保障を受けられる保険に入り直すのもおすすめです。
どちらの保険も、帝王切開の場合だけでなく、様々な病気やケガの治療も保障してくれるため、子どもが欲しいなぁとお考えの方は、保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか?
保険に入るタイミング
保険に加入した方がお得なのは分かったけれど、加入のタイミングはいつにしたら良いのでしょうか?妊娠後でも保険には加入できるのでしょうか?
保険会社によりますが、ほとんどが母子手帳に初回診察記録がされた日から妊娠半年まで加入できます。つまり、妊娠しても妊娠後期出なければ加入できる可能性は高いのです。
ただ、一点注意すべき点は、妊娠中の医療保険には、「特定部位の不担保」になることがほとんどで、ようは、妊娠・出産に関する治療に関して制限がかかることがあります。この「特定部位の不担保」に含まれるのは以下のようなパターンです。
・帝王切開
・切迫早産
・切迫流産
・子宮頸管無力症
・吸引分娩
・早期破水
・子宮外妊娠
・前置胎盤
・妊娠中毒症など
要約すると、「特定部位の不担保」とは、「子宮を原因とする疾病には給付金が出ません」というものです。
妊娠前に保険に加入すると、この条件からは外されるため、出産に備えて保険に加入する際は、妊娠前の加入がおすすめです。妊娠後に慌てて加入しようと思っても保障を受けるのは難しくなりますので早め早めの加入がおすすめです。
帝王切開2回目は給付金が出ない?
入院・治療費の埋め合わせだけでなく、時には黒字になることもある生命保険・医療保険ですが、出産2回目以降に帝王切開をした場合、保障は受けづらくなります。これは、生命保険の場合も医療保険の場合も、過去5年以内に手術を受けた場合、保険への加入が難しくなるからです。
帝王切開はもちろん手術に含まれますし、保険に加入した後でも、一度帝王切開手術後の保障を受けていると、その後5年間は子宮を原因とする疾病は保障の対象外となってしまいます。
もちろん、5年が経過すれば再び保障は受けられます。帝王切開は一度してしまうとその後の出産は帝王切開になってしまうため、再び出産を予定している場合は、継続加入がおすすめです。
保険でもらえる費用とそうでない費用
生命保険の特約や、医療保険で保障されるのは、基本的に入院費です。
手術費、通院費などが保障される保険もありますが、基本的には少々割高になっています。
また、検診費や検診に向かう際の交通費などは保障されない保険がほとんどです。
手術費、通院費が保障されるかどうかは大きな違いとなるため、加入の際には注意して選びましょう。
損をしてる!?現在ご加入の保険は、加入時の必要保障になったままではありませんか?
最後に
妊娠・出産には多くの費用が必要ですが、きちんと公的医療保険制度や民間保険を理解したうえで望めば、負担する費用は少なくなります。
出産の後も、養育費や学費など、子どもを育てるのにはお金がかかるものです。
様々な制度や保険を利用して、節約できるところは節約していきましょう。
その中でも保険は有効な手段です、5人に1人が帝王切開となる今、まずは資料請求から保険を検討してみませんか?
帝王切開に備える以外にも、女性に特有の病気に備えたいという方は以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】女性特有の疾病にそなえる保険についてくわしく知る
医療保険に、女性に特有の疾病に対するセットにしたものを『女性保険』とよびさまざまな種類があります。
独身・結婚・出産後など、あなたのライフステージによって加入すべき保険はかわります。
以下の関連記事では、女性に特有の疾病に備える保険についてくわしく解説しています。あわせて参考にしてください。
▶『女性のための保険の選び方|特有の疾病に備えて必要な保障内容を比較』
▶『女性向けの医療保険|通常の医療保険との違いと年代別選び方』
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出典元一覧
- 日本医療機能評価機構
(http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/index.html) - 平成22年度我が国の保健統計/2.医療施設の動向
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/national/dl/22-03.pdf)