増え続ける外資建て保険のトラブル。外資建て保険に向いている人ってどんな人?

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近年、「外資建て保険」という商品に関連するトラブルが、消費者センターなどに持ち込まれることが増えています。消費者センターへの相談も高齢の方が多いということからからも、この商品の理解には多少の難易度が付きまとうことがわかります。

何故、外資建て保険のトラブルが増えているのか。外資建て保険はどのような人に向いているのかを解説します。

 

トラブルの原因はいずれも外資建てへの理解不足

外貨建て保険は、保険会社に対する保険料の支払いや保険会社からの保険金や年金の受け取りが外貨でも日本円でも、外貨で運用されます。

保険会社は、日本円と比べて相対的に利回りが高い外貨建て債券等で運用します。運用先の通貨価値が変わらない、または日本円よりも高くなる((外貨建て・円安)となれば、期待とおりまたは期待以上の利益が出ます。

ただし、運用先の通貨価値が日本円よりも安くなる(外貨安・円高)と、外貨建ての価値が減り、日本円に戻すとときに支払った保険料よりも少なくなり、損をしてしまう可能性があります。

 

外貨建て保険のトラブル事例

事例1:80代女性
銀行員の人が元本保証だと言ったと思って契約したのに、実は変額終身保険でした。最終的には数百万円も元本が減って大損しました。

事例2:60代男性
銀行に貯蓄性が高い商品がないかと相談したところ、外貨建て保険を勧めらました。アメリカ国債などの利回りの高さで利益が出る、といったメリットばかりを一方的に話され、結局勧められるままに契約したのですが、結果的には為替の影響を受けて利益は出ませんでした。商品の特性をわからないまま契約した自分も悪いのかもしれませんが、騙されたような気がしてなりません。

事例3:40代女性
内容がよくわからないまま契約したものの、証書などをよく読むと為替相場の影響で損をすることがあると理解して、慌ててクーリングオフをしました。その手続きには問題なかったので全額返金されると思ったのですが、クーリングオフの際も為替相場の影響があるらしく、戻ってきた額は支払った額より少なかったことがショックでした。

 

トラブル回避のポイント

外貨での運用は、下記の2つを基本に運用します。

  • 将来からみて現在円高の水準である
  • 将来、日本円に比べて、価値が高くなる通貨を選ぶ

 
為替相場は、以下の要素を多く満たす通貨ほど価値が高くなる傾向にあります。

  • 政治が安定
  • 経済が成長
  • 金利が日本よりも高い
  • 物価上昇率が日本よりも低い

 
上記で述べたことを踏まえ、例をあげましょう。保険料をまとめて払う「一時払い」としてその金額が70,000ドルの設定だとします。

 

為替相場 保険料
80ドル 560万円
\70,000 × 80 = \5,600,000
120ドル 840万円
\70,000 × 120 = \8,400,000

 

この時の為替相場が1ドル=80円であれば、日本円で560万円、1ドル=120円であれば、日本円で840万円。つまり、同じ保険であっても、上記の2つは、為替レートの違いで支払う保険料は280万円も違います。

しかし、現在の水準が円高であるか、円安であるかの判断は難しいものです。1つの対応策として、一時払ではなく、毎年払い等、分割払いにすることができます。

一時払いは、加入後、円安が進めば利益がでますが、円高が進むと損失が大きくなります。一方、分割払いにすると、加入後、円安が進むと支払う保険料は増えますが、円高が進むと支払う保険料は減ることになります。

結果的に、一時払いよりも分割払いのほうが、得られるリターンも小さくなりますが、リスクも小さくすることができます。

 

外資建て保険に向いている人の特徴

資金にゆとりがあり、リスクを許容できる人にとっては「利益が出せる可能性がある保険商品」という理解で加入できます。つまり、保険という仕組みを使った投資です。

投資の観点で見ると、円の価値が下がった際のリスクを考え、ドル資産に分散投資するという考え方もできます。そのことからも、下記のような方には外資建て保険が向いているとも言えます。

  • 為替の変動によって利益や損失が出る、という事実を承知した上で「投資商品」として理解できる人
  • 将来の円安に備え、外貨に分散投資したい人
  • 満期時期に関係なく、円安が進行したときに、解約して利益を確定できる人
    (いくら利益が出れば、ゴールなのかを決められる人)
  • 外貨で受け取ることが前提であれば、基本的に元本割れしにくいため、海外旅行時の小遣いなどでの利用を考えている人

 

「保険が将来への備え」であることを忘れないこと

保険の基本的な商品性は、困った人を助ける「支えあい」の制度であり、投資ではありません。ただし、計画的な資産形成ができない人には、「保険料を支払わないとルール違反」となる仕組みを使って、半強制的に資産形成をするのも1つの方法です。

また、日本で生活する人にとって、死亡リスク、病気・介護リスク、老後リスク、災害への備えは、日本円での保険が基本。ただし、日本の人口減少、経済衰退等、日本のリスクに備えたい人は、通貨分散、地域分散等のリスク分散の観点から、「上乗せ」として外貨建ての資産形成を考えるとよいでしょう。
 

記事の監修者

益山真一

益山真一

CFP(R)認定者。1級FP技能士。平成15年度より平成29年度まで國學院大學非常勤講師。人生の3大資金である教育資金、住宅資金、老後資金を効率的に手当てし、人生を楽しむお金を生み出すことを目標として、講演・研修、執筆、相談業務を展開。セミナーは平成30年8月末現在で、累計2830回を超える。活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つのバランスの最適化。

 

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