学資保険教育資金を準備する保険
学資保険(がくしほけん)とは、主に子供の養育費を目的とした保険で、保険料を払い続けることで入学祝い金や満期学資金として子供の年齢に合わせた給付金を受け取れることが特徴です。
加入前に知っておくこと
学資保険とは
学資保険とは、子供の教育費を貯めることを目的とした保険です。保険料を支払っていくことにより、あらかじめ設定した時期に入学祝い金や満期学資金などまとまった額の給付金を受けることができます。
加入するメリットとデメリット
メリット
- 教育費を計画的・半強制的に準備できる
- 貯蓄性が高い
- 契約者(親)が亡くなった場合、保険料の払込免除がある
- 親の死亡や医療保障を付帯できる
- 被保険者(子供)の医療保障も追加できる
デメリット
- 保険料が高い
- 途中でお金を引き出せない
- インフレに弱い
- 途中解約すると元本割れの可能性がある
学資保険の種類と特徴
学資保険の役割には大きく2つあります。
学資保険の保障
学資保険は保険商品ですから、もしもの時の保障を受けることが可能です。契約者(親)が死亡、高度障害状態になった場合は、保険料の支払いが免除され、あらかじめ設定した給付金を満期まで受け取れます。そのため、親にもしものことがあっても子供の教育資金を確保できます。また、特約を付帯することにより、子供の医療保障なども充実させることが可能です。
学資保険の給付金
学資保険は子供の教育資金を貯めることが本来の目的です。教育費にはかなりの金額が必要ですが、入学や進学のタイミングで祝い金を受け取れたり、満期のタイミングで満期金を受け取れたりします。保険に加入することで、半ば強制的に子供の教育資金を準備できるのです。
学資保険に加入する時期
学資保険はいつから加入するのがいいかと言うと、なるべく早めです。加入が早いほど、満期までの期間が長くなり、月々の保険料を抑えられます。子供が生まれたらできるだけ早めに加入するのがおすすめです。また、加入できる年齢には上限があり、多くの保険会社では6歳までとされています。6歳以降に加入できる商品もありますが、数が限られるうえに保険料が高くなってしまいます。
商品によっては、妊娠中に加入できる場合もあります。もし、いい商品があれば加入を検討するといいでしょう。
学資保険の平均保険料相場
毎月の学資保険料の平均は、10,000~15,000円と言われています。受取金額は200万円~300万円に設定する人が多く、満期までの期間に合わせて月々の保険料を算出できます。
満期金や祝い金受け取り時の税金
学資保険は入学祝い金や満期金として給付金を受け取ることがほとんどですが、数十~数百万円の高額な保険金を一度に受け取るため、保険金に対して税金がかかることがあります。
受取金は所得税の一時所得
契約者と受取人が同一人物で、一括で保険金を受け取る場合は所得税の「一時所得」となります。計算式は以下の通りです。所得を得るために支払った金額(保険料総額)を差し引くため、マイナスになることが多いです。マイナスになった場合、税金はかかりません。
なお、年金形式で受け取った場合は、所得税の「雑所得」扱いとなります。
選び方のポイント
学資保険を選ぶ前に
こちらでは学資保険が必要な人・不必要な人の特徴を挙げていきます。
学資保険が必要な人
現在貯蓄が少ない方や貯金が苦手な方は学資保険を検討してください。子供を育てていくには、どうしても教育費が必要です。学資保険に加入すれば、自動的に保険料を支払っていくため、貯金が苦手な人でも計画的にお金を貯められます。手元にお金があるとつい使ってしまう人でも安心です。また、親に万が一のことがあると保険料の支払いが免除されるので、子供の教育費だけはきちんと用意できます。
学資保険が不必要な人
現在十分な貯蓄がある方なら、学資保険に加入しなくてもいいかもしれません。学資保険は途中で解約してしまうと元本割れのリスクがあり、急にまとまったお金が必要になっても引き出せません。貯蓄が十分にある人、貯金が得意な人、投資など他の手段で教育費を準備できる方は、わざわざ学資保険に加入するメリットはそこまでないと言えます。
学資保険を選ぶ際のポイント
学資保険と言っても保険会社、商品により様々な種類や特徴があります。学資保険を選ぶ際に以下の点に着目して選ぶと、より良い商品が見つかるでしょう。
返戻率
返戻率は、支払った保険料に対してどれくらいのお金を受け取れるかを表した数字です。数ある学資保険を比較していく際は、学資保険の返戻率の高さを重視しましょう。おすすめは返戻率の高い学資保険から順に検討していくことです。返戻率が100%未満の保険は、元本割れになるので基本的に対象外とします。同じ商品でも、保険料払込期間を短くしたり、月払いより年払いを選択してまとめて払ったりすることで返戻率を上げることが可能です。
貯蓄型か保障型か
学資保険には保障と貯蓄の両方の役割がありますが、貯蓄をメインに検討していきましょう。学資保険は特約を付帯させることにより、保障を充実させることができます。しかし、保障を充実させすぎると保険料が高くなったり、返戻率が下がったりしてしまいます。学資保険の本来の目的は貯蓄です。貯蓄性に重きを置き、保障は二の次にしましょう。どうしても親や子供の死亡保障・医療保障を確保したいのであれば、他の生命保険や医療保険ででカバーするほうが効率的だと言えます。
払い込み完了時期
契約内容によっては保険料の払い込み完了時期を個々で設定できますが、子供が15~18歳になるまで(少なくとも大学入学前)に払い込みを完了させるようにしましょう。
理由としては、義務教育の期間よりも、高校や大学進学時のほうが学費負担が大きいためです。また、払い込み期間を極力短くすることで、保険料は安く高額な給付金が受け取れる、すなわち返戻率を上げることができます。
学資保険以外におすすめの保険
子供の教育費を準備するため保険と言えば学資保険だけではありません。とくに学資保険とよく比較される保険が「低解約返戻金型終身保険」です。低解約返戻金型終身保険は、入学祝い金などはないものの、貯蓄性があり、解約返戻金を受け取るタイミングを自由に選べます。
ただ、保険料払込期間中に解約すると大きく元本割れを起こしてしまうリスクがあるので、払い込み完了時期と月々の保険料は計画的に設定しなければなりません。
教育資金として必要な金額を試算
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 約67万円 | 約158万円 |
小学校 | 約193円 | 約959万円 |
中学校 | 約147万円 | 約141万円 |
高校(全日制) | 約137万円 | 約291万円 |
合計 | 約544万円 | 約1,549万円 |
これらを合計すると、幼稚園から高校卒業まで最低でも544万円以上、多ければ1,500万円程度の教育費がかかってきます。
また、4年制大学に子供を通わせるとなると、さらに学費がかかります。独立行政法人 日本学生支援機構の「平成30年度学生生活調査結果」によると、国立大で年間平均637,700円、私立大で1,373,900円の学費がかかります。ひとり暮らしをした場合は生活費も別途かかるので、できるだけ多めにお金を用意しておきたいものです。
子供の教育資金をすべて学資保険でカバーすることは難しいのですが、少しでも楽に貯めるために学資保険を検討してみてください。