妊娠・出産で選ぶ女性保険の知識6つ|賢い費用の抑え方

2023年12月25日

妊娠・出産は女性によって人生で最も大きなイベントとも言えます。妊娠・出産は検診や入院など医療費負担が増えるので、国や自治体の助成金制度だけでなく女性保険などの民間保険による保障も併用することをおすすめします。

今回は妊娠・出産にかかる具体的費用と保険を選ぶ時のポイントなどご紹介します。

女性保険には妊娠保障が付いているものもある

医療保険の女性向けプランの中には、妊娠・出産に備えられるものもあります。いつ何が起こるかわからない妊娠・出産は、入院や処置で急にまとまったお金が必要になることもあるでしょう。保障をうまく活用できるとお金の心配をしなくて済みます。妊娠・出産での保険選びのポイントは以下の通りです。

  • ・妊娠・出産で保険加入をするなら遅くとも27週目までに加入
  • ・生命保険より医療保険がおすすめ
  • ・妊娠・出産の期間だけ保障を手厚くしたい場合は少額短期保険
  • ・自然分娩・帝王切開など保障内容は保険商品によって違うので要注意
  • ・短期入院や長期入院でどれだけ保障があるかチェック
  • ・支払条件も要確認(妊娠中に加入した場合は条件が付く場合がある)

妊娠・出産で保険加入を考えている方は27週目までに加入した方がいい

妊娠や出産に備えて女性保険に加入したいと考えている方は、保険商品によっても異なりますが遅くとも妊娠27週目までに加入するようにしてください。多くの女性保険は、妊娠27周目までであれば加入できます。

ただし、妊娠中の保険加入の場合「特定部位の不担保」になる場合もあります。

妊娠・出産で保険を活用する時に考えるポイント

妊娠・出産のため保険に加入したい場合は、医療保険に加入することをおすすめします。保険には生命保険と医療保険がありますが、生命保険は死亡時の保障、医療保険は入院・手術時の保障と考えてください。妊娠中は、出産入院だけではなく、体調不良により入院する方もいます。そんなときに頼りになるのが医療保険です。

妊娠・出産に備えて医療保険に加入する場合は、入院保障がどのようなものか、帝王切開や自然分娩などどこまで保障されるかを確認することが大切です。

妊娠・出産の期間だけ保障を手厚くしたい場合は少額短期保険

妊娠・出産は一生のうちに何度もあることではありませんが、入院や手術を伴う可能性が高いイベントですよね。そんな時は、「少額短期保険」に加入するのがいいでしょう。

少額短期保険は、保険金額が少額で、保障期間が1年〜2年以内などの短期間の保険のことです。妊娠・出産などの特定の期間だけ保障を手厚くしたい場合におすすめです。以下の表では、妊娠・出産を対象にした少額短期保険を扱っている2社の保障内容を比較しました。

A社(30歳女性の例) 内容
特徴 妊娠19週目までの申し込みで加入できる
自然分娩を含む入院 5,000円/日(※保障開始日に妊娠中だった場合は対象外)
帝王切開を含む入院中の手術 5万円/回
死亡時 50万円
月額保険料 2,220円/月

妊娠・出産の保障がある保険には、自然分娩にも保障が付いているものとそうでないものがあります。自然分娩は公的医療保険の対象ではないため、保険商品によっては保障対象にならないので確認するようにしてください。

>B社(27歳女性の例) 内容
特徴 妊娠10ヶ月までの申し込みで加入できる
自然分娩を含む入院 1万円/日(※加入時に妊娠中だった場合は正常分娩も異常分娩も対象外)
死亡時 150万円
交通事故や不慮の事故での死亡 300万円
月額保険料 2,500円/月

商品によって保障内容や金額が異なるので、加入時によくチェックして比較検討してください。

妊娠・出産にかかる費用は100万円!?|医療費やその他発生する費用

妊娠・出産にかかる費用はおよそ50~100万円とも言われています。妊娠・出産は、国や地域から助成金などがもらえますが、受け取りが出産後になるケースもあります。

そのため、公的制度を利用する場合であっても、一時的にお金が必要になるのです。この項目では、妊娠・出産時の費用についてご紹介します。

妊婦検診などにかかる費用

妊娠は病気ではないため、妊婦検診は通常、保険適用外です。

妊婦検診は5,000円〜1万円ほどで病院により差があります。通院回数は母子の健康状態にもよりますが14回ほどです。妊婦健診はおよそ10万円前後と考えておきましょう。

(5,000〜10,000円)×14回= 7万〜14万円

検診以外の検査費用

定期検診以外にも、お母さんや赤ちゃんの状態によって様々な検査をする必要が出てきます。検査内容によって費用は変わりますが、1回の検査費用として1,000円〜1万円程度でしょう。検診以外の医療費として3万円〜5万円前後の余裕を見ておくを安心です。

母親学級・父親学級などの参加費

妊娠・出産の知識や子育てに関して学ぶことができる母親学級・父親学級。ほとんどの地域や病院では無料で行なっていますが、有料のところもあります。有料の場合、参加費として1回1,000円〜2,000円程度のところが多いです。母親学級・父親学級の参加費は1万円前後と考えていいでしょう。

出産にかかる費用

厚生労働省によると、出産にかかる費用は平均約47万円です。出産費用は利用した施設によっても多少変動します。出産だけの費用としてだいたい50〜70万円前後を見積もっておきましょう。現在では、産後エステ等様々なサービスを備えたクリニックもあります。豪華な病院では100万円ほどかかる場合もあります。出産費用の詳細は、施設に確認しましょう。

引用元:厚生労働省保険局|出産育児一時金について

その他に発生する費用

この他に、マタニティウェアやベビー用品などの購入費用があります。妊娠中期〜後期になると赤ちゃんの成長とともにお腹もどんどん大きくなって、普通の洋服では不都合が出ます。また、生まれてくるかわいい赤ちゃんのためにベビーベッドやベビーウェアなど、ついつい色々買ってしまうこともあるでしょう。お母さんや赤ちゃんの物の購入費は、だいたい10~15万円前後と言われています。

妊娠・出産費用を安く抑えるために知っておきたい公的制度

妊娠・出産にかかる費用は高額になってしまう場合が多いですが、一時金や助成金などの制度もあります。公的制度と民間保険をうまく併用して、費用をなるべく安く抑えたいですよね。

公的医療保険適用のものは3割負担になる

妊娠・出産に伴う医療のうち、公的医療保険適用のものは3割負担で済みます。公的医療保険適用となるのは帝王切開などの異常分娩、切迫流産や流産、重症妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群などです。

通常の妊婦健診、自然分娩は保険適用外になるので全額自己負担となります。

国からの一時金・助成金制度を利用する

先の項目「出産にかかる費用」でもお伝えしましたが、出産には平均約47万円の費用がかかります。しかし、出産育児一時金として胎児ひとりあたり42万円(※)(2023年4月からは50万円)を受給できるため、出産にかかる費用をカバーできます。

また、妊娠・出産で会社を休んだ場合は、出産手当金も受給対象になる可能性があるため、加入している健康保険協会のサイトなどで調べてみましょう。

※…産科医療補償制度対象外の出産は40.8万円

地域の助成金制度を利用する

国からの出産育児一時金の他にも、各地域自治体では「妊婦健康診査費用助成」という助成金制度があります。要件や保障内容については地域によって異なりますが、妊婦健診などの費用が保障されます。

保険を見直す時は子供が生まれた後のことも考える

妊娠・出産を機に保険を見直す場合は、子供が生まれた後のお金について考えておくといいでしょう。生まれた子供の教育費のための学資保険は早い段階で備えておきたいものです。

まとめ

妊娠・出産は女性によって人生最大のイベントとも言えます。新しい命を授かることは素晴らしいことですが、現実問題として様々な費用が発生します。国や地域の公的制度を利用するとともに、民間保険も併用することで金銭的負担を軽くすることができます。この記事で、妊娠・出産をされる方がお金の心配なく子供を産み育てるお手伝いができれば幸いです。

※2023年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以