生命保険と医療保険の違いと加入する上で知っておきたい注意事項

2022年2月20日

保険には色々な種類がありますが、生命保険と医療保険のどちらに加入するべきかお悩みの方は少なくないでしょう。どちらの保険に加入するべきかは、加入する人の状況によるので一概に言えませんが、選択する上で生命保険の特徴や、医療保険の特徴は押さえておくべきです。

今回の記事では、生命保険と医療保険の特徴を説明し、加入する際の注意点について説明します。

生命保険とは|死亡時・高度障害時を保障するための保険

では、生命保険とは、どういった保険なのでしょうか。

主な保障内容

まず、生命保険に加入する目的は、被保険者が死亡した場合に、契約時に指定した受取人が死亡保険金を受け取るためです。家族を養う大黒柱に万が一のことがあったときに備えて、家族のためにお金を残す場合を想定していただくとイメージしやすいかもしれません。

保険の種類

生命保険には、主に定期保険、終身保険、養老保険の3つにわけることができます。

定期保険

定期保険とは、加入した保険期間の間だけ保障を受けることができる保険です。もし、加入期間中に被保険者が亡くなられた場合、受取人は死亡保険金を受け取ることができますが、加入期間後に死亡した場合、受け取ることができません。

一般的には、保険期間を終えた場合、保険期間を更新することは可能です。しかし、更新するごとに保険料は高くなります。

※死亡保険金が減っていく代わりに保険料が安い定期保険もある。

以下、定期保険の特徴になります。

  • ・加入時の保険料が終身保険と比べて安い
  • ・更新(年齢)ごとに保険料が高くなる
  • ・満期保険金はもらえない
  • ・保険の見直しがしやすい
  • ・解約返戻金(解約時に戻ってくる保険料)のない商品が大半
  • ・高齢になると更新できなくなる

終身保険

終身保険とは、一生涯、保障を受けることができる保険です。解約しない限り、死亡すると確実に死亡保険金を受け取れるので、そのお金を葬儀費用に回すことができます。保険料は、定期保険と比べて高額ですが、更新がないため加入時から保険料が上がることがありません。長期で加入する場合は、トータルで支払う保険料が定期保険より低額になることもあります。

また、保険料の支払い方法として、一定期間で支払いが完了する有期払込型と、生涯支払いを続ける終身払込型に分かれます。以下終身保険の特徴です。

  • ・保障が一生涯続く
  • ・加入時の保険料は定期保険と比べて高い
  • ・更新ごとの保険料の増額はない
  • ・満期保険金はもらえない
  • ・保険の見直しがしづらい

養老保険

養老保険とは、死亡保障に貯蓄機能を兼ね備えた生命保険の一種です。保険期間は一定の期間に限られますが、定期保険と同様にその間に被保険者が死亡した場合、死亡保険金が支給されます。保険期間が終了するまで被保険者が生存していた場合、死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる仕組みです。

主な特約

保険には保障内容を充実させるために、特約を付けることができます。特約の内容は保険の種類、商品によって異なりますが、生命保険に関しては主に以下の特約を付けることができる商品が多いです。

  • ・収入保障特約:被保険者が死亡または高度障害状態になった場合、あらかじめ定められた期間まで年金形式で保険金を受け取れる特約
  • ・災害割増特約:不慮の事故などで死亡したとき、通常の死亡保険金に上乗せして保険金を受け取れる特約
  • ・三大疾病保障特約:三大疾病にかかった際に保険金を受け取れる特約

医療保険と生命保険の違い

医療保険と生命保険の違いを理解するためには、医療保険とはどのような保険なのかを理解しなければなりません。

医療保険の保障内容

医療保険とは、被保険者が病気や怪我などで入院、手術をした場合に給付金が支給される保険です。生命保険と同じく、死亡時に死亡保険金を受取ることも可能ですが、生命保険と比べるとその額は少額になります。あくまで医療保障を充実させることを目的とした保険であり、入院や手術、通院時の家計の負担を軽減するという面で心強いでしょう。

保険の種類

また、生命保険と同様に、定期型医療保険、終身型医療保険に分けることができます。医療の技術の発展と共に、必要な保障内容は異なってくるため、保険の見直しを視野に入れているのであれば、定期型医療保険への加入がおすすめです。また、高齢になるほど医療費はかさむものですが、老後の治療に備えたい方は終身医療保険を選ぶ傾向にあります。

保険金の受取人

保険に加入する際に、保障を受ける対象者である被保険者と、実際に保険金を受け取る受取人を指定しなければなりません。一般的に、生命保険では被保険者と受取人は異なりますが、医療保険においては同一であるケースがほとんどです。

これは、実際に医療保険では医療費のサポートが必要なのが被保険者であることが理由になります。

特約

生命保険の特約は、死亡保障を手厚くさせる内容の特約が多かった反面、医療保険の特約は医療保障を充実させる内容の特約が多いです。医療保険でよく見られる特約として、以下の特約があります。

  • ・疾病入院特約:病気で入院した場合に入院給付金を受けることができる特約
  • ・がん入院特約:がんで入院した場合に保障が受けられる特約
  • ・女性疾病入院特約:乳がん・子宮筋腫・甲状腺の障害など女性特有の病気で入院した場合に給付金を受けることができる特約
  • ・通院特約:入院後の通院費用をまかなうための特約
  • ・三大疾病保障特約:三大疾患(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)を患った際に給付金を受けることができる特約
  • ・先進医療特約:先進医療(厚生労働省が認定しているが健康保険が適用されていない医療)を受ける際に給付金を受けられる特約

医療保険とがん保険の違い

医療保険とがん保険のどちらに加入するべきか悩まれる方は少なくないでしょう。がん保険とは、文字通り被保険者ががんになった際に保障を受けることができる保険です。がんは、日本人の死亡する原因の中でも割合が高く、治療が長引きやすい病気と言われているため、医療保険から独立する形でがん保険が誕生しました。

全ての病気に対応できることからがん保険と比べて医療保険は好都合なように思われますが、入院給付金の支払限度日数は短いものが多いです。一方、がん保険は入院給付金の支払限度日数が無制限となっているものが大半で、長引くがん治療に対応できます。

生命保険・医療保険に加入する際の注意点と確認事項

生命保険または医療保険に加入する上で、気を付けておきたい点、確認すべき点について紹介していきます。

保険金が受けられる条件を明確にする

まず、保険金を受けることができる条件を明確にするべきです。医療保険に加入した方は、手術や入院が必要になったからといって必ず給付金が受け取れるわけではありません。例えば、保険の責任開始前にかかった病気で入院する、入院した日数が所定の日数に満たない(入院5日目から保険金が支払われるような保険の場合)ときは、支払事由に該当しないとみなされ、保険金を受け取れません。

また、生命保険においては、自殺の場合、死亡保険金が支払われません。(条件によっては自殺でも支給されます。)

特約が多くなるほど保険料は高くなる

加入する保険でカバーできない保障内容は特約で補えます。しかし、保険料は保障が手厚くなるほど高額になります。保障が充実しているから良い保険とは限らないので、保険料と比べて特約の内容を決めるようにしましょう。

加入目的を明確にした上で保険・特約の内容を決める

加入する人の状況によって必要な保障内容は異なるため、加入目的を明確にした上で、加入する保険の種類、特約の内容を決めましょう。例えば、自分が死亡した後の家族の生活を心配する方は生命保険に加入しますが、がん、急性心筋梗塞などの三大疾病にも備えたい方は三大疾病保障特約を付けることをおすすめします。

他の保険と保障内容が被っていないか確認する

他の保険に加入している方は、双方の保険の中で被っている保障内容がないか確認しましょう。特約の内容によっては他の保険で安くカバーできる場合もあるので、同じ保障内容でも低額で保障を受けられるように見直しをしてください。見直しをする際には、FPに相談することをおすすめします。

まとめ

生命保険、医療保険のどちらに加入するのかを検討する上では、双方の性質について理解するべきです。保険の加入を検討されている方が、双方の保険の性質、違いを知る上で当記事を参考にしていただけたら幸いです。

※2022年2月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以