生命保険の全知識|保険の比較・見直し・選び方の完全ガイド

2022年3月3日

生命保険(せいめいほけん)とは、主に人の死や怪我、病気にかかる費用を保障することを目的とした商品のことです。被保険者が死亡するなど保険約款に定められた条件のもと、保険会社が受取人に保険金を支払うことを約束します。

学資保険や個人年金保険、養老保険なども生命保険の一種とされています。

生命や怪我、病気に関わる損失を保障する生命保険ですが、一口に生命保険と言っても保険会社によって保障内容には様々な違いがあり、数多くの種類が存在します。世の中に数多くの生命保険がある中で、あなたは本当にしっかりと選んで生命保険に加入しているでしょうか?

もしかしたら、

  • ・友人や知人に勧められてなんとなく
  • ・保障内容を良く理解しないで加入した
  • ・保険のお姉さんが美人だったから など

このような経緯で加入していないでしょうか?決して安くはない保険料を支払いながら、自分が加入している保険の全容を知らないことは、実はとてつもなく大きな損をしている可能性があります。

生命保険は誰にでも必要というものでもありませんが、すでに加入している方で、そういえばなんとなく加入しているという方は、今からでも生命保険の見直しをしてみることをおすすめします。

そこで今回は、生命保険への加入を検討している方、生命保険の見直しをしようかと考えている方に、生命保険について理解が深まるポイントをご紹介していきます。

生命保険とは|加入状況や保険金・保険料の額

生命保険の加入率

生命保険の必要性について考えてみたところで、世間一般の多くの方は、実際にはどんな保険に加入しているのかも気になる方もいるでしょう。

先ほどの「生命保険文化センター|生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、民間の生命保険、簡保、JA、生協・全労済といった生命保険に加入している割合は、男性で81.1%、女性で82.9%でした。

死亡保険金の平均
  • ■男性:1,866万円
  • ■女性:801万円
疾病入院給付金の平均
  • ■男性:1万900円
  • ■女性:9,100円
保険料の払込金額の平均(年間)
  • ■男性:23万4,000円
  • ■女性:16万8,000円

生命保険を目的別で選ぶ際に考えておくべきこと

保険には様々な種類がありますが、怪我や病気に備える「保障型」なのか、未来のためのお金を用意したい「貯蓄型」なのかの2択から、保険選びは始まります。

さらに、「バランス」をとるのか、「自分が死んだ後も長期的に保障したい」のか、この4パターンでご検討いただくのがいいでしょう。

そもそも生命保険は何のために選ぶのか?

生命保険の始まりは、「誰かに何かがあった時のお金」として共有財産を作る目的でできた金融商品です。

つまり、生命保険の大きな目的は、まとまったお金を用意することと言っていいでしょう。従って、少額のお金を納めることで、もしもの時の不安に備える役割があります。

保障をメインに考えたい場合|定期型

見直しをしながら保険を活用したい方

例えば就職や結婚、子供ができた時など、それぞれのシーンで必要な保障は変わってきます。まだ見直す場面が訪れそうだなという方は、定期型の生命保険を利用するのがいいでしょう。

これから貯金をするつもりの方

生命保険に加入しなくても貯蓄をして財産を形成することもできます。しかし貯蓄金額が目標に達する前に万が一のことがあってしまっては困りますね。

まだ保険に加入するかどうか迷っている方

例えば就職したばかりのような若い方は、生命保険に加入するべきかどうか迷っているのではないでしょうか。とくに残すようなお金がない場合は加入する必要はありません。

貯蓄をメインに考えたい場合|終身型

以下のような特徴に当てはまる人は、終身型が向いているかもしれません。

長期的な資金計画を立てたい

終身型の生命保険の場合、契約時から払い込み満了まで保険料は変わりません。利率の変動などによっては損をする可能性もありますが、保険料が一定であることは資金計画をしやすいといったメリットでもあります。

万が一に備えつつ貯蓄もちゃんとしたい

解約返戻金がついている終身型は、中途解約をした場合でもある程度払い込んだ保険料が戻ってくるのが利点ですね。そのため万が一に備えつつ貯蓄をすることが可能です。

払い込み満了まで解約をしない、という強い意志があるならば「低解約返戻金型」の終身保険に加入するのもいいかもしれません。

保険金を確実に受け取りたい

終身型は保障が一生涯つづくものですので、解約をしない限り必ず保険金を受け取ることができます。保険料を払い込んでいる以上、確実に受け取りたいという方は終身型が向いているといえるでしょう。

貯蓄も保障も考えたい場合|養老保険

以下のような特徴に当てはまる人は養老保険が向いているかもしれません。

確実に貯蓄をしたい

養老保険は、被保険者が死亡したら受取人に死亡保険金が支払われますが、満期まで生存していたら満期返戻金が支払われます。長期的な「貯金」と言ってもいいので、貯蓄目的で契約することもできます。

老後のためにお金を用意しておきたい

養老保険のいい点は確実に貯蓄ですが、もうひとつ加えるとするならば、満期が退職時期と重なるといった点です。退職する時期に満期を迎えることは、老後の資金がちょうどいいタイミングで用意されるということです。

自分の死後も家族に長期的なお金を残したい|収入保障保険

以下のような特徴に当てはまる人は収入保障保険が向いていると言えます。

長期的に保険金を受け取りたい

収入保障保険は、保険金を年金形式で受け取るものです(一括受け取りも可能です)。保険金を毎月または毎年など、分割して受け取れるかたちであれば、一気に使ってしまうこともなくなります。

遺族を支えるためのお金を残したい

収入保障保険のメリットは、自分に万が一のことがあった際、子供が成人するまでは支えたいなどの願望に適したところです。

10年後を保険の満期日に設定することで、自分に万が一のことがあっても子供が成人するまではお金の支援ができますね。

遺産相続の財産・相続税対策として考えている場合|死亡保険全般

生命保険は、法定相続人ひとり当たり500万円という非課税枠があります。預金として相続するよりも、生命保険金として受け取ったほうが節税効果が期待できるのです。

そのため、相続税対策として生命保険を活用するのもおすすめです。節税効果を期待して加入する保険は、死亡保険金が付帯している保険であれば定期保険でも終身保険でも養老保険でもかまいません。

生命保険の必要性を考えた場合に知っておくべき知識

生命保険は必要ない方もいれば、あったほうがいい方もいらっしゃいます。では、自分にとって生命保険は本当に必要なのかどうかを考えることが、加入や見直しをするための第一歩と言ってもいいでしょう。

生命保険の必要性|不安が大きな人は加入しておくと安心

生命保険の目的が「不安の解消」だとするならば、「何に対して自分は不安を抱えているのか」を、明確にするのが重要です。自分は、何のために、生命保険に加入するのかをしっかりと理解していれば安心感も増しますね。

お金を残したい相手がいる場合

生命保険の保険金が支払われるのは基本的に被保険者が死亡した時です。お金を残したい相手が両親なのか、子供なのか、妻なのか…。自分は誰にお金を残したいのかを一度振り返ってみると、相手によってどの程度のお金を残すのかイメージが湧きます。

老後のための貯金が苦手な場合

生命保険は死亡時に保険金がもらえるというイメージが先行しがちですが、貯蓄型の保険なら、それを使って老後のお金を用意することもできます。

貯金が苦手という方なら、半強制的に貯金ができる生命保険はある意味便利です。

一時的な保障がほしい場合

例えばですが、「貯金は別途するので保障だけがほしい」といった場合、生命保険のひとつである「定期保険」を活用することで、10年~20年といった保険期間を指定することが可能です。

定期保険の場合は中途解約すると支払ったお金は戻ってきませんが、保険料を安く抑えられます。

銀行よりも大きな利息をつけて貯金したい場合

お金を預ける先と言えば真っ先に思い起こされるのは銀行だと思います。しかし、銀行の金利はメガバンクの定期預金でも0.1%もないため預けていても大幅な増額は見込めません。

それに比べて生命保険の「終身保険」ならば、保険会社によって金利に差はあるものの、銀行の預金よりも多くのお金が戻ってくる可能性があります。

とにかく先行きが不安な場合

生命保険には「不安を取り除く」という役割があると先ほどご紹介しましたが、社会人になりたての方は「若いうちに入った方がいい」という台詞をよく言われてきたのではないでしょうか。確かに若いうちに加入しておくことで保険料は安く抑えられます。

その場合、月1,500円程度の定期保険などに一時的に加入してみるのがいいかもしれません。1年くらい加入してみて、解約をすることもできますし、月に1,500円程度であれば、生活に大打撃を与えるほどではないでしょう。

生命保険がそれほど必要ではない方

逆に、生命保険がそれほど必要でない方としては、以下のような状況や考え方の方が当てはまると言えます。

お金を残したい人がいない場合

生命保険は万が一の事態に備えるものです。自分に何かあった時、誰かにお金を残す必要がない場合や、誰に残したいかも決まっていない場合は、生命保険に無理やり加入する必要はないでしょう。

貯蓄が十分にある場合

貯蓄が十分にある方は、万が一の時や、大きな病気で入院してもお金に困ることはありません。ただし、人によって必要な額は異なります。独身なら病気の治療代や当面の生活費があればなんとかなるかもしれません。一方、配偶者や子供がいる方は、子供の教育費や家族の生活費を残さなくてはいけません。どのくらいの貯蓄が必要か、よく考えてから保険の必要性を検討しましょう。

まだ年齢も若く結婚もしていない独身の場合

例えばあなたが20代で独身の場合は、まだ生命保険に加入する必要性は少ないかもしれません。それほど収入も高くない状態で生命保険に加入をしても、固定費がかさむだけでしょう。

そもそも必要性を感じていない場合

当たり前かもしれませんが、そもそも保険の必要性を感じていない場合は、加入する必要はありません。よく「親が言うから」「知り合いの保険のおばさんに言われて」といったような理由で加入する方は多いですが、それはおすすめできませんのでやめておいたほうが賢明です。

  • 根拠のない保険金額
  • ・簡単な説明だけで加入を勧めてくる
  • ・定期なのか終身なのかもわからない など

「なぜ加入するのか」を説明できるぐらいでないと、その保険料は垂れ流しているのと同じだと考えてしまって問題ないです。

生命保険の解約が必要な場合|生活保護を受けている方向け

日本には最後のセーフティネットとして生活保護というものがあります。働きたくても働けない、生活を維持するだけの収入が困難な方に向けられた制度です。

では、「病気が原因で働けなくなり、生活保護を申請することになったが復帰するつもりはある」という場合、生命保険に加入したまま生活保護を受けることはできないのでしょうか?

解約を求められる場合

生活保護申請をする際、基本的には生命保険の解約を求められてしまいます。その際の理由としては「解約返戻金によって資産形成が可能になること」が挙げられます。生活保護は税金によるものですので、生活保護を受給する際は基本的に生命保険の解約を求められるのは、ある意味当然かもしれませんね。

解約が求められない場合

生命保険の終身保険には基本的には解約返戻金があるため、生活保護を受ける場合は解約を求められます。しかし、定期保険の場合は解約返戻金がない、またはごく少額という契約が多いです。その場合は、生命保険の加入を継続させたままにしておける場合があります。

生命保険の選び方|生命保険を選ぶ際に必要な6つの知識

生命保険の種類は意外と多くあり、結局何を選べばいいのかよく分からないかもしれません。

目的を持って選ぶことが大事とは言え、こんなに種類があっては「保障を充実させたい場合」「貯蓄を優先させたい」「バランス重視したい」といった、あなたが望む細かいニーズを満たすことは難しいでしょう。

そこで、生命保険を選ぶ際に、最低限これだけは押さえておくべきことと、それぞれの保険を比較する時に知っておいてほしいポイントを6つ解説していきます。

  1. いつ(加入期間・契約期間・払込期間)
  2. いくら(保険料・保険金・返戻金)
  3. 誰が(保険の対象者)
  4. なにを(保障内容)
  5. なぜ(保険の目的)
  6. どのように(保険の種類)

上記の6つのポイントを基本に考えていくといいでしょう。

1:どんな保障がほしいのか?

生命保険に色々な種類やタイプがあるのは、すべての方が同じ目的で生命保険に加入するわけではないからです。そのため、まずは生命保険にどんな保障を望むのかを考えましょう。

例えば、一家の大黒柱である世帯主が亡くなってしまった場合、残された家族の生活に不自由をさせたくないなら、死亡保障が充実した生命保険がおすすめです。

他には・・・

  • ・年金だけでは老後が不安:養老保険や終身保険、個人年金保険(貯蓄型)
  • ・子供の学費などが不安:学費に充てる学資保険(貯蓄型)
  • ・病気や怪我に備える場合:入院費や治療費に充てる医療保険(保障型)
  • ・がん家系だからがんが心配:がん保険(保障型)

加入の目的を明確にすれば、山のようにある保険商品の中でも、大まかには「保障型」か「貯蓄型」のタイプで、どちらを選べばいいのか簡単に分かります。

2:いつまで保障を必要とする期間があればいいのか?

次におさえたいのは保険期間ですね。保険会社と契約を結んでから終了するまでの期間を保険期間と言います。保険期間は10年~20年、一生涯など保険の種類によって違いがありますが、保険期間の選択はとても重要です。

生命保険に加入する場合、どれくらいの期間に渡って保障が継続してほしいのかを考えましょう。

  • ・60歳前後で2000万円程度の貯金なら:終身保険(一生涯)
  • ・子供が大きくなる50歳までは元気でいたい:定期保険(短期間)

3:必要な保険金や給付金はいくらなのか?

保障金額は高めに設定すればするほど安心できますが、高くしすぎると保険料の負担が重くなってしまいます。

そこで、まず検討するのは現在の生活を維持するために必要となる金額です。月々の生活費から、残された家族が最低限必要とする金額を概算で算出してみましょう。そして、貯蓄で賄えない額を保険でカバーします。

4:保険料の払い込み金額は適切か?

保険金額の話と連動しますが、保険金を高くすればそれだけ保険料も高くなります。同じ条件で、より保険料の安い商品はないかと探すのはなかなか難しい問題です。

生活を圧迫するほどの保険料を毎月払うのでは、保険本来の目的から外れることになります。今の生活、今後の見通しを考えた上で、自分にとって一番いい金額を探すしかありません。

こればっかりは〜〜の保険がおすすめですと、安易に紹介することはできませんので、経済状況を一番把握しているあなたが、「これなら!」と言えるものを見つけるしかありません。

もし難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの無料相談サービスの利用がおすすめです。プロの意見をもらいに行きましょう。

5:いくらの返戻金になるのか?

解約返戻金とは、生命保険を契約期間中に解約した時に戻ってくるお金のことです。解約返戻金には以下の2つの型があります。

従来型

従来型は、通常のように解約返戻金がついているものです。解約返戻金がどれくらい戻ってくるかは「返戻率」によって異なります。

例えば70%であれば、払い込んだ保険料の7割が戻ってきます。この返戻率は、保険商品によって違うため、契約前に必ず確認をするようにしましょう。

低解約返戻型

低解約返戻型は、返戻率を従来型の7割程度に抑えることで、月々の支払い保険料を抑えた商品です。保険料払込期間中の解約返戻金が少なく、払い込みが満了した時点で解約返戻金が増える仕組みになっています。

返戻率は通常年数が経過すればするほど上昇し、保険商品によっては保険料の払込総額を上回る場合もあります。しかし、途中解約をした場合は、払い込んだ保険料のすべてが返ってくるケースは稀ということを覚えておくといいでしょう。

生命保険を比較する際に見るべきポイント

生命保険そのものを比較する場合は、下記の3つに気をつけましょう。

  • ・自分で内容を説明できるか
  • ・払おうとしている保険料を平均と比較して、いいか悪いかを判断する
  • ・保険会社破綻を引き継ぐ会社があるか など

定期保険を比較する際のポイント

定期保険を比較する場合のポイントは、大まかに分けると以下です。

年満了型(短期型)

何歳から定期保険に加入しても5年、10年、20年といった形で契約期間が決められるタイプです。比較的短期間での契約は年満了型が多いですね。

歳満了型(長期型)

何歳から加入しても60歳で満期、65歳で満期といった形で、年齢で契約期間が決められるタイプです。

更新型(短期型)

一般的に定期保険は、期限が過ぎれば自動更新です。保険料は、更新時の年齢によって上がります。

全期型(長期型)

保険期間が終了すれば契約も終了となります。ただ、これは契約期間の長い歳満了型の契約に多く見られます。

逓減定期保険

逓減定期保険は、期間中年数が経つにつれて保険金額が減り、それに伴い支払う保険料も抑えられる定期保険です。通常、50・60歳と高齢に近づくにつれ、子供の養育費や住宅ローンなどの責任や債務は減っていきます。多くの保険金を用意する必要がなくなるため、保険金額が減っても問題ないのです。

逓増定期保険

逓増保険は、主に節税対策として加入される定期保険です。貯蓄の要素も兼ね備えており、解約返戻金もあります。

終身保険を比較する際のポイント

生涯保障が続くことでとても頼りになる終身保険ですが、貯蓄を目的とするのか、保障を目的とするのかでも選ぶべき保険は変わります。

入院給付金額

保険会社によって細かく金額の設定ができますが、人気なのは5,000円と10,000円の2種類です。もっと給付金がほしい場合は、10,000円以上の給付金が支払われる保険商品もありますので、そちらを選んでいただくのもいいでしょう。

入院限度日数

60日と120日の2種類が多いです。120日以上給付金が支払われるタイプもあります。

通算支払限度日数

1入院の支払限度日数とは別に、保険期間を通して受け取れる入院給付金の日数限度も設けられています。

保険料の支払期間

「終身払い」「短期払い」「一時払い」の3つがあります。「終身払い」の場合、加入中はずっと保険料を支払う必要があります。「短期払い」や「一時払い」ははあらかじめ設定した期間まで保険料を支払えば、以降は保険料を支払う必要がなくなります。

解約返戻金のあるなし

近年の終身医療保険は、この解約返戻金がない分保険料が安く設定されているタイプが多くなっていますが、解約返戻金が支払われるタイプもあり、保険に貯蓄性を持たせることができます。

保険料は高くなってもいいから、貯蓄として保険を活用したい場合は、解約返戻金がある保険商品を選びましょう。

その他の特約の違い

特約はつけた分だけ、保険料に上乗せされるため、たくさんつけることはおすすめしません。しかし、公的医療保険が適用されず、医療負担が高額になりがちな先進医療を保障する「先進医療特約」は、月々100円くらいから加入できる保険会社もあるのでおすすめです。

養老保険を比較する際のポイント

養老保険は貯蓄性が高い保険ですので、定期保険、終身保険、学資保険との比較をするのが最も賢い選択でしょう。

定期保険の特徴と比べた場合

保険の契約期間が続く限りは保障されるという点では養老保険と同じです。定期保険は「費用が安い」「解約返戻金がない」などの特徴があり、「最低限の保障だけほしい」という方は、定期保険が向いています。

終身保険の特徴と比べた場合

終身保険は長く契約することで、解約返戻金が今まで支払った保険料を上回ります。途中で保険を解約して老後の資金に回すことも可能です。一方、養老保険のような満期返戻金はありません。

学資保険の特徴との比較

学資保険も養老保険の仕組みとほとんど同じです。しかし、保障の多さ、保険料の高さ、満期になっても元本割れもありますので、養老保険に比べると貯蓄性は低いと言えるでしょう。

医療保険を比較する際のポイントと選び方

1:入院限度日数

入院限度日数が最も多いのは60日、その他には30日、120日などの商品があります。「長ければ長いほどいいのでは?」と思うかもしれませんが、保険料が高いというデメリットがあります。

したがっていつまでなら負担なく保険料を支払えるのかを比較していきましょう。

2:特約で比較し余分なものは極力排除していく

一般的な特約の例
通院特約 退院後にまた通院をした場合に通院給付金が受け取れる。
先進医療特約 厚生労働大臣が定める先進医療(がん治療などに多い)の治療を受けた時に保障。
女性疾病入院特約 乳がん・子宮筋腫といった女性特有の病気で入院した場合に、入院給付金や入院限度日数が増える。
生活習慣病特約 糖尿病などの生活習慣病で入院した場合に、入院給付金や入院限度日数が増える。

自分が理解できないほど複雑なものに加入をしても、いざ請求する時に申請できなければ保険金を受け取ることはできません。保険はできるだけシンプルなものにしましょう。

3:保険料だけで比較するべきではない

もし保障内容が同じであれば、当然保険料は安い方がいいですが、 “自分に必要な保障を把握した上で”比較をするのがポイントです。保険料だけで選ぶのは控えましょう。

4:加入率で比較しても意味はない

保険に限らず、身近なところで言えば、飲み物のメーカーなど「人気があるから」購入するケースも多いかと思います。しかし、保険商品に関しては、「人気だから」と、加入率で選ぶことはおすすめできません。

と言うのも、保険商品は加入者の目的や状況に応じてそれぞれ適した加入の仕方があります。一般的にはいいと言われていても、あなたに適しているとは言い切れないからです。

5:終身型と定期型で比較

「医療保険の種類」でも軽くご紹介しましたが、目的別で選ぶものですので、どちらが優れていて、どちらが劣っているというものではありません。

ただ、両者を比較した場合にどのような違いがあるのかを知っておくことは、医療保険を比較する際には重要な項目になります。

6:年代別の利便性で比較

もしあなたが20代~30代であれば、家族ができた段階で見直せば十分間に合うので、最低限の保障だけはほしいという場合は定期保険で十分です。

逆に30代~40代の方で子供が生まれたり、今後の生活のことを考えて貯蓄をしたいなどがあれば、多少高額な保険に入っておくという選択肢もありますね。

がん保険を比較する際のポイント

まずはがん保険の必要性を考える

がん保険が必要か否かの判断をするポイントは大きくわけると以下の3つです。

  1. 貯蓄は十分にあるか
  2. 一時金(診断給付金)が必要かどうか
  3. これ以上保険料が増えても問題ないか

医療保険や生命保険に加入している方は、新たにがん保険に加入すると毎月の保険料は増加してしまいます。いくら不安だからといって自分の家計を圧迫するほど保険に加入する必要はないでしょう。

診断給付金の給付条件を確認

診断給付金はがんと診断された時に受け取ることができる給付金です。

  1. 上皮内新生物への給付
  2. 給付の条件
  3. 受け取れる回数

どの度合いになれば給付金が出るかは保険商品によって変わってきますので、加入を検討している場合は、条件の確認として最低限この3つは比較しておきましょう。

通院給付金はいくら受け取れるのか?

通院給付金は治療などで通院が必要な時に給付されるお金です。医学の進歩により、日帰りで行える手術や抗がん剤の投薬など、通院しながら行える治療方法が増えてきたため、入院を伴わない通院への保障はなにがあるか、保険商品によって「対象となるもの」「対象外となるもの」を確認しておきましょう。

特定治療給付金の金額

これは抗がん剤治療など、特定の治療を受けた場合に支払われる給付金のことです。区分けは「ある」「なし」の2種類に分けられますが、言わずもがな、「ある」方が安心でしょう。

先進医療給付金

厚生労働大臣の承認を受けた先進医療は、基本的に全額自己負担となり、一部の治療法では300万円ほどの費用がかかるものもあります。

この給付金を受けるには、一般的に特約を付帯させることが必要で、特約に加入する費用は月に百円~数百円程度です。いざ必要になった時に大きなリターンが期待できるため、加入しておいたほうがお得かもしれませんね。

最終的には保険料と保障内容のバランスが大事

これまで挙げてきた比較のポイントは、すべて契約条件がいいほど保険料が高くなる傾向になっています。契約条件と保険料のバランスを考え、月々に確実に支払える保険料の保険商品を契約するようにしましょう。

学資保険を比較する際のポイント

貯金が少ない人はあった方がいい

子供が小学校や中学校、高校や大学に入る時に、必ずまとまったお金が必要になりますので、十分に貯金ができていない方は学資保険に加入した方がよいでしょう。

貯金が十分にある人は必要ない

子供の将来のための教育資金を貯める手段が学資保険ですので、貯蓄が十分にある場合は、学資保険に加入する必要はありません。

学資保険の比較項目は返戻金

学資保険を比較する際、基本的には貯蓄性を重視して選ぶことをおすすめします。学資保険の根本の目的は貯蓄です。最終的に元本割れを起こして、元々あったお金が減ってしまっては元も子もありません。

従って、返戻率の高い商品を選ぶのが賢い学資保険の選び方です。

できるだけ返戻率を高めるにはどうすればいいか?

保険料の支払いをまとめる

月払いよりも年払いにするなど、保険料の支払いをまとめると保険料が安くなります。受け取れる保険金の総額は同じなので、支払いをまとめることで、返戻率を高く保つことができます。

保険料の払込期間は短くする

払込期間を短くすると、一回に支払う保険料の金額はアップしますが、払い込みの総額は安くなるケースがあります。

保険金の受取も一度にまとめる

満期時以外に祝い金の名目で、小中学校、高校大学の入学時に保険金を受け取れる商品があります。しかし、保険金の受け取りはできるだけまとめた方が、受け取る保険金の総額がアップします。

特約は捨てて保障は最低限にする

保障がシンプルであればあるほど、返戻率が高くなる傾向にあります。

個人年金保険を比較する際のポイントと選び方

個人年金保険に加入する際の比較ポイントには以下の4つがあります。

保険料の支払い方

一時払い

一般的には分割払いより保険料が安い傾向があります。

分割払い

年払いの場合は保険料が安くなり「月払い < 半年払い < 年払い」の順で保険料が安くなります。

保険料の決め方で選ぶ

年金建

いくらの年金を「何歳からいつまで受け取るか」で、保険料を決める方法のことです。例えば、「60歳から月々○○万円を受け取りたいから、月々円払う」という保険料の支払い方です。

保険料建

こちらは「□□歳から△△歳まで、月々◯◯円を支払ったから、月々円もらえます」という支払い方です。支払い途中で解約すると元本割れを起こす可能性もあります。個人年金保険は長期間の支払いが必要となる保険のため、申し込みの際は、確実に支払える金額を選びましょう。

年金額の決め方で比較

定額

契約時に決めた一定額を月・半年・年ごとに支払いしていく方法です。

外貨建

米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国の通貨で運用する保険で、受け取れる年金額は外貨の為替で変動します。

変額型

特別勘定(投資信託)で保険料を運用する保険商品で、受け取れる年金額は運用の結果で変動します。この中で、外貨建てと変動型の保険商品は「変動型」と呼ばれ、元本割れをするリスクが高い商品ですが、上手く運用できた場合、リターンが大きくなります。

また、運用にまとまったお金を必要とするため、保険料を一括で支払う保険商品がほとんどです。

年金の受け取り方

終身年金

被保険者が生きている限り年金を受け取れるタイプです。早い段階で死亡してしまうと、元本割れすることも考えられます。

確定年金

年金の受け取り開始から、生死に関係なく一定期間(5・10・15年など)年金を受け取ることができる保険です。

有期年金

確定年金と同じく、受け取れる期間が決まっています。ただし、被保険者が生存している場合に限られます。

夫婦年金

夫婦いずれかが生存している限り一生涯に渡って年金が受け取れます。残された配偶者の生活保障が心配な人におすすめです。

生命保険の「格付け」から比較してみる

生命保険会社を評価する「格付け」をご存知でしょうか。「AAA(トリプルエー)なので安心」などといった言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、これは保険会社の「信用度」を表しています。

信用度だけで保険を選ぶことはあまりないですが、特定の保険会社を選んだ後に、各付けを見ておけば、その保険会社が信用できるかどうかの判断をする手助けになります。

保険というものが「信用」をもとに成り立っている商品であることから、「病気やケガになった時に給付金がきちんと支払われるかどうか。」は重要な基準になります。保険に加入する時は「支払われる給付金が高いかどうか?」「保険料が安いかどうか?」などに気が向いてしまいがちですが、その他の指標にも目を向けてみましょう。

たとえば、保険に加入した時に、「保険料が月々1,000円で、通院時に毎日5,000円、入院時には毎日10,000円が支払われる保険」が有ったとしても、加入した後に保険会社が潰れてしまえば給付金は目減りしてしまいます。

特に積み立て型の保険の場合、保険会社が倒産してしまうと、積み立てた保険料は目減りしてしまうことがほとんどです。後述する外部機関のサポートで、ある程度の救済措置を受けることができますが、ほとんどの場合は、積み立てた保険料以上の金額が戻ってくる可能性は薄くなります。

そのため、保険に加入する際は「保険料」や「保障の額」だけでなく、「格付け」も確認することをおすすめします。

生命保険は掛け捨て型と積み立て型のどちらがお得なのか?

掛け捨てタイプの特徴

支払った保険料が解約返戻金や満期時の保険金として戻ってこない代わりに、保険料が安く保障重視です。貯蓄性はなく、更新ごとに保険料が上がるので、その点は要注意です。

積み立てタイプ特徴

支払った保険料が解約返戻金や満期時の保険金が支払われるものの、保険料は「掛け捨て」に比べて高めに設定された保険になっています。保険料に貯蓄分が含まれているため、保険料は少し高めですが、保険料はずっと変わらず一定です。

掛け捨て型と積み立て型の比較表

以下にそれぞれの特徴を表にまとめてみました。

表:掛け捨てタイプと積み立てタイプの比較
掛け捨て型 積み立て型
保険のタイプ 保障型 貯蓄型
中途解約時の返戻金 ×
★非常に少ない ★保険料の総額を
下回る可能性あり
満期保険金 × 終身保険 ×
養老保険
保険料 安い 高い
★更新ごとに高くなる ★一定で変わらない
保障期間 一定期間 終身保険 一生涯
養老保険 一定期間
代表的な保険の種類 定期保険 終身保険、養老保険

掛け捨てタイプのメリットとデメリット

それぞれの特徴を知った上で、次にメリットとデメリットを整理してみましょう。まずは「掛け捨て」のメリットとデメリットです。

メリット

保険料が安い

保障分だけを保険料として支払うので、保険料の支払い費用を抑えることができます。

保険料を抑えた上である程度の保障を得られる

掛け捨て型は保障重視の保険ですので、満期の返戻金や中途解約の返戻金がない(あるいは少ない)分、保険料が安くても積み立て型以上の保障を得ることが可能です。

デメリット

支払った分の保険料が戻ってこないか、戻ってきたとしても少額

保障分の保険料しか払っていないため、返戻金は確保されません。返戻金がないものが多く、あったとしても少額の返戻金しかありません。

一定期間で保障が切れてしまうものが多い

「保障期間=保険料の払込期間」のものが多いです。一定期間しか保障されないため、子供が小さい時だけ保障がほしいなど、一時的な保障がほしい人に向いています。

積み立てタイプのメリットとデメリット

次に、「積み立て」のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

解約時に返戻金として保険料が戻ってくる

保障分と積み立て分の保険料を支払っているので、解約した際にその積み立て分が戻ってくるのが積み立て型の最大のメリットです。

ただ、保障分は戻ってこないため、中途解約の場合は返戻金が元本割れすることがほとんどです。

支払った保険料よりも多くの保険金が戻ってきやすい

貯蓄性を重視した保険ですので、長く契約するほど解約返戻金の額が上がります。保険商品によっては、保険料払込総額よりも高額な解約返戻金があります。

デメリット

保険料は掛け捨てよりも高め

保障分に加えて貯蓄分の積み立て分が含まれるため、掛け捨て型に比べて割高になります。

保険料よりも受け取る保険金の額が下回るケースもある

特約などをつけて保障を手厚くすれば、保険料のうちの保障分の割合が多くなり、積み立て分として受け取る保険金の額が支払った保険料の総額を下回ることがあります。

総評|お得かどうかはどちらを優先するかで決まる

掛け捨てタイプは保障メイン、積み立てタイプは貯蓄メインと考えていただくのがいいでしょう。しっかり保障してほしいなら「掛け捨てタイプ」、貯蓄をしながらある程度の保障もほしいなら「積み立てタイプ」が最適です。

もしどちらもほしいという場合は、積み立てタイプで保障や特約を削ぎ落としたものと、掛け捨てタイプでしっかり保障してくれる保険の両方に加入するという選択もありますね。いずれにしても、最後は自分の支払える保険料との兼ね合いになります。

自分に合った生命保険の見直しをするためのポイント

生命保険の大きな関心事は「保険の見直し」です。人生における支出の中で、何よりも見直すべきは生命保険と知っても過言ではありません。なんとなく加入してそのままの保険はありませんか?

もしあるようであれば、この場で見直しポイントを確認しておきましょう。

生命保険の見直しで見るべき6つのポイント

1:生命保険の種類

まず注意すべきは保険の種類です。必要な保障が全くないと、いざという時に困るのは加入者とその家族です。死亡保険、医療保険、がん保険などは、何に対して保険金が支払われるかが異なるため、生命保険の種類についてはよく検討してください。

2:受取人を誰にしているか

受取人は保険金を受け取る人のことで、死亡保険の場合は配偶者や子供など、被保険者の肉親を指定することが一般的です。保険金の受取人が法定相続人であるケースが多いのは、税制面での優遇があることも大きな理由です。

また、法定相続人が配偶者であった場合、配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか高い額まで相続税がかかりません。

結婚する前に生命保険に入っていて、受取人を親にしているという人は配偶者に受取人を変更すべきですね。

3:保障金額を見直す

保障金額は高めに設定すれば安心を担保できるものの、保険料の負担が重くなってしまいます。その結果、中途解約をしてしまっては、大きな損になりますので、高いものを選べばいいというものではありません。

大事なのは自分の資産状況や生活に合った保障金額を選ぶことです。

4:保障期間

生命保険は原則的に、加入時の年齢が高ければ支払う保険料も高くなります。もし保障期間が終わった後も保障がほしい場合、年を取った分だけ高い保険料を払わなくてはならなくなります。

更新が10年ごとの場合だと、10年後更新する時に保険料が高くなり、その10年後にはさらに高い保険料を支払わなくてはいけません。

目先の保険料の安さで選んでしまっている方は、なるべく早いうちに保障期間を必要な長さまで確保できる保険を選び直しましょう。

5:保険料を見直す

保険料そのものを見直すことも忘れてはなりません。上記の4つの条件だけでなく、保険料の支払い方法によって保険料が割り引かれることがあります。

6:解約時期

生命保険の見直しをする際、古い保険を解約し、新しい保険に切り替える場合は、新しい保険に加入してから現在の保険を解約しましょう。生命保険加入時には健康状態の審査がありますので、万が一新しい保険の審査が通らない場合、無保険状態になるリスクがあります。

7:不要な特約

特約は便利なものですが、重要なのは自分が気になる病気など必要と思う保障を確保することです。

例えば、

  • ・傷害特約
  • ・介護特約
  • ・収入保障特約
  • ・女性疾病特約
  • ・健康祝金特約 など

こういった特約は誰にでも必要というわけではありませんので、本当に必要かどうかよく検討してください。

生命保険の見直しをするタイミング

必要な保障は生活状況に応じて変わってきますので、どのタイミングで保険を見直すのかも確認しておきましょう。

結婚するタイミング

結婚をすれば家族が増えることになりますので、見直しのタイミングとしては最適です。大きく変化するのは、「配偶者」という続柄が登場することです。配偶者を扶養する場合は、自分に万が一のことが起こった時の生活保障が必要です。保険金額を増やすことも視野に入れてください。また、生命保険金の受取人を親にしている場合は、配偶者への変更を検討しましょう。

子供が生まれた

家族がもうひとり増えれば生活費も増えることになります。さらに、子供の教育費のために学資保険に加入することも検討したい時期です。

離婚をした

離婚をすると家計が分離するため、それに応じた保険に変更をする必要性が出てきます。子供がいる場合、片親が子供を育てることになるため、子供の生活を保障するために自分が亡くなってしまった際の保障金額を増やす必要があります。

マイホームを購入した

マイホーム購入の際、たいていの人は住宅ローンを組むことになります。このローンが実は重要なのです。ほとんどのローンには「団体信用生命保険」という保険が付随しています。これはローンの支払いの途中で契約者が亡くなった場合、それ以後のローンの支払いを免除するというものです。

この保険によってローンのための分の生命保険の保障額を減らすことができます。

子供が独立した時

これまでは家族全員が生活を維持できるよう、万が一に対処するのが主な目的でしたが、子供が独立すると夫婦二人の余生を考えます。

残りの人生を保障してくれる保険に変えるなど、夫婦の老後生活に備える保険への見直しが必要です。

定年退職した時

一番の働き手が定年退職を迎えると、高額な死亡保障はあまり必要ではなくなります。葬儀費用、相続税対策などを考えると終身保険を選択するのがベストな時期です。

終身保険の保険料は高いですが、残りの一生涯をすべて保障してくれます。

税負担を軽くするための生命保険料控除の概要

生命保険料控除(せいめいほけんりょうこうじょ)とは所得控除の一種です。所得税額を計算する際に個人の事情を汲み取るために、支払った生命保険料の全額または一部を所得から差し引きます。

介護医療保険料控除は、税制改正によって生命保険料控除に新たに加わったものです。旧制度では生命保険料控除と個人年金保険料控除のみでした。

新制度ではそこに介護医療保険料控除が加えられ、3つの控除が適用されます。

対象となる保険の契約

新制度の対象は平成24年以降の契約となりますので、平成23年の12月31日までのものと、平成24年1月1日以降の契約とでは扱いが異なります。

違いとしては、生命保険料控除額の最高額が、旧制度では5万円だったのに対して新制度では4万円になっています。

変更された内容

新契約

平成24年1月1日以降の契約については、支払い保険料等(年間)が2万円以下の場合は全額控除、8万円を超える場合は一律4万円です。

旧契約

支払い保険料等(年間)が2万5,000円以下の場合は全額控除、10万円を超える場合は一律5万円です。

新契約と旧契約の双方に加入している場合

平成23年12月31日以前のものと平成24年1月1日以降が混ざっている場合、新契約と旧契約の双方に控除を適用させることができます。

生命保険料控除の種類

生命保険料控除の種類は以下の3種類にわかれます。

一般生命保険料

一般的な生命保険契約のことで、死亡や生存に対する保険金部分にかかる保険料です。

介護医療保険料

入院や通院などに対して保険金が支払われる契約が対象となります。介護保障や医療保障が該当します。

個人年金保険料

個人年金保険が対象となります。年金の受取人が、保険料を払い込む人もしくは配偶者となっている必要があります。

生命保険の解約返戻金を少しでも上げるための知識

生命保険に加入する時に気になる「解約返戻金」ですが、実際にどれくらい戻ってくるのかすぐに答えることはできますでしょうか?

解約時の返戻金はとても大きな存在ですので、もし生命保険を解約する場合、解約返戻金のことを無視するわけにはいきません。その仕組みや損をしないコツなどを紹介します。

解約返戻金の3種類の型

従来型

通常の解約返戻金がどれくらい戻ってくるかは「返戻率」によって差が出ます。例えば70%の場合、払い込んだ保険料の7割が戻ってきます。

低解約返戻型

低解約返戻型は、返戻率を従来型の7割前後に抑えることで、月々の支払い保険料を抑えています。当初は解約返戻金が少なく、払い込みが満了した時点で解約返戻金が増える仕組みになっています。

無解約返戻金型

いわゆる「掛け捨て」と呼ばれるタイプの保険商品で、解約の際に解約返戻金が支払われない保険商品です。解約返戻金をあえてなくしているため、保険料は上記の2種類に比べて安く抑えられています。

解約返戻金がある保険

終身保険

終身保険は基本的に長期の加入が前提となります。そのため、長期間払い続ければ解約返戻金を貯蓄のように利用することも可能です。

養老保険

養老保険は「生死混合保険」といって、被保険者が満期日まで生存していた場合と期中で死亡した場合いずれも保険金(同額)が支払われる保険です。

学資保険

学資保険は解約しないことが前提ですから返戻率は高くなっています。学資保険の場合は解約返戻金を目当てに加入するというよりは、満期保険金目当ての加入がほとんどです。

解約返戻金を増やす3つの手段

少しでも多くの解約返戻金を受け取るには、以下の方法があります。

支払い期間を短くする

支払い期間を短くすることで返戻率は上がります。例えば払い込み満了を65歳から55歳にする、一括にする、といった方法があります。

返戻率の高いものを選ぶ

当たり前なのですが、同じ保障内容でも保険商品によって返戻率は異なります。同じ保障内容の商品をFPなどに相談してピックアップしてもらうというのもひとつの手段です。

低解約返戻金型を利用する

返戻率を気にするのであれば、低解約返戻型の保険がおすすめです。保険料払込期間中の返戻率は低いものの、払込期間を過ぎたら返戻率は100%を超えるものがほとんどです。

返戻率の変化

契約年数が経つほどに返戻率は上がっていく傾向があります。

【例】保険料:月に2万5,000円 死亡保障:1,000万円

こういった保険に、30歳の男性が加入した場合の払戻率は以下のようになります。

  • ・5年目:63%
  • ・10年目:67.2%
  • ・15年目:67.9%
  • ・20年目:68.6%
  • ・31年目:100.8%
  • ・40年目:103.1%

このように年々払戻率は上がっていき、保険料払込期間を過ぎた後も徐々にパーセントは上がっていきます。

保険金と税金の関係|生命保険で相続税対策ができる理由

被保険者が死亡すると相続がはじまりますが、その時考えなくてはならないのが相続税の問題です。平成27年1月以降、相続税法が改正され、今まで相続税の手続きとは無縁だった方も申告が必要になる可能性があります。

そのため、ますます相続税対策として注目されるのが生命保険です。生命保険で相続税対策を行うためのコツなどをご紹介していきます。

相続税法の改正で変わったこと

基礎控除の引き下げ改正

平成27年1月から、基礎控除額が引き下げられ、以下ように変わりました。

  • ・旧制度:5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
・新制度:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、遺産が5,000万円あって、法定相続人が配偶者1人、子供2人だった場合、

  • 旧制度:5,000万円 + 1,000万円 × 3人 = 8,000万円
5,000万 – 8,000万円 = 相続税0円
  • ・新制度:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
5,000万 – 4,800万円 = 200万円

つまり、改正前はかからなかった相続税も、改正後は200万円もかかってしまうことになります。

相続税の引き上げ改正

改正によって税率の引き上げが実行され、以下の表のように改正が行われました。

【平成26年12月31日までの場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 2,700万円
【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

生命保険で相続税対策ができる方法

相続税の対象になる人が増えたことで、相続税対策として生命保険の活用が期待されています。そこで、相続税対策として生命保険を利用する際の方法をご紹介します。

死亡保険金の非課税枠を活用する

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税がありますので、この非課税枠の活用で相続財産の評価額を下げることができます。生命保険を活用することで相続税の支払いを回避できる可能性もあります。

納税のための現金がすぐ用意できる

通常、相続財産は遺産分割協議が終わるまで口座などが凍結され、自由に引き出せないようになってしまいます。しかし、生命保険の死亡保険金なら受取人が書類を提出するだけで1週間程度の期間で保険金を受け取れるというメリットがあります。

生命保険受取人を分散することによるリスク回避ができる

死亡保険金は遺産分割協議の対象外となり、特定の相続人だけに財産を残したい場合に活用できます。さらに、複数の保険金の受取人を複数人に指定することもできますので、遺言と同じ効果が得られます。

誰でも加入ができるわけではないことに注意

生命保険に加入をする時は健康状態に注意が必要です。相続対策を考えるのは、ある程度年を取ってからのケースが多いです。健康を損ねている場合保険料も割高になるケースもありますので注意しましょう。

生命保険の選び方で迷った時の無料相談先と活用法

最後に、保険内容の相談をしようと思った際の相談窓口などをご紹介していきます。

保険相談は誰にすればいいのか?

生命保険の見直しなどの相談をする場合、保険のプロであるFPや生命保険会社に相談してみるのがいいでしょう。また、生命保険協会の「生命保険相談所」などもあります。

ただ、こちらの相談員の方は、必ずしもFPの資格を保有しているわけではありませんので注意しましょう。

こういった方たちに相談するメリットとしては無理な勧誘をしてこないことが挙げられます。理由としては、お客さまからクレームが来たら相談の数そのものが減ってしまい、生命保険会社からの信用もなくすリスクがあるからです。

無料相談はなぜ「無料」なのか?

生命保険の見直しを考えているユーザーが利用できる無料相談サービス。もちろん相談員がボランティアで相談を受け付けているわけではありません。

生命保険の販売手数料を収入としているおかげで、無料相談サービスが実現できています。

無料相談をする前に準備しておくこと

生命保険の商品を探して、ある程度的を絞っておくといいでしょう。保険の一括見積もりサービスを利用したり、保険商品の固有名詞で探してみたりすることで、自分がほしい保障の相場がなんとなく見えてきます。

相談した際に、自分で検索したものと生命保険料に違いがある場合は質問ができますよね。また、多少知識もあった方がいいので、保険商品の候補をいくつかに絞り、どうしてそれを選ぶべきなのか理由を考えてみるのも手です。

保険会社の名前で選ぶのは少し違った視点ですが、これも大切です。こうして自分が商品を選んだ理由をFPに説明できたら、相談もスムーズに進みますから1石2鳥です。

もちろん、常にFPも親身に相談には乗ってくれますが、熱量があった方が、さらに親身になってくれると思いませんか?

生命保険の相談をする際にチェックするべき項目

相談する際には次の3つのポイントに注意をしましょう。

FPの提携社数

FPは生命保険会社から支払われる手数料を収入としています。したがって、提携している生命保険会社の商品以外を紹介することができません。相談をする際には、提携社数の多いFPがいるかどうかを必ずチェックしましょう。

生命保険に加入・見直しする目的を伝える

なぜ生命保険に加入したいのか、見直したいのかを明確にしておきましょう。目的があやふやであれば、まずその旨を伝えて「目的を明確にする」相談から入りましょう。

結果を急がない

生命保険は長期間加入するものですから、じっくりと検討する必要があります。また各々の家庭状況や、収入・支出のバランスから資金計画を立てるのは容易ではありません。最適な生命保険を見つけるためにも結果を急がないようにしましょう。

保険の相談を代理店経由ですべき2つの理由

保険代理店には以下の2種類の代理店があります。

  • ・専業代理店(プロ代理店):保険販売を専業とする代理店
  • ・副業代理店:不動産業者や旅行代理店などが保険販売を兼ねる代理店

専業代理店は扱う保険商品が多いため、ジャンルにとらわれない様々な保険の加入をすることができます。もし何種類かの保険への加入を検討されているなら、専業代理店がおすすめです。

細かいサービスが受けられる

一度保険に加入すれば、短期で解約することは少ないでしょう。そのため、代理店で保険契約をした場合、代理店との付き合いが長くなることが予想されます。

代理店は保険のことで困った時は相談に乗ってくれますし、保険の乗り換えや新規加入、更新の時期にはお得な情報などを提供してくれることでしょう。

保険を一元管理できる

保険商品には、生命保険や医療保険、自動車保険や火災保険など様々な種類があります。目的によって、様々な保険に加入する必要がありますが、そんな時にひとつの代理店を窓口に契約を交わしてしまえば管理が簡単になります。

一つの保険代理店に任せてあれば、事故後の保険の支払申請などの手続きがとても楽になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

生命保険に関わるすべての内容をご紹介してきましたが、生命保険の見直し、比較、加入を検討している、すべての方にとっての参考になれば幸いです。

※2022年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以