就業不能保険働けなくなった時に収入を助ける保険
就業不能保険(しゅうぎょうふのうほけん)とは、病気やケガで働けない状態が続き、治療費や日々の生活費の捻出に困った場合に、保険会社が生活費のサポートをしてくれる保険の事です。
加入前に知っておくこと
就業不能保険とは
就業不能保険は「働けなくなるリスクに備える保険」と言われ、病気やケガなどで就業できない場合に保障を受けられます。具体的にはどのような保障内容なのかを確認していきましょう。
加入するメリットとデメリット
会社員が加入している健康保険には「傷病手当金」という制度があります。この制度は、病気やケガで働けなくなると、1年6ヶ月、傷病手当金を受給できる仕組みです。一方、自営業者が加入している国民健康保険には、傷病手当金の制度がありません。そのため、病気やケガで働けなくなると、収入が途絶えて自分や家族の生活費を支払うのが困難になってしまいます。
つまり、就業不能保険は会社員より自営業者のほうが必要性の高い商品と言えます。
メリット
- 在宅療養でも保障される場合がある
- 病気やケガで働けなくなった時に安心
- 公的保障でカバーしきれない部分を補える
デメリット
- 精神疾患は対象外としている商品がある
- 会社員など国民健康保険以外に加入している人はメリットが少ない
就業不能保険で保障を受けられる条件
- 病気やケガで一定期間以上、所定の就業不能状態にある(入院または医師の指示で在宅療養をしている場合など)
- 高度障害状態にある
所得補償保険との違い
損害保険会社の扱う保険商品の中には「所得補償保険」というものがあります。ケガや病気で休業状態になると保険金が受け取れるので、仕組みは就業不能保険と似ています。大きな違いは、保険期間や保険金額です。所得補償保険は1~5年など短い保険期間で契約し、更新していきます。一方、就業不能保険の保険期間は、50~70歳までなど比較的長いです。保険金額は、所得補償保険なら契約前の年収の50~70%、就業不能保険なら年収を上限とします。
就業不能保険の保険料をできるだけ抑える方法
実際に支払う保険料は、給付金額、被保険者の性別、契約時の年齢などによって決定されます。
給付金額を高く設定しない
給付金額は月額10~50万円など10万円、5万円単位で設定できるものが多いです、給付金額は高いほど安心ですが、その分保険料が高くなってしまいます。現在の月収と同額にすることにこだわらず、いくらあれば光熱費や家賃、住宅ローン、家族の食費などをカバーできるか考えましょう。まずは月額10万円から検討し、不足するようであれば徐々に金額を上げてください。
支払対象外期間を長くする
就業不能保険には、支払対象外期間が設定されている場合があります。就業不能状態になってから給付金を受け取れない期間を指し、30~180日間で設定されているものが多いです。保険料は、支払対象外期間が「なし」のものが最も高く、期間が長いものほど安くなります。保険料を抑えたい方は、支払対象外期間を長く設定するといいでしょう。ただし、その間は保障を受けられないので、どのくらいの期間なら貯蓄だけで乗り切れそうか、といった視点で設定してください。
保険期間を短くする
就業不能保険は、保険期間を50~70歳までなど年齢で区切る商品が大半です。保険期間を短くすると、その分払込総額が少なくなり、節約できます。子供が独立するまで、住宅ローンの支払いが終わるまでなど、ライフスタイルに合わせて設定するといいでしょう。
選び方のポイント
就業不能保険を選ぶ前に
就業不能保険に加入しておけば、病気やケガで働けない期間は給付金を受け取れます。傷病手当金のない自営業者や、傷病手当金だけでは生活費が足りない会社員は、就業不能保険に加入していると安心です。
収入保障保険との違い
就業不能保険 | 収入保障保険 | |
---|---|---|
販売会社 | 生命保険会社 | 生命保険会社 |
保険金の支払い理由 | 被保険者が病気やケガで働けなくなった場合 | 被保険者が死亡・高度障害状態になった場合 |
給付金額 | 年収を上限とする | 年収に関係なく設定 |
保険金の支払い方式 | 一定期間毎月 | 年金形式が基本だが、一括受け取りもできる |
保険期間 | 一定の年齢まで | 一定の年齢まで |
大きな違いは、保険金の支払い理由です。就業不能保険は働けなくなった時なのに対し、収入保障保険は死亡・高度障害状態になった時です。働けなくなった時の生活保障が心配な方は就業不能保険、万が一の時に遺族の生活保障が心配な方は収入保障保険を選びましょう。
就業不能保険を選ぶポイント
就業不能保険を選ぶ際は「給付金額」「支払対象外期間」「保険期間」の3つに着目しましょう。「医療費の支払い」と「収入が減った場合」のふたつのリスクに対処できるかどうかが肝心です。職業(会社員か自営業者か)、扶養家族の人数、貯蓄額などによって最適な商品は異なります。ご自身のケースに合わせてこれらの3つを設定してください。自分ではよく分からない、という方はFPなどプロに相談するのがおすすめです。
就業不能になった場合の必要な保障額を試算
もし自分が就業不能状態となった場合、月々いくらの保険金があれば最低限の生活ができるのかを試算しておく必要があります。