自動車保険の保険料を安く抑える方法と安い自動車保険のリスク
2023年10月24日
車を購入した際には必ず登場する自動車保険。縁がない人はほとんどいないのではないでしょうか。事故に備えるためとは言え、保険料はできるだけ安く済ませたいところ。初めて入る方や、保険に苦手意識を持っている方は、保険の仕組みすら知らないかもしれません。しかし、保険料を抑えるためには保険の仕組みを知ることが必須です。
今回は保険料を抑える仕組みやコツを見ていきましょう。全てを把握するのは難しいかもしれませんが、重要なポイントだけ押さえることは決して難しくありませんよ。
自動車保険の保険料を今より安く抑える5つのポイント
自動車保険の保険料が思ったより高くて困っている方は多いのではないでしょうか。しかし、今以上に安くする方法があります。
ここでは、特に注目してほしい5つのポイントを紹介します。
自分に必要な補償だけを選ぶ
自動車保険の補償は、対人・対物賠償責任保険の他にも搭乗者傷害保険や人身傷害保険、さらには車両保険などの種類があり、どれが自分に必要なのか悩んでしまうことがあります。この中でも特に大切な補償は対人・対物賠償責任保険です。この2つは必ず補償を無制限にすることをおすすめします。最近では億単位の賠償請求も多くあり、とても支払うことのできない金額が発生してしまうことがあります。
保険料を抑えるなら、搭乗者傷害保険や車両保険について考えましょう。自身や同乗者のケガは人身傷害保険があれば補償されるので、必要最低限の補償だけあればいいなら搭乗者傷害保険を付けない選択肢もあります。
車両保険には、幅広く補償する「一般型」と補償を限定した「エコノミー型」があるので、こちらも必要最低限でいいのなら「エコノミー型」を選択することで保険料を抑えられます。
自分に必要な補償とそうでない補償を把握して、選別することが重要です。
等級を見直す
等級は、運転者の事故歴などを見る指標となるものです。1〜20級(一部共済は22等級)までに区分されており、1年間事故を起こさなかったら等級は1つ上がり、事故を起こして保険を使ったら3つ下がります。等級によって保険料の割引率が決められており、上げることで安くなります。
等級で保険料を抑えるポイントは、事故を起こさないことです。当たり前すぎるかもしれませんが、保険料を抑える意識が安全運転を心がけるきっかけになれば良いのではないでしょうか。
年齢条件を見直す
年齢条件は、補償の対象となる年齢層を設定することです。年齢条件は全年齢補償、21歳以上補償、26歳以上補償、30歳以上補償、35歳以上などに区分されており、保険会社によって違います。
保険料は基本的に若い方が高くなります。特に免許を取り立ての若者は運転に不慣れで、事故を起こすリスクが高いためです。運転する人の年齢に合わせて設定しましょう。
運転者限定を見直す
運転者限定は、運転する人を制限することです。本人限定、本人・配偶者限定、家族限定などの条件があります。ここで言う「家族」とは、同居している親族のことを指しますが、別居の未婚の子供については家族と見直します。別居の結婚している子供は家族とはみなされません。
運転者は少ないほうが保険料を安くできるので、運転者が決まっている場合はこの限定条件を付けましょう。
無駄な特約やサービスが付いていないかの確認
契約した際には必要と思っていた特約やサービスでも、加入してから実はいらなかったなんてことはありませんか?
特約や各保険会社独自のサービスは多くあり、付ければとてもお得に感じるかもしれません。それらが無料であれば付けていても問題ありませんが、有料で保険料がその分高くなっている場合は、解除することによって保険料を抑えることができるかもしれません。
自動車保険の安いプランに加入する際の4つのポイント
自動車保険に加入する際に、保険の営業マンにすすめられ、その流れで加入してしまうと後から保険料が思っていたより高額だったり、ほしかった補償が付いていなかったりなど、困ったことになる場合があります。初めて自動車保険に加入する方のために4つの押さえておきたいポイントを紹介します。
車の用途を明確にする
自動車保険に初めて加入する方は、まず車の用途を明確にしましょう。通勤・通学、お休みのドライブなど、いろいろあると思います。主にどういった用途で使うのかは、保険に加入する際に必ず保険会社に確認されます。
保険料は事故が起こるリスクによって算出されます。毎日業務に使用する場合と休日しか使用しない場合とでは、当然前者のほうが事故に遭う確率が上がるので、保険料が高くなるのです。
「主に何に使うのか」という質問には即答できるようにしておきましょう。
親からの等級を引き継ぐ
自動車保険に初加入する場合は、6等級からスタートします。親が6等級より上の等級であれば、等級を親から引き継ぐという方法で保険料を抑えることが可能です。
その場合、親は別の自動車保険に加入しなければならないために保険料は上がってしまいます。しかし、ゴールド免許割引や年齢条件を設定するなどすれば、家計のトータルでは保険料を安く済ませることができます。
ネット型と代理店型
自動車保険にはネット型(ダイレクト型・通販型)と代理店型の2種類があります。ネット型はインターネットで申し込みをするため人件費がいらず、代理店型と比較すると一般的に保険料は安くなります。安く抑えたい場合はネット型を選択するのが良いでしょう。
代理店型を選ぶメリットとしては、店員に保険相談ができるという点です。ネット型の場合は自分で補償範囲などを全て決めて契約する必要がありますが、代理店型の場合は相談をしながら決めていくことができます。また、何か分からないことがあった時の拠り所として、代理店で加入すると安心といったことも挙げられます。
無料一括見積もりを利用する
今日ではたくさんのサイトで無料一括見積もりができます。一括見積もりをして複数社の保険料を比較することで、おおよその相場を確認できます。自動車保険に初めて加入する際は、保険料の相場を確認しましょう。上記のような安くする方法を知っていても、相場を知らなかったら安いのかどうかの判断ができません。
例えば、無料一括見積もりを利用した上で、代理店で相談をしてみるとweb上での見積もりと代理店での見積もりの比較ができるようになります。また、ネット型・代理店型の選択をする判断材料にもなります。比較をした後であれば、より納得した状態で「多少高いが、もしもの時に相談したいから代理店にしよう」といった決断もできますね。
自動車保険を見直して安くするための4つのポイント
先ほどは初加入の際のポイントに触れました。ここでは見直しをする際のポイントを4つ紹介します。
ほしい補償を再確認
保険に加入する目的をもう一度思い出してみましょう。「事故に備えること」が保険に加入する目的ですね。自分はどういった事態に補償がほしいのかを今一度確認してみましょう。
余計な補償がないか
ほしい補償を再確認したら、現在の補償内容と比較します。もしかしたら余計なものがあるかもしれません。取捨選択をしていきましょう。例えば、ある損害保険会社では、新車が大破した時のための新車買替特約というものがあります。
修理せずに新車を買い替えたい場合に買い替え費用を負担してもらえるものです。「新規加入時はこの特約が必要だったが、今は必要ないから外そう」というパターンが挙げられます。
また、「そろそろ車を買い替えたいが、あと1年くらいは現在の車で様子を見よう」といった場合も車両保険を外すタイミングと言えますね。
年齢条件を確認
年齢条件の確認とは、「条件を変更する必要性」を確認することです。自動車保険の年齢条件は基本的に、車を運転する人のなかで最も若い人に合わせます。年齢条件の補償範囲外の人が事故を起こした場合、補償をしてくれないからです。
ここで言う「必要性の確認」とは、現在より適切な年齢条件があるかどうかを確認することです。例えば、以下のように環境の変化があった場合は要チェックです。
子供が結婚して独立した
運転者限定の範囲を「家族限定」にしている場合、補償されるのは同居の親族や別居の未婚の子です。
子供が結婚して家を出た場合、夫婦の年齢に合わせて年齢条件を変更し、運転者限定の範囲も「家族限定」から「本人・配偶者のみ」にするといいでしょう。子供が実家に帰ってきて、たまに車を運転するようなら「運転者限定なし」を選びます。
自動車保険の契約内容の変更はいつでもできますので、すぐに保険会社に連絡を取りましょう。早めの行動が鍵です。
最年少者が誕生日を迎えた
最年少者が誕生日を迎えた時も、保険を見直すタイミングです。特に21歳や26歳、30歳とでは年齢条件が変わりますから、必ず確認をしましょう。
新しい保険がないかチェック
自動車保険は定期的に、新しい保険がないかどうかをチェックするのがおすすめです。簡単にチェックする方法としては先ほど登場した「無料一括見積もり」が挙げられます。先ほどは相場を知る目的での利用でしたが、見直しの場合は「新商品のチェック」という意味合いを持っています。
自動車保険を乗り換える時の注意点
等級について
基本的に引き継ぎされる
自動車保険の等級は基本的に引き継ぎされますが、中途解約をして乗り換える際は注意が必要です。
例えば、誕生日を迎えて保険を見直したら、より良い商品が見つかり乗り換えたとします(現在の契約を11ヶ月で中途解約)。この場合、11ヶ月の無事故がとてももったいないです。あと1ヶ月無事故であれば等級がひとつ上がったのに、乗り換えをしてしまったために新契約締結時点から再スタートとなります。
1ヶ月程度ならば待ったほうが断然お得です。ただし、前契約と通算して本来のタイミングで等級を上げられる「保険期間通算特則」を設けている保険会社もあります。契約途中で保険の乗り換えをしたい場合は、保険会社に聞いてみてください。
等級の引き継ぎができる期限に注意
等級を引き継げる期限は「前契約の満了日の翌日から7日以内」とされています。解約をしたけど新規加入するのを忘れていた、という場合は等級の引き継ぎができない上に無保険状態で運転をすることになり大変危険です。乗り換えをする方は空白期間ができないよう注意してください。
中断証明書を利用する
等級引き継ぎには期限がありますが、期限切れを免れる方法が「中断証明書」を利用することです。これは、廃車や譲渡をした、転勤で海外渡航することになったなどの理由で保険が必要なくなった際に利用できます。
中断証明書があれば自動車保険の解約後、最長で10年までは等級を引き継ぐことができます。
安い自動車保険のリスクとは
最近はネットで手続きできる安い自動車保険が話題です。こうした商品は、代理店を通さないので人件費や場所代がかからず、その分安くできます。自分に必要な補償が分かっている方であれば、ネット型自動車保険に加入して賢く保険料を節約すると良いでしょう。
ただし、安さだけで選ぶのは禁物です。「安いと思って入ったら車両保険が付いていなかった」など、自分が必要とする補償が付いていない場合もあります。
保険料だけを見るのではなく、必要な補償が付いているかどうかを必ず確認してください。
まとめ
保険料を抑えるにはまず仕組みを理解することが大切です。保険料に影響を与えるのは主に等級・年齢条件・運転者限定でしたね。特に自動車保険の見直し・乗り換えをする際は、等級の引き継ぎがとても大切になります。等級の有効期限、乗り換えるタイミングは要チェックです。また、無料一括見積もりは、ただ見積もるだけでなく「相場を知る」「新商品のチェックをする」といった目的を意識することが賢い利用方法です。
ただし、目の前の安さにつられないように注意しましょう。保険の目的はあくまでも「万が一に備えること」です。
※2023年2月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以