保険を代理店経由で加入するメリットと良い代理店の見つけ方
2022年6月29日
保険代理店(ほけんだいりてん)とは、保険の契約者と保険会社との間に入って、生命保険や医療保険などの契約手続きを行う会社のことです。
一昔前まで、保険に加入する時は、代理店を通して契約をすることがほとんどでした。今でこそ、保険会社と契約者がダイレクトにやり取りを行うことも多くなりましたが、それでも代理店が保険契約に果たす役割は大きいものです。
今回は保険契約の頼れる味方である代理店について、代理店の概要から良いお店の見分け方までお伝えいたします。
保険代理店の仕事内容と通常の保険会社との違い
代理店は保険商品を取り扱い、消費者(契約者)と保険会社の間を取り持つお店です。自動車業界にディーラーがいたり、食品業界にスーパーやコンビニなどの販売店があるように、保険会社にも小売店にあたる「代理店」があるわけです。
保険代理店が請け負う業務
保険代理店は主に以下のような業務を請け負っています。
・保険契約の紹介や締結
・保険料の領収証の発行
・保険料の領収
・保険契約の変更や解約の受付
・契約者からの事故報告の受付と保険会社への報告
・保険金の請求手続きの援助 など
要約すると、保険商品を契約者に紹介したり、契約内容の締結や変更手続き、保険料の領収など、「保険会社と契約者の間を取り持ち、両者のやりとりを円滑にする役割」を担っています。
また、代理店は保険の契約だけでなく、事故やケガなど万が一の時に、保険金の請求手続きのアドバイスも行います。いざという時に保険会社との間をとりもってくれるため、大変頼りになる存在です。
保険会社との違い
そもそも保険会社とは、内閣総理大臣の免許を受けた、保険業を営むことができる会社です。商品(保険)を自社で作り、それを販売する際には金融庁の認可が必要になります。
一方、保険代理店とは、この保険会社からの委託を受け、商品を販売したり、顧客のサポートをしたりする会社です。一社の商品だけを取り扱う代理店もあれば、複数社の商品を取り扱う代理店もあります。複数社の商品を取り扱うお店では、幅広い商品の中から顧客のニーズに合った商品を提案することができます。
尚、保険会社、保険代理店、どちらで保険の契約を行っても、保険料そのものは変わりません。
保険代理店に寄せられる具体的な相談内容
具体的には、保険代理店には以下のようなご相談が寄せられます。
・現在契約している保険がライフスタイルに合っているのか
・子供が生まれるので学資保険について考えたい
・新車に変えたので保険も見直したい
・今の自分にはどのような保険が必要であるのかを知りたい
保険代理店の種類とその強み
この保険代理店には以下の2種類の代理店があります。
・専業代理店(プロ代理店):保険販売を専業とする代理店
・副業代理店:自動車ディーラー、自動車整備工場、不動産業者、旅行代理店などが保険販売を兼ねる代理店
この2種類の中で、専業代理店は扱う保険商品が多いため、ジャンルにとらわれない様々な保険を紹介してもらえます。もし何種類かの保険への加入を検討されているなら、専業代理店がおすすめです。
一方、副業代理店は、自動車ディーラーならば自動車保険、不動産業者ならば火災保険や地震保険、旅行代理店ならば旅行保険など、それぞれの分野の契約に関わることが多いため、その分野の保険に対して豊富な知識を持っています。利用する際は、自動車の購入や不動産の購入のついでにというパターンが多いです。
また、専業代理店と副業代理店に共通して、以下のような代理店の種類があります。
乗合代理店
特定の保険会社の商品だけではなく、複数社の保険商品を扱っているタイプの保険代理店です。複数社の保険契約を一度に比較検討できるため、自分に合ったものを提案してもらいやすい、というメリットがあります。
規模も、地域密着型で個人経営しているところから、法人化して全国展開しているところまで大小様々です。また、店舗を構え相談者が店舗に伺うタイプから、相談者の職場や近所などで相談をする訪問タイプがあります。
専属代理店
1社の保険会社の商品のみを取り扱う保険代理店です。専属代理店の場合、乗合代理店のように保険会社各社の商品を比較することができませんが、専属の保険会社の最新情報やキャンペーン情報など、契約にあたってお得な情報を取得しやすいメリットがあります。
独立系ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーの資格保有者が独立し、保険商品を提案する形もあります。この業態の場合、ファイナンシャルプランナーによる保険やお金のアドバイスを受けることができるため、過剰な保障や高額な保険料を避け、無駄なく保険選びができます。また、長期的にお金に関する相談もできるため、ライフスタイルの変化に応じて保険の乗り換えも相談可能です。生涯を通して頼れる相談役を得ることができます。
一方で、相談料がかかるケースもあります。相談前に相談料を確認しましょう。
保険代理店の長所と短所
前の項目で保険代理店の種類についてご説明しましたが、保険代理店にはどのような長所と短所があるのでしょうか?それぞれ解説していきます。
◎保険代理店の長所
複数の保険の比較ができる
保険会社は当然、自社商品しか販売しませんが、保険代理店では多くの保険商品を取り扱っているお店があります。そのため、顧客のニーズにより沿ったベストな保険が見つかる可能性が高いです。
保険を選ぶ時に重要なのは保障内容です。保険会社の知名度よりも、保障が充実しているか、保険料とのバランスはとれているか、自分のニーズを満たしてくれるか、といった視点で最適なプランを提案してもらいましょう。
きめ細かいサービスを受けられる
一度保険に加入すると、短期で契約を解約すること少ないです。結果的に、代理店で保険契約をした場合、代理店との付き合いが長くなることが予想されます。
代理店は保険のことで困った時は相談に乗ってくれますし、保険の乗り換えや新規加入、更新の時期にはお得な情報などを提供してくれるでしょう。
「地域密着型」のサービスを提供してくれる代理店もあります。困った時にはすぐに駆けつけて対応してくれるなど、代理店ならでの気の利いたサービスを受けられるのは大きな特徴です。
保険を一元管理できる
保険商品には、生命保険や医療保険、自動車保険や火災保険など様々な種類があります。目的によって、様々な保険に加入する必要がありますが、そんな時にひとつの代理店を窓口に契約を交わしてしまえば管理が簡単になります。
例えば、複数の保険に死亡保障が付いており、保険会社も違うとなると、遺族はそれぞれの保険会社に報告しなくてはなりません。最終的には保険会社とのやり取りになりますが、保険代理店で窓口をまとめておけば、申請作業をサポートしてもらえたり、申請漏れを防げたりするでしょう。
また、保険更新の手続きも同様の理由で楽になります。
◎保険代理店の短所
ネット保険より保険料が高い
インターネットの普及により、契約者と保険会社がダイレクトに契約を結ぶことも多くなってきた昨今。生命保険や医療保険、自転車保険、旅行保険などあらゆる保険加入がネットで完結します。
ネットで契約できる保険は、保険料に代理店手数料や人件費、店舗の維持費などを含めなくて良いので保険料が割安です。そのため、ネット保険と比べると保険料の高さがネックとなります。
良い代理店を見つけるのが難しい
どのようなお店にも言えることですが、売るものに対する知識は、販売する店とスタッフによってばらつきがあります。
例えば、同じ靴屋さんでも、靴のケア方法や使う人に合わせた調整、着る服との相性まで考えて販売している店は少ないように、お客さんに合った保険を提案し、万一の時に保険会社との間をスムーズに取り持てるかどうかは、代理店や販売員の経験、知識によって違いがあります。
また、保険代理店はお客さんに保険の契約をしてもらうことが目的の一つなので、どうしても「契約してもらおう」という姿勢が出てしまうことがあります。そのようななかでも、本当に相談者のためになる提案をしているかどうかが良い保険代理店を見分けるポイントです。
良い代理店を見つけた時の心強さは多少の保険料の高さを差し引いても、契約者にとって大きな利益になるでしょう。それでは、良いお店を見つけるためにはどうすれば良いのか、次項でご説明します。
良い保険代理店の見つけ方
保険の説明は専門家ではない方には少々難しいものです。保険の契約内容や保障を受ける条件などは、ご存知の通り、細かい規約が定められており、保険会社から説明されてもすぐに理解するのは困難です。
このような時に代理店は、保険契約者と保険会社の「知識」「情報」「交渉力」などの格差を緩和し、消費者・保険契約者を様々な不利益から守る役割も担っています。
この役割をスムーズにこなせるお店が良い代理店と言えるのですが、その見分け方には、以下のような方法があります。
色々と質問しても丁寧に答えてくれる
保険代理店で保険契約を考えている方は、疑問に思っていることを代理店に聞いてみましょう。素人の質問にすらすらと答えられないようでは、頼りがいのある保険代理店とは言えません。こちらが質問した以上のことを返してくれる代理店ならば、保険について詳しい代理店と言えます。
話をきちんと聞いてくれる
良心的な保険代理店は、相談者がどのようなニーズや不安を抱えているか、丁寧にリサーチします。例えば、保険にまったく入っていないのでそもそも保険が必要かどうか分からない方と、すでに加入していて保険の見直しをしてほしい人とではニーズが違いますよね。相談者の希望を聞き、不安を取り除いたうえで最適な商品を提案をしてくれるのが良い保険代理店です。
一方、相手の話を聞かずにいきなりおすすめの保険商品について説明を始めるような担当者は、優秀とは言えません。相手のニーズに応えるよりも、自社の利益を優先している証拠です。
今までの営業年数
老舗と呼ばれる企業が高い信頼と価値を持つのは、それだけ長く営業を続けるサービスの質とファンを持っているからです。営業年数が長い場合、その年数に比例して経験や知識を持っているはずなので、初めて行く代理店では営業年数を確認するようにしましょう。
顧客の数
顧客(契約者)の数が多い代理店ほど、多くの人に信頼されている証拠です。保険は他の商品と違って目に見えません。このように目に見えない商品は、信頼できるお店で契約したいと考える人が多いです。HPなどで顧客の数が公表されている場合はぜひ参考にしてみてください。
代理店としての成績
代理店としての営業成績が優秀で、保険会社から表彰されている代理店は信用に値します。営業成績を良くするには、それだけ保険の知識や保険に関する税金や法律の知識を持ち合わせている必要があります。
また、評判の良い代理店は、自然と口コミによってお客さんがお客さんを呼び、営業成績が良くなるものです。代理店に行った時は、保険会社からの表彰状などがないかどうかチェックしてみましょう。
また、表彰状が発行された年数が新しいほど、信用に値します。あまりに古い表彰状の場合、受賞したスタッフがお店を離れていたり、責任者が変わってサービスの質が変化していたりする恐れがあるからです。
口コミ
もしその代理店を利用した人が身近にいた場合、代理店の評判を聞いてみましょう。知人からの口コミは、広告などでは分からないことを知る最適な方法です。
また、インターネットで「代理店の名前 評判」などのワードで検索し、その代理店の評判を調べてみるのもおすすめです。利用者の生の声を目にすることができるでしょう。
インターネットは、あらゆる情報が手に入り、こんな情報まで!と驚いてしまうようなことまで知れてしまう便利な道具です。口コミサイトでは、その店のサービスの質だけでなく、他のおすすめ代理店が紹介されている可能性もあるので、一度検索をかけてみて損をすることはないと思います。
しつこく加入をすすめてくる保険代理店には注意
保険代理店に限りませんが、しつこく加入をすすめてくる保険代理店がいることも事実です。要は、押し売りのようなものですが、本当は必要のない保険を売ろうとしてきたり、しつこく何度も電話をかけてきたりする代理店には注意が必要です。
代理店選びは、担当者との相性やスキルも重要です。まずは相談してみて「合わないな」と思えば、他の代理店を探してみると良いでしょう。
まとめ
以上、保険の代理店についてお伝えしました。現在では、インターネットの普及により、少しだけ影が薄くなってきた代理店ですが、まだまだ保険契約のメインを担う存在です。繰り返しになってしまいますが、保険の知識は一般人には難しいもの。良い代理店に出会えれば、保険を探す時や契約更新の時などに良い情報がもらえて得をする機会が増えます。良い代理店に出会うために、何店舗か確認をしてみるのも有効な方法です。
※2022年6月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以