持病のある人が医療保険を考えるときに知っておくべきこと
2023年4月24日
このページを読んでいる方は、「持病があると、医療保険に入れない?」という心配をしているのではないでしょうか。もちろん持病があると、医療保険には入りにくいです。しかし、絶対に加入できないわけではありません。
持病のある方でも加入できる医療保険もあります。この記事では、持病があると保険に入りにくい理由や、あっても加入できる保険について解説します。なぜ加入しにくいのか、加入できる保険はどんな商品なのかを知ることで安心感を得られるでしょう。
持病があると医療保険に入れない理由
一般的に、持病がある場合は医療保険への加入は難しくなります。それは以下の理由からです。
保険の公平性を保つため
保険は公平性を保たなければ成立しません。持病のある人が他の人と同じように加入した場合、保険金をもらえる確率は高くなりますね。これは平等ではありません。そのため持病を持っている方の加入は難しくなっています。
保険料が上がる可能性がある
持病のある人が簡単に加入できるようになった場合、保険の運用はどうなるでしょうか。保険金を立て続けに払うことになる可能性がありますね。そうすると、保険会社はたくさんのお金を用意しなければなりません。
したがって保険料が上がり、運用ができなくなる恐れがあります。持病のある人が加入しづらいのは、保険会社が利益を出しながら事業をしていく(頻繁に支払いたくない)ためといった理由もあります。しかし、わたしたちの負担を増やさないためといった側面もあるのです。
乱用を防ぐため
病気でも保険に入れるとなると、保険を乱用される可能性があります。例えば、病気で余命宣告されている人が保険に一気に加入した場合、保険会社は一度にたくさんの保険金を支払わなければなりません。
また、病気の人に近づいて保険金詐欺をする人が増える危険性もあります。こういった悪用にもつながりかねないため、持病を持った人が保険に加入するのは難しくなっています。
持病があっても入れる医療保険
持病のある方でも入れる医療保険は、主に以下の2つがあります。
引受基準緩和型
引受基準緩和型は、通常の保険商品よりも加入条件を易しくしたものです。保険に加入する際に提出する「告知書」には過去5年以内の病歴などを記載します。しかし、引受基準緩和型は告知対象となる病気の種類や告知項目が少ないことで保険に加入しやすくなっています。
告知項目は保険会社によって異なるので、同じ引受基準緩和型でも、加入できる場合とできない場合があります。
無選択型
無選択型も、引受基準緩和型と同じように、保険契約の受け皿を大きくしたものです。引受基準緩和型と決定的に違う点は、告知書の提出をする必要がないことです。病歴がある方でも保険に加入できます。
上記2つの医療保険は加入しやすくなっている分、保険料は割高となります。そのため、まずは通常の医療保険に申し込み、加入できなかったら引受基準緩和型→無選択型の順番に検討してください。
近年の入院日数は減っている!?
最後に、近年の医療事情について触れておきます。
医療保険は入院保障が基本
医療保険の仕組みを簡単に説明すると、基礎部分として入院保障があり、それを基準に手術費用や通院費用の保障額が決められているものが多くあります。
そのため、医療保険を見る際は入院保障(保険金額や保険期間)と、その他の保障内容を分けて比較します。通院保障が付いているものもあれば、付いていないものもあります。また、先進医療特約、三大疾病保障特約などの特約がセットになった商品も多いです。
在院日数の減少
近年では医療制度改革の影響で、入院患者の在院日数を減らすことが求められています。理由は医療費の削減です。高齢化社会になった昨今、医療費の自己負担額が1割の患者が多くいます。9割を税金で負担することになり、財政を圧迫していることが医療制度改革の背景となっているのです。
つまり、近年の医療は入院患者の数を減らし、通院や在宅医療に治療方針を変更していこうという動きになっています。これを踏まえると、入院保障が充実した医療保険は今の時代に合っていないといった見方もできるのです。
長期の入院に備える
医療機関が在院日数を減らす方向に動いているとは言え、長期入院をする場合がないわけではありません。例えば、令和2年患者調査(厚生労働省)によると、患者の平均在院日数は32.3日(総数)となっています。しかし、結核の場合は59.5日、神経系の疾患は83.5日となっており、長期入院になるケースもあります。
長期入院になると医療費負担が大きいです。長期入院によって貯蓄を切り崩すことに不安のある方は、医療保険を検討しましょう。
まとめ
持病があると医療保険に加入しにくいのは、保険の公平性を保つためです。持病のある方は保険金をもらえる可能性が高くなりますから、同じ条件で加入できると公平ではなくなってしまいます。
また、病気の方が簡単に加入できたらそれを悪用することもできます。持病のある方が加入しにくいのは、ある意味、わたしたちを守ってくれているからです。
医療保険に加入するには、告知書を提出します。しかし、その告知書の項目数が少なく、持病のある方でも加入しやすいのが引受基準緩和型の医療保険です。さらに、告知の必要がない無選択型の医療保険もあります。
持病があって通常の医療保険に加入できない方は、引受基準緩和型や無選択型の医療保険を検討してください。
※2022年9月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以