医療保険の受取人を決める際に知っておきたい4つの基礎知識

2023年7月6日

医療保険に加入する際、必ず決めなければいけないのが保険金の受取人です。

今回は、医療保険の受取人を決める際に知っておきたい4つの基礎知識として、受取人の役割、契約者・被保険者・受取人の違い、加入する際に注意すべき点、死亡保険金は受取人によってかかる税金が違うことについてご紹介します。

医療保険の受取人の役割について

受取人の役割は、保険会社から支払われた給付金や保険金を受取ることです。医療保険では、入院や手術給付金は原則被保険者が受取人と定められています。死亡保障が付いている場合は、受取人を配偶者や子供に設定できます。

医療保険の契約者・被保険者・受取人の違い

医療保険に加入する際、「契約者」「被保険者」「受取人」を決める必要があります。しかし、それぞれどんな権利があるのでしょうか。具体的な内容を以下にまとめました。

契約者

契約者とは、医療保険の契約を結ぶ人のことを言います。医療保険に加入後、契約者は保険料の支払いや契約内容の変更、解約ができます

被保険者

契約した医療保険の保障対象となる人のことを言います。被保険者が病気やケガにより入院や手術をすると給付金が支払われます。医療保険の場合、被保険者に指定できるのは本人や配偶者、2親等までの血族と決められていることが多いです。

受取人

保険会社から支払われた給付金や保険金の受取りができる人のことを言います。万が一、受取人が何かしらの事情により請求ができない場合、「指定代理請求制度」を活用し、代理人が請求できます。指定代理請求人は加入する時に決めます。

医療保険に加入する際に注意すべきこと

医療保険に加入する際、注意すべき点がいくつかあります。トラブルを起こさないためにも、事前に確認しておくといいでしょう。

医療保険の給付金は非課税

医療保険で受け取った入院給付金、手術給付金、通院給付金などは非課税です。税金を納める必要がありません。ただし、被保険者が給付金を受け取らずに亡くなった場合、その給付金は遺族が相続し、相続税がかかります。

指定代理請求人になれる人とは

指定代理請求人になれる人は、各保険会社でルールが設定されています。一般的には配偶者、直系血族、3親等以内の親族、同一生計の人などです。

受取人の変更はできない

医療保険の受取人は、基本的に変更不可です。指定代理請求人は変更できます。

死亡保険金は受取人によってかかる税金が違う

死亡保険金は受取人を誰に決めるかによって、保険金にかかる税金の種類が変わります。課税される税の種類は、「相続税」「所得税」「贈与税」です。それぞれの条件について以下にまとめました。

所得税|契約者と受取人が同じで、被保険者を配偶者や子にした場合

契約者と保険金の受取人が同じで、被保険者を配偶者や子などにした場合、「所得税」が発生します。なぜなら、本人が保険料を支払って保険金を受取るため、一時所得という扱いとなるのです。

【一時所得の算出方法】

総収入金額 – 収入を得るために支出した金額(注) – 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

(注) その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

引用元:国税庁|一時所得

  • ・所得税が発生する場合の例
契約者 被保険者 保険金の受取人

相続税|契約者と被保険者が同じで受取人が違う場合

死亡保険金を受け取る場合に一番多いとされているのが相続税がかかるパターンです。契約者と被保険者が同じで、保険金の受取人が異なる場合は「相続税」がかかります。ただし、一定の金額が非課税となるため、差し引かれる税金が他の種類よりも少ないことがメリットとして挙げられるでしょう。ちなみに、相続人以外の人が保険金を受取ると、非課税対象外となるため注意が必要です。

【非課税限度額の算出方法】

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

引用元:国税庁|相続税の課税対象になる死亡保険金

  • ・相続税が発生する場合の例
契約者 被保険者 保険金の受取人

贈与税|契約者・被保険者・受取人がそれぞれ違う場合

契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合は「贈与税」がかかります。この場合、死亡保険金から基礎控除の110万円を差し引いた金額が贈与税の課税対象額となります。

【贈与税の課税対象となる金額の算出方法】
死亡保険金額-110万円(基礎控除額)=贈与税の課税対象となる額

参考:国税庁|贈与税の計算と税率(暦年課税)

  • ・贈与税が発生する場合の例
契約者 被保険者 保険金の受取人

相続税には非課税額が設定されているため、最も負担が少ないです。死亡保険金の受取人を決める際、税金の支払い負担を重視して決めるのであれば、契約者と被保険者が同一で受取人のみ別の人にするのがいいと言えます。

まとめ

医療保険の受取人は原則として被保険者本人と定められています。何らかの事情で被保険者が請求できない場合は指定代理請求人が請求できます。入院給付金や手術給付金などは非課税ですが、死亡保険金については税金がかかります。受取人を指定する時によく考えてみてください。

※2022年10月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以