生命保険はクーリングオフできる?|書面の書き方や適用期間などを解説

2022年4月24日

生命保険のクーリングオフとは、契約した保険契約を撤回することを言います。営業マンの熱弁によって高額な保険料の契約をしてしまったが、後々考えてみるとこの保険はいらなかったなと思った際にクーリングオフ制度を活用すると便利です。

しかし、クーリングオフにも条件や期間、方法があるので確認が必要です。契約は一度結んでしまうと厄介なものもあります。どんな契約も締結の際は注意してください。また、クーリングオフ以外にも契約を撤回する方法はあるので、その活用方法もここで紹介していきます。

生命保険のクーリングオフ

生命保険のクーリングオフは、通常のクーリングオフと少し変わった点があります。生命保険のクーリングオフは「クーリングオフに関する書面を受け取った日」または「申込日」の遅い日から8日以内の申告が必要(保険会社によっては、10日~30日程度に延長している場合もあり)です。ただし、契約した場所や、内容によってはクーリングオフができない場合があります。

ですから、必ずしも契約を白紙に戻せるわけではないことに注意しましょう。

クーリングオフって?生命保険のクーリングオフの条件

クーリングオフとは、契約した後に頭を冷やして冷静に考え直す時間を契約者に与え、決められた期間内であれば無条件で契約を解除できる制度のことを言います。基本的に双方が同意して契約をしてしまえば契約を撤回できませんが、消費者のことを考え、特別に作られた制度です。

原則クーリングオフが可能なものは、訪問販売や電話勧誘販売など相手から積極的に販売してきて購入したものになります。しかし、保険のクーリングオフは一般的なものと少し違った制度が設けられているのです。

クーリングオフか取り消しの判断

ここで大切なのがクーリングオフを使うか取り消しを使うかという選択です。クーリングオフをするには書面での申請が必要で、一定の時間と手間がかかります。しかし、契約成立前であれば、クーリングオフ制度を利用せずとも、契約した保険内容を取り消しできることもあります

生命保険は契約してからその内容を保険会社が確認して、審査するので保険の効力が発生するまでに一定期間のタイムラグが生じます。その期間内に保険会社に問い合わせて契約の取り消しの希望を伝えれば、契約を取り消しできる場合があります。

なので、まずは保険会社に問い合わせてください。そして取り消しができなかった場合はクーリングオフを使ってください。

クーリングオフができない契約

保険商品の中にはクーリングオフできない保険商品があります。契約する際には、そのような点も踏まえて確認しましょう。クーリングオフができない契約は申込者が自分で指定した場所での契約や事業のための契約、保険期間が短い契約などです。

契約例1:保険会社に自ら出向いてした契約・申込者が自分で指定した場所での契約

保険を契約する際に、保険会社に自ら出向いてした契約や、こちらから指定した場所での契約はクーリングオフできません。契約の意思があるということを積極的にアピールしてしまうと、自らした契約と見なされてしまうので解除ができないのです

契約例2:事業のための法人契約

会社で事業のためにした保険契約は、クーリングオフできません。個人間の契約でなく会社間での契約になりますと、話は変わってきます。

契約例3:保険期間が短い契約

契約期間が1年以内の保険についてはクーリングオフできません。保険商品は契約期間の長いものが多いですが、1年契約の定期保険などもあります。そういった契約は、原則クーリングオフできないのです。

その他クーリングオフができない契約

下記のケースでもクーリングオフが不可能となっていますので、お気を付けください。

  • ・インターネットや郵送で申し込んだ契約
  • ・保険代理店(保険ショップ)に出向いてした契約
  • ・生命保険会社指定の医者の診査が完了している契約
  • ・団体信用生命保険など担保に使用するための保険

クーリングオフの申請期間

ここで、一般的なクーリングオフ制度について理解を深めましょう。

クーリングオフができる期間は、販売方法によって異なります。この期間を過ぎてしまうとクーリングオフできなくなってしまうので、申請する際には商品を買ってから何日経っているかを確認してください。

基本は契約から8日以内

  • ・訪問販売:8日間
  • ・電話勧誘販売:8日間
  • ・特定継続的役務提供(学習塾、語学教室、エステなど):8日間
  • ・マルチ商法:20日間  
  • ・業務提供誘引販売取引(内職商法やモニター商法):20日間

クーリングオフ可能な期間は、基本的に契約書または申込書を受け取った日のいずれか早いほうから計算します。8日あれば家族と話し合うこともでき、しっかり考えて判断することが可能です。

クーリングオフ期間が20日など長めに設定されているものがありますので、8日間経ってしまったからといって諦めるのではなく、きちんと契約内容を見直すようにしましょう。

申請書面の書き方・申請方法

クーリングオフをする際には、申請書面に自分の契約を撤回する意思を書く必要があります。その申請書にも書き方や申請方法があるのでここで詳しく紹介します。

内容・注意点・申請方法

  • ・内容は簡潔に契約の撤回の希望を書いてください。
  • ・申込書に押印した場合は押印もします。必ずはっきりと押印してください。こちらは申し込んだときのものを使用します。薄かったりすると再提出になる可能性があるので注意してください。
  • ・申請は封書やハガキにて保険会社に送ります。また、発信日が証明できる特定記録郵便書留内容証明などのサービスを郵便窓口でご利用ください。郵便局の消印がクーリングオフの期間外ですと無効になってしまうので送る日にちに注意しましょう
  • ・支払いをクレジットカード払いにした場合は、クレジットカード会社にも通知をする必要があります。こちらは同じような内容をハガキに書き、郵便ポストに投函してください。

書面の記載例を下記にて紹介します。

クーリングオフが使えない場合の対処法

ここでは、クーリングオフや取り消しが使えない際の法的救済方法を紹介します。私たち消費者には保障されている権利があり、契約に関して問題が起こったときは法的に守ってくれる仕組みがあります。なので、クーリングオフが使えないからといって諦めるのはまだ早いです。ここでは消費者契約法による契約の取り消しとクーリングオフの違いについても詳しく紹介します。

消費者契約法による契約の取り消し

消費者契約法とは平成13年4月に施行された比較的新しい法律です。この法律は、消費者と事業者とには交渉力や情報力などに格差があることを背景に、私たち消費者の利益や権利を保護する目的で制定されました。

具体的な内容は、事業者による不当行為があった場合に、消費者が契約の取り消しなどを主張できることです。私たちが購入する家電や日用品などにも、消費者契約法を適用できます。契約が取り消せる場合は、事業者の不当な勧誘(消費者契約法第二章に掲載)に対してです。

消費者契約法で取り消せる期間

消費者契約法で取り消せる期間にも制限があります。期間は、消費者がこの契約は違法だ、契約を撤回できるのではと認識したときから1年、契約締結から5年までです。この期間を過ぎてしますと、取消権は時効によって消滅してしまうのでくれぐれも注意してください。

消費者契約法で取り消すための手続き方法

契約がおかしいと思った場合には、消費者ホットラインに相談するために『188』に電話をかけましょう

消費者ホットラインに電話をかけると、お近くの地方自治体の消費生活相談窓口を紹介してもらえます。窓口に相談して取り消しが可能かどうか、取り消しするために何をすべきかなどを聞いて実行しましょう。

さらに詳しいことは『不当な契約は無効です!-早分かり!消費者契約法ー』に記載されていますので、ぜひご覧ください。

クーリングオフと消費者契約法の違い

2つの制度に関しては、クーリングオフができるならなるべくクーリングオフで解決、それでもどうにもならないときは消費者契約法を利用しましょう。ここではクーリングオフと消費者契約法の違いについて下記で紹介します。

クーリングオフ 消費者契約法
理由 特になし
無条件
誤認
困惑
不当な契約
条件 対象となる取引のみ 全ての消費者契約
期間 契約書面または申込書を受け取った日から8~20日間(販売方法によって異なる) 認識してから1年
契約締結から5年以内
手段 書面にて(発行日の証明が可能な方法で) 意思表示を確実に伝えることができれば特に決まりはない(発信日の証明が可能な方法で)

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※2022年4月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以