貯蓄型保険を徹底比較|4種類の特徴と自分に合った保険を選ぶ基準

2022年6月29日

貯蓄型の生命保険は、万が一に備えつつ貯蓄もできるといったありがたい機能を持っています。

とは言え、貯蓄型の生命保険には様々な種類があり、どのような違いがあるのか分からない方も多いでしょう。

今回は、貯蓄型の生命保険にはどのようなものがあるのか、それぞれのメリット・デメリットを解説します。最後には、貯蓄と生命保険を分けた考え方も紹介しているので参考にしてください。

4種類の貯蓄型生命保険の違いを比較

貯蓄型の生命保険は主に「終身保険」「養老・学資保険」「外貨建て保険」「個人年金保険」の4種類に分けられます。

ここでは、各保険について詳しく見ていきましょう。

1.終身保険(低解約返戻金型)

終身保険は「一生涯の保障が得られる生命保険」というイメージが強いですが、解約返戻金があるため貯蓄性も備えています。なかでも「低解約返戻金型終身保険」は貯蓄性を重視する方におすすめです。

低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金を通常より低く(概ね7割程度)設定することで、保険料を安くできる商品です。ただし中途解約をした場合は、あまりお金が戻ってこないというリスクがあります。払い込みを完了した場合は、解約返戻金が払込保険料総額を超えるため、多くのお金を受け取れます。

また、貯蓄性を重視するのであれば、返戻率に注目しましょう。払い込んだ保険料に対してどれだけのお金が返ってくるかという指標です。返戻率は解約返戻金などの受取総額を払込保険料総額で割り、100をかけて計算します。

返戻率が100%を下回るものは、元本割れを起こしています。110%を超えているものは返戻率が高い商品と捉えてもいいでしょう。

低解約返戻金型終身保険のメリット・デメリット

低解約返戻金型終身保険の主なメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

◆メリット
・払込期間が終了すれば、払込保険料総額よりも多くのお金を受け取れる
・通常の終身保険よりも保険料を安く設定できる

◆デメリット
・中途解約をした場合、戻ってくるお金が少ない
・保険の見直しがしにくい

低解約返戻金型の魅力は、なんと言っても払込保険料総額よりも多くのお金を受け取れることです。しかし、払込期間は数十年にわたる契約が多く、払込期間終了まできっちり払い込むのは想像以上に難しいかもしれません。例えば、病気やケガなどで働けなくなった場合、毎月1万〜2万円の固定費が発生することは大きな負担となります。

また、払込期間終了までは元本割れが気になるので解約しにくく、保険の見直しが困難です。必要最低限の保障を設定し、負担に感じない保険料かどうかを確認したうえで加入しましょう。

2.養老保険・学資保険

養老保険と学資保険は両方とも貯蓄性の高い保険ですが、保険に加入する目的が異なります。

養老保険

生命保険は被保険者が死亡した場合に保険金が支払われるのが一般的ですが、生存していた場合に支払われるものもあります。それを生存保険と言います。養老保険は、満期までに被保険者が死亡した場合は死亡保険金、満期まで生存していた場合には満期保険金が支払われる「生死混合保険」です。

老後の資金を積み立てつつ、万が一のことがあった場合は死亡保険金を確保できます。死亡保険金と満期保険金は同額に設定するようになっています。

メリット・デメリット

養老保険の主なメリット・デメリットは以下のようになります。

◆メリット
・死亡リスクに備えながら老後のための資産形成ができる
・保険期間や保険金額を自由に設定できる商品が多い
・途中解約した場合は解約返戻金を受け取れる

◆デメリット
・インフレに弱い
・保険料が高い
・満期保険金は払込保険料総額より低くなる契約が多い

養老保険は保険期間や保険金額を自由に設定できる商品が多く、ご自身の年齢やライフプランに合わせて保障を決められます。ただし、保険料が高めに設定されているので、保障は必要最低限にするといいでしょう。

また、バブル崩壊前は払込保険料総額より満期保険金が高額になる契約がたくさんありましたが、現在は満期保険金のほうが低い契約が大半です。終身保険など他の保険商品とも比較して、加入するかどうか検討してください。

学資保険

学資保険は子供の教育資金を確保することを目的とした保険です。契約者である親に万が一のことがあった場合は保険料の払い込みが免除となるため、安心して教育資金を貯められます。満期保険金は、概ね200万〜300万円が相場です。

満期保険金の他に、祝い金と言って入学や進学の節目に(高校入学時、大学入学時など)お金をもらえるプランもあります。

なお、学資保険には貯蓄性重視の貯蓄型、保障重視の保障型があるのでご説明します。

貯蓄型

貯蓄型は、払込保険料総額よりも満期保険金や祝い金の総額が高くなることが特徴です。契約者(親)に万が一のことがあった場合は、それ以降の払い込みは免除されます。貯蓄が苦手な方でも確実に教育資金を貯められます。

保障型

保障型は、貯蓄型の保障を手厚くしたものと考えていいでしょう。払込免除特約に加え、親や子供の死亡保障、医療保障などが付いています。保障が手厚い分、保険料が上乗せされ、払込保険料総額より満期保険金や祝い金の総額が低くなるのが特徴です。

メリット・デメリット

学資保険の主なメリット・デメリットは以下のようになります。

◆メリット
・貯蓄型学資保険は、払込保険料総額よりも多くのお金を受け取れる
・貯蓄が苦手でも、着実に子供の教育費を準備できる
・親に万が一のことがあっても子供の教育資金を確保できる

◆デメリット
・保障を手厚くすると元本割れしてしまう

学資保険は貯蓄型のなかでも、教育資金の確保に特化した保険です。多くの金額がほしい場合は、貯蓄型を選択するといいでしょう。保障型は保障が手厚い分、元本割れをしてしまいます。払込保険料総額よりも多く受け取る目的で加入したのに、いざもらってみたら少なかった、なんてことのないように注意してください。

3.個人年金保険

個人年金保険は、貯蓄的な要素が大きい保険商品です。受給開始になると、年金形式で給付金を受け取ります。公的年金に不安のある方が、老後の資金確保のために加入する保険です。

また、受給開始よりも前に被保険者が亡くなった場合、死亡給付金を受け取れます。受給中に亡くなった場合は、遺族が被保険者の代わりに年金を受け取れる商品もあります。近年は公的年金への不安が高まり、個人年金保険の注目度が高まっています。

個人年金保険は4種類あり、目的に合わせて選ぶことができます。

終身年金

終身年金は、被保険者が生存している限り年金を受け取れるタイプです。年金受取期間中に被保険者が亡くなってしまうと支給が終了してしまうため、早くに亡くなってしまうと受取総額が少なくなってしまいます。

ただし、「保証期間」が設定されている「保証期間付き終身年金」なら、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金が支給されます。もし、保証期間中に被保険者が亡くなったら、相続人が年金または一時金を受け取れる仕組みです。保証期間終了後は、被保険者が生存している限り、一生涯年金を受け取れます。

確定年金

保険契約時に決めた一定期間(10年間など)、年金が支給されます。「確定」なので、被保険者の生存・死亡に関係なく支給されます。受取期間中に被保険者が死亡した場合は、相続人が決められた期間まで年金または一時金を受け取れます。

有期年金

有期年金は、確定年金と同じく給付を受ける期間が一定期間定められています。確定年金との大きな違いは、受取期間中に被保険者が亡くなってしまうと支払いが終了してしまう点です。

ただし、「保証期間付き有期年金」は、被保険者の生存・死亡に関係なく保証期間中は相続人が年金を受け取れます。保証期間終了後は、被保険者が生存している限り、一定期間年金の受け取りが可能です。「保証期間付き終身年金」の保証期間以後が、終身から期限付きになったと考えると分かりやすいでしょう。

夫婦年金

夫婦年金は、夫・妻のどちらかが生存している限り、一生涯年金が支給されます。

メリット・デメリット

個人年金保険の主なメリット・デメリットは以下のようになります。

◆メリット
・確実にお金を貯められる
・個人年金保険料控除を利用できる
・受取期間開始前に被保険者が亡くなると、死亡給付金が支払われる

◆デメリット
・定額型はインフレリスクがある
・変動型は運用実績が悪いと返戻率が100%を下回る

個人年金保険は、貯蓄が苦手でも老後のためにコツコツお金を用意できます。個人年金保険料控除を利用できる点もポイントです。

また、個人年金保険には将来の受取額が決まっている「定額型」と、運用実績によって受取額が変わる「変額型」があります。定額型は物価が上昇すると、受取額が実質的に目減りしてしまいます。変額型はインフレに強いですが、運用実績によっては受取額が少なくなる恐れがあります。

4.外貨建て保険

外貨建て保険は、多少のリスクがあってもお金を増やしたい人に向いています。保険料として支払ったお金を、ドル、ユーロ、豪ドルなどで積み立てていくもので、投資感覚で利用する保険と捉えると分かりやすいでしょう。

日本円より高い金利で運用できる

外貨建て保険の良さは、日本円よりも高い金利で積み立てられることです。日本円で資産を持っている場合より、よりお金を増やせる可能性があります。

ハイリスク・ハイリターンである

外貨建て保険は、保険商品のなかでもハイリスク・ハイリターンです。為替の変動によって、損をしてしまう可能性があります。例えば、1ドルが100円の時に100万円をドルに交換すると1万ドルになります。これを日本円に戻す時、1ドルが70円になっていた場合は30万円の損失が生じてしまいます。

メリット・デメリット

外貨建て保険の主なメリット・デメリットは以下のようになります。

◆メリット
・日本円より高い金利で運用できる
・外貨で資産形成できるので、すべての資産を日本円でも持つよりリスク分散できる
・為替差益を得られることもある

◆デメリット
・為替手数料がかかる
・為替差損が生じる可能性がある

外貨建て保険は、金利が高い分ハイリターンを期待できます。また、海外で働かずとも外貨を積み立てることが可能です。例えば老後は海外に住む計画をしている方は、外貨で年金を積み立ててみるのもひとつの手段です。為替の変動によって、得をするのか損をするのか変わってきますから、ハイリスク・ハイリターンな運用でもかまわないという方に向いています。日本円だけではなく、海外の通貨でも資産形成をしてリスク分散したい方にもおすすめです。

貯蓄と保険を分けてみる

さて、ここまで貯蓄型保険を見てきました。貯蓄型保険は貯蓄と保険の両方の機能がありますが、この2つを分けて将来に備える方法をご説明します。

貯蓄をする方法

貯蓄をする方法としては、ごく一般的な定期預金の他に「財形貯蓄」というものがあります。定期預金についてはご存知の方がほとんどだと思いますので、「単利」と「複利」、そして貯蓄するコツを紹介します。

◆単利と複利
単利は元本(預けた時の金額)部分のみに利息が付くものです。一方複利は、元本+利息の部分にさらに利息が付きます。つまり、単利よりも複利の方がよりお金が増えるのです。定期預金をする際は、単利より複利の商品を選びましょう。

◆貯蓄をするコツ
お金が貯まらない方は、「余った分を貯める」というやり方をしていませんか?実はそれだとお金は一向に貯まりません。貯めるコツは「先取り貯金」です。先取り貯金とは文字通り、先に貯金をし、残りのお金で生活をするといった方法です。

例えば、給料の20%を貯蓄に回し、その残りで生活をするといったやり方です。お給料が20万円の場合は4万円を貯蓄して、残りの16万円で生活することになります。パーセンテージで指定するのは、お給料が変動してもいくら貯蓄すればいいか分かりやすいからです。上記の例で言うと、月の貯金額を4万円で固定させた場合、お給料が月18万円になると生活費に回せるお金が14万円になり、家計が苦しくなるかもしれません。反対に、お給料が増えたらその分多めに貯蓄できます。

財形貯蓄

財形貯蓄は、勤労者財産形成促進法に基づく貯蓄制度です。事業主を通して、お給料から貯蓄分を天引きしてもらい、資産を形成します。種類は、貯蓄の目的を問わない「一般財形貯蓄」、年金として受け取ることを目的とした「財形年金貯蓄」、家の取得や増改築のための資産作りを目的とした「財形住宅貯蓄」の3つです。

利用するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

◆勤労者である
財形貯蓄をする人は、勤労者でなければなりません。事業主に申請をし、認めてもらったうえで貯蓄をすることができます。事業主や自営業の方は利用できません。

◆3〜5年以上預け入れる
財形貯蓄はその種類により、3〜5年以上の預け入れが制度利用の条件とされています。毎月または賞与期ごとの預け入れとなります。長期雇用が見込まれる、パートタイマーやアルバイトの方でも利用できます。

保険は掛け捨て型で十分

生命保険は万が一に備えるもの。貯蓄は預金などで行い、保険では最低限の保障のみ付けるのが一番という考え方があります。一般的には掛け捨て型の生命保険はもったいないという捉え方をされると思いますが、貯蓄型の生命保険にも掛け捨て部分(会社の利益分)は含まれています。それをしないと会社はつぶれてしまいますからね。

また、掛け捨て型にすることで、より魅力的な保険商品を見つけた時にすぐに乗り換えができます。定期的に保険を見直したい方や、貯蓄と保険を一緒に考えると混乱する方は、掛け捨て型が向いていると言えるでしょう。

まとめ

貯蓄型保険はそれぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて選びましょう。より多くのお金を受け取りたい場合は「低解約返戻金型終身保険」、安定した貯蓄を望む場合は「養老保険」「個人年金保険」がおすすめです。

学資保険は目的が限定されている商品ですが、貯蓄型の生命保険に分類されます。外貨建て保険は、資産を分散する目的で利用するのが賢い使い方と言えます。

貯蓄と保険は分けたほうが保険の見直しがしやすいですが、自分で貯めるのが面倒だという方は貯蓄型保険を利用するのもありでしょう。目的に合った保険を選びたいですね。

※2022年6月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以