保険の見直しで押さえるべきポイント|見直しのプロセスや保険の選び方

2022年5月7日

加入した後は放っておきがちな保険。現在、どのような保険に入っているのか、具体的な保障内容を説明できますか?

そう聞かれて、ドキっとした人も多いのではないでしょうか。10年や20年経過していれば、具体的な内容を忘れてしまってもムリはありません。しかし、本来は説明できた方がいいものです。

保険に加入する際は気合いを入れているものの、見直しとなると面倒、やりたくないと思っていませんか?保険は本来見直しが必要です。今回は、生命保険に焦点をあて、面倒だと思われがちな保険の見直しプロセスとポイントを紹介していきます。

生命保険を見直す4つのプロセス

生命保険の見直しは、どのように進めるのがいいのでしょうか。見直しをする際の基本的なプロセスは以下のようになります。

左から順を追って見ていきましょう。

プロセス1:必要な保障額を知る

まずは今の自分に必要な保障額を把握するところから入りましょう。それを把握した後に、現在の加入状況を確認し、変更の必要があるかどうかを検討します。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、生命保険の加入金額の平均は男性で1,866万円、女性で801万円でした。女性よりも男性の方が、高額な死亡保障を準備していることが分かります。

プロセス2:生活費用や学習費用を見てみる

ここで一度、生活費用や学習費用について見てみましょう。生命保険に加入する目的は様々ですが、主な目的は家族のためにお金を残すことですね。ここでは子供の養育費や配偶者の生活費に焦点をあててみましょう。まずは子供の養育費についてです。

学習費用|幼稚園〜高校

文部科学省の実施した「子供の学習費調査(平成30年度)」によると、幼稚園〜高校卒業までにかかる学習費用の総額は次の表のようになっています。学習費用の総額は『学習教育費』『学校給食費』『学校外活動費』の3つの要素から構成されています。

公立と私立を比較すると、ずいぶん差があることが分かります。例えば、幼稚園から私立に通うとなると、公立に通う場合と比べて高額な教育資金を準備しなくてはいけません。

学習費用に関する資金計画では、公立に通うのか私立に通うのかが大きなポイントとなります。まだ子供が3〜4歳くらいであれば分かりませんが、小・中学生くらいの年齢であれば、子供自身の考えもありますから見直す必要が出てくるかもしれません。

学習費用|大学

・生活費

日本学生支援機構の実施した「学生生活調査(令和2年度)」によると、学生ひとりあたりの生活費(平均)は国立大学で84万円、公立で76.5万円、私立で61.8万円となっています。

また、居住形態別に生活費の平均を見ると、自宅通学の場合は38.7万円、下宿、アパート、その他の場合は110.8万円です。

・学費

日本学生支援機構の「学生生活調査(令和2年度)」によると学費の平均は国立大学で59.2万円、公立で60.5万円、私立で131.1万円となっています。

学費を見ると、私立大学の場合は国立大学の2倍ほどです。

お子さまの将来を見据えた資金計画をする場合は、以上のようなデータをもとに必要な保障額を計算してみることをおすすめします。心配な方は、資金計画のプロであるFPに相談するのが望ましいです。

プロセス3:現在の保障内容を確認する

必要な保障額が分かったら現在の保障内容と照らし合わせてみましょう。余計なものがついていれば(保険金額が高い、いらない特約が付いているなど)、保険の見直しをすることで月々の保険料が安くなる可能性があります。

反対に保障が足りていない状態であれば、すぐに契約内容を変更した方がいいでしょう。保険は『万が一の事態に備える』ためのものですから、保障が十分でないといざという時に困ります。

プロセス4:最適な保険を探す

方法1:自分で探す

現在の保障内容が妥当なものだったら、ひと安心。しかし現在の保障内容が妥当なものだった場合でも、保険料がより安い商品があるかもしれません。今はネットで見積もりを出せる保険会社が多いので、一度ご自分で探してみるのもいいでしょう。

年齢、保険金額、保険期間などの簡単な情報を入力するだけで保険料の試算をすることができます。ただし、すべてのプランを試算できるわけではないため、あくまで目安という点には要注意です。

保険会社ではweb上では紹介していないプランも用意している可能性があります。「もう少しこうならないかな?」といったプランがあった場合は問い合わせをしてみるといいでしょう。

方法2:プロに相談する

今はインターネットでたくさんの商品を探せますが、自分で保険を探すのには限界があります。先ほど触れたように、ネットで紹介しているプランは、保険会社の保有している商品のすべてではないこともあります。

そのため、よりいい保険商品を見つけるためにも一度プロに相談することをおすすめします。自分で探したものと、プロが提案したものを比較してみて、最終的な判断を下すのが無難だと考えられます。

保険見直しに関する5つのポイント

見直しと言っても、「どこを見直せばいいの?」という疑問が湧きますね。今回は見直すポイントを5点紹介します。

ポイント1:保険金額

保険金額のチェックは最も重要な要素のひとつです。保険と聞くと月々の保険料に目がいきがちですが、最も重要なのは「保険金額と自分に必要な保障額が合っているか」です。

保険金額の見直しは必ずしましょう。

ポイント2:保険料

保険金額の確認をしたら、保険料の確認をします。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると払込保険料(年間)の平均は、男性で23.4万円、女性で16.8万円となっています。

こういったデータを目安に自分の保険料と比較してみるのもおすすめです。「もしかしたら払いすぎ?」と思ったり、「もしかしたらお得な保険に加入してる?」と思ったりすることで保険に対する理解を深めていきましょう。

自分に合った保障が得られるのであれば、保険料は安い方がお得です。保障内容が同じもの(もしくは似たもの)を、いくつか比較することでより安い商品を見つけることができます。

ポイント3:払込期間

続いて、払込期間を確認しましょう。例えば、終身保険であれば、終身払いや有期払い(一定期間や一定年齢で払込が終了するタイプ)があります。収入が上がってきたため早めに払い終えて安心を得たい、といった場合は払込期間を短くするのもひとつの手です。

自分の現在の収入状況と払込期間とを天秤にかけて検討することをおすすめします。

ポイント4:解約返戻金

解約返戻金のチェックは忘れがちなのではないでしょうか。または、解約返戻金のことをよく知らずに加入している方も少なからずいると思われます。解約返戻金を簡単に説明すると、中途解約した場合に戻ってくるお金です。

どれくらい返ってくるかというのは、保険会社や商品によって様々です。確認を忘れると解約時に「全然戻ってこない!」とびっくりしてしまうこともありますから、必ず確認しましょう。

解約返戻金がある保険商品は主に、終身保険や養老保険、学資保険です。定期保険は解約返戻金がない場合がほとんどです。もし中途解約した場合に、お金が戻ってくることを期待するのであれば返戻率の高い保険を選びましょう。

ポイント5:被保険者・保険契約者・保険金受取人

保険金を受け取る時、『誰が保険料を払っていたか』『誰が保険金を受け取るのか』によって、相続税や所得税などの税金の種類が変わります。その結果、税金の金額も控除額も変わってきますので、保険の見直しを検討する際には、被保険者・保険契約者・保険金受取人に注意してみることが大切です。

これら三者がどのようにして税金に関わってくるのかを『【図解付き】保険料を受け取った時に課される税金の種類と計算方法』にて詳細にお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

保険の選び方をおさらい

見直しをすると言っても、基本的には保険の選び方を把握しておけば大丈夫です。ここでは、『高さと幅』という保険選びにおいての基本的な考え方を紹介します。

高さと幅を言い換えると『保険金額』と『保険期間』です。保険選びは、どれくらいの保障をどれくらいの期間継続させたいのかを決めることから始まります。現在のライフスタイルや今後の生活で起こりうることを予測し、高さと幅を決めていきます。予測と言ってもそこまで詳細なものではなく、一般的に考えられるものです。

例えば、独身であれば自分のケガや病気について。結婚をした場合、子供ができて、学校に行って、といったライスステージの変化が想像できますね。

選び方1:高さについて

高さとは保険金額のこと。つまりどれくらいの保障がほしいのかということです。保険に入る目的としてイメージしやすいのが、万が一の場合や病気・ケガに備えること。また、定年退職後の資金の確保も思い浮かびます。今回は万が一に備える場合について、どのように高さを設定するのかを見ていきましょう。

・万が一に備える

ここでは『誰に、どのようなお金を残すのか』を考えます。例えば、あなたが独身ならば『親族のために自分の葬儀代くらいは残そうかな』と考えるかもしれません。結婚をして養う家族がいるのであれば『妻や子供が生活していくためのお金』や『子供が大学を卒業するまでのお金』を残す必要がありますね。

以上のように、万が一の事態に備えるを場合は『誰に、どのようなお金を残すのか』が、保険金額を計算する手がかりになります。

選び方2:幅について

幅とは保険期間、つまり設定した『高さ(保険金額)』がどれくらい継続してほしいのかということです。10年なのか20年なのか、それとも一生涯なのか、保険への加入目的に合わせて設定する必要があります。

例えば、子供が高校を卒業するまでの保障がほしい場合、高校卒業までの期間を設定すればいいですね。定年退職後の病気やケガに備えるのであれば、保険期間を一生涯にするのが妥当でしょう。

子供の教育費のために保険に加入する場合は、保険期間終了タイミングを高校卒業時なのか、大学卒業時なのか、『いつまでなのか』を明確にする必要があります。大学入学時など、一時的にまとまったお金が必要な時の備えだけほしい場合も考えられますね。

幅を決めるにあたっては、保険に入る目的が明確になっている必要があります。上で触れたように『子供が高校を卒業するまで』といった具合にはっきりしていれば、幅も決めやすくなりますね。

保険選びの基本である『高さ』と『幅』はとても便利な考え方ですから、ぜひ覚えておきましょう。たいていの保険選びは、高さと幅を考えれば迷いがグッと減ります。

保険の見直しをした方がいいケース

保険を見直す際に、とくに見落としがちなポイントは「本当に保険が必要か?」という視点です。見直しをする場合は、保険に加入している前提で考えていないでしょうか?まずは要・不要の判断をするところから入りましょう。

ケース1:人に言われるがままに契約したケース

例えば、保険のセールスレディや会社の上司などに言われるがままに加入した場合、本当にいるのかどうかを疑ってみましょう。もしかしたら、毎月ムダな保険料を支払っているだけかもしれません。

いらない保険は最初から加入しないのが一番ですが、保険の見直しはムダな支出を減らすチャンスです。まずは疑ってみるところから入ってみてはいかがでしょうか。

ケース2:保険に加入せずとも目的を達成できるケース

保険に加入せずとも目的を達成できるのであれば、保険に加入する必要はありません。見直しの際には、他の方法がないか考えてみましょう。例えば、保険加入時から10年が経過して収入が上がっている場合、もしかしたら貯蓄でそれができるかもしれません。

保険加入時には目的がはっきりしていても、時間が経つと忘れてしまうもの。現在のライフスタイルに合った目的をもう一度設定し、それに対して保険以外の方法はないか探ってみましょう。

ケース3:保険契約時と現在では状況が変わっているケース

契約時には、3人の子供が未成年だったので充実した保障が必要だと判断し、保険金額が高めに設定されている保険に加入した。しかし、今は子供が全員独立したので、そこまでの保障はいらないため保険金額を下げたい。

このように契約時と現在で状況が違う場合には、保険を見直すと保険料が安くなったり、保障内容がよりいいものになったりする可能性があります。契約プランを見直して、現在の状況にその保険が本当に必要かどうかを考えてみましょう。

保険の見直しを考えるべき6つのタイミング

保険の見直しを考えるべきタイミングをお伝えします。「子供が独立したわけだし、保険の見直しを考えてもいいよね…?」そんな疑問に対する回答になれば幸いです。

タイミング1:結婚

結婚すると新しい家族ができます。ご自身に万が一のことがあっても、家族を守れるように保険を見直しましょう。

独身の時には病気やケガで入院しても、入院代+αのお金さえもらえれば、生活に支障は出ませんが、家族がいる場合にはそうはいきません。少なくとも家族が生活していけるだけのお金が必要です。その分をカバーできる保険に加入し直しましょう。

タイミング2:出産

出産も同様に家族が増えるタイミングです。新しい家族を守れるように保険を見直しましょう。とくに考えたいのが、子供の教育費です。夫婦2人であれば生活費だけ用意できれば問題ありませんが、子供がいるのなら教育費も用意しなくてはいけません。

万が一のことがあっても、子供が十分な教育を受けられるよう、保険金額を上乗せしたり、保障内容が充実した保険に入り直したりしましょう。

タイミング3:離婚

離婚は家族の人数が減り、ライフスタイルが大きく変わるタイミングです。

独身になったら保障を減らし、父子家庭や母子家庭になった場合は、子供のために保障を手厚くするといいでしょう。

タイミング4:自宅購入

自宅購入のために住宅ローンを組む場合、融資の条件として団体信用生命保険に加入するよう言われることがほとんどです。

団体信用生命保険とは、債務者に万が一のことがあった場合、以降のローン残高がなくなるという保険契約です。

つまり、遺族はローン返済する義務がなくなり、家はそのまま手に入ります。

住宅ローンを組んで自宅購入すると、遺族の住居費を通常の生命保険で用意する必要がなくなります。

そのため、住居費の分だけ保険金額を下げることが可能です。保険料が安くなるチャンスなので、ぜひ見直してください。

タイミング5:子供の独立

子供が独立するタイミングは月々の保険料を減らせるタイミングです。経済的に面倒を見る家族が減れば、高額な保険金は不要です。

そのため、保険金額を減らしたり、他の保険に乗り換えたりして月々の保険料を安くするといいでしょう。

タイミング6:定年退職

定年退職した後は、基本的に年金と貯蓄で生活をしていくことになります。その場合、月々の保険料負担が大きいと生活を圧迫してしまう可能性があります。保険料を割安なものにして、日々の生活を安定させる人が比較的多いです。

まとめ

『面倒だ』とか『難しそう』といったイメージのあるものは、プロセスを具体的に描くことで障壁を取り除くことができます。まずは、プロセスを確認してから保険を見直してみましょう。

※2022年5月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以