先進医療の費用と保険が必要か判断するために知るべき基準

2022年7月7日

医療保険やがん保険の説明を受ける際によく聞く「先進医療保障」。先進医療、と聞いてもピンとこないかもしれませんが、簡単に言うと「高度な技術を用いた新しい治療」のことです。令和4年6月1日現在では、83種類の技術が認定されており、がんや眼球の病気など様々な治療に用いられています。

患者への身体的負担を減らすことや、治療の選択肢を増やすといった目的があります。

先進医療は公的医療保険が適用されない

先進医療は、厚生労働省が認定した機関でのみ受けることができます。その際は、国民健康保険などの公的医療保険は適用されず、医療費は全額自己負担です。

公的医療保険では先進医療が保障されない理由

先進医療は、厚生労働省から一定の効果と安全性が認められたもののみ登録されています。しかし、一度認められたらずっと登録されている、というわけではなく2年に1度見直されています。過去には有効性が低いと判断されて、先進医療から外されたものもあるのです。

十分な実績が認められたら公的医療保険の対象となりますが、現在登録されているものはすべて検討段階という意味です。対象とするには評価する期間が必要であり、すぐに公的医療保険の対象となるわけではありません。

まだまだ未知な部分があることから、公的医療保険の対象となっていないのです。

先進医療にかかる費用は民間の保険商品で保障される

先進医療は公的医療保険が適用されないため、医療費は高額です。高いものは1回の治療で300万円以上かかる場合もあります。そういった場合に備え、今日では先進医療の費用を負担する保険商品を用意している保険会社が存在します。

結論からお伝えすると、先進医療費用に備えるためには先進医療保障の付いた民間の保険に加入しておいたほうが良いでしょう。いざという時、お金の心配をすることなく安心して治療を受けられます。

先進医療に保険が必要な理由:かかる費用が莫大

先進医療は医療費が高額になるケースが多く、その中でも特に高額となるのは「陽子線治療」と「重粒子線治療」です。主に、がんの治療に用いられます。

先進医療を実施している機関の所在地・機関名・費用の一例

表1:陽子線治療の費用(単位:円)

所在地 機関名 費用
千葉県 国立がん研究センター東病院 2,941,000
茨城県 筑波大学附属病院 2,938,000
鹿児島県 メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター 3,140,000
愛知県 名古屋市立大学医学部附属 西部医療センター 2,883,000
北海道 社会医療法人禎心会 札幌禎心会病院 2,900,000

表2:重粒子線治療の費用(単位:円)

所在地 機関名 費用
千葉県 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 QST病院 3,140,000
兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター 2,883,000
群馬県 群馬大学医学部附属病院 3,140,000
佐賀県 九州国際重粒子線がん治療センター 3,140,000

・技術名および実施機関は、厚生労働省「先進医療を実施している医療機関の一覧(令和4年6月1日現在)」を参照。
・費用は、実施機関のHPを参照。(令和3年7月時点)

表1と表2を見ると、両方とも300万円前後の医療費がかかることがわかります。これを全額自己負担することは、かなりの負担になりますね。

先進医療の費用を保険でカバーするには

先進医療には莫大な費用がかかることがご理解いただけたかと思います。そこで患者にかかる負担を軽減するために、各保険会社では医療保険やがん保険に付帯できる「先進医療特約」を用意しています。

また、数は少ないですが先進医療保障を主契約とする「先進医療保険」もあります。

特約でカバーする場合

特約で先進医療保障を付けるには、医療保険やがん保険に付帯します。このとき注意したいのは、両方の保険は保障の範囲が異なる点です。医療保険に先進医療特約を付けると、基本的にすべての先進医療が対象となります。一方、がん保険は主契約ががんのみを保障範囲としているため、特約でカバーされるのもがんに関する先進医療のみです。

がんに関する先進医療のみ保障されれば良いのであればがん保険に、他の病気でも保障されたいなら医療保険に付帯しましょう。

保障額は1,000万円や2,000万円など高額なものが多く、保険料は月100~300円程度です。

主契約でカバーする場合

主契約で先進医療保障を付けるには、先進医療保険や初めから先進医療保障付きで販売されている医療保険、がん保険に加入することです。先進医療保険は、保障が先進医療に限定されているため、月々500円程度の保険料で加入できるものがあります。既に医療保険やがん保険に加入しており、途中から特約付帯ができない場合などに良いでしょう。

現在、医療保険やがん保険に加入しておらず、これから加入したい方は先進医療保障付きの商品を探してみるのがおすすめです。

先進医療保障の必要性と加入するタイミング

300万円を超えることもある、高額な先進医療費。必要性と、いつ加入すれば良いのかヒントをご紹介します。

そもそも必要なのか?

先進医療とはどのような病気を対象としているのか、自分や家族がその病気になる可能性はどれくらいあるのか考えてみましょう。陽子線治療や重粒子線治療は、主にがんを対象とした先進医療技術です。

今日では日本人の2人に1人ががんになると言われています。がんになりやすい家系か、がんを患った時にはどういった治療を受けるのか、それらをふまえた上で、先進医療保障が必要かどうかよく考えてみてください。

いつ、必要になりそうか?

先進医療保障が必要だと判断したら、「いつ必要になりそうか」考えてみましょう。保険には終身型と更新型があります。終身型は加入から一生涯保険料が上がらない保険です。更新型は、若いうちの保険料が安く、年齢を重ねるごとに(リスクが上がるごとに)保険料が高額になります。

年を取った頃に必要になりそうだと考えるならば、若い時は更新型の保険を利用して保険料を抑え、歳をとってきたころに終身型に切り替えるプランが考えられます。いつ必要になるかわからないと考えるならば、保険料の変動が一切ないメリットから、始めから終身型の保険に入るのもアリです。

以上のように、「いつ、必要になりそうか?」と考えることが、保険をうまく活用するコツと言えるでしょう。

先進医療費用を保険でカバーするメリット・デメリット

先進医療保障が必要か否か判断するには、メリット・デメリットを捉えることが重要です。また、自分が何に不安を感じているのかを明らかにすることも忘れてはいけません。以下に、先進医療保障を付けるメリット・デメリットを挙げます。

先進医療費用を保険でカバーするメリット

メリットは、以下の2つが挙げられます。

◆月あたり100~300円程度の追加で、万が一の時の保障を受けることができる。
月あたり100~300円程度の追加払いで、1,000万円や2,000万円近くの保障を受けられるのはお得です。

◆自分や家族の身体に不安がある方は、安心を得られる。
もし自分や家族が先進医療を受けることになったらお金はどうしよう…と不安のある人は保障を付けることで安心できます。

先進医療費用を保険でカバーするデメリット

デメリットは、以下のように保険料が上がるパターンが挙げられます。

◆既に医療保険・がん保険等に加入している場合でも、新たに加入しなければいけない可能性がある。
特約は、単体で契約することはできません。医療保険やがん保険などの主契約に追加するかたちで加入します。既に医療保険やがん保険に加入しており、途中から特約追加できる場合は問題ないでしょう。しかし、追加できない契約だと、他の保険に入り直すなど主契約そのものを見直す必要があります。

◆新たに加入した場合、既存の保険への加入当初より保険料が上がってしまう
例えば、20代で先進医療保障のない終身型医療保険に加入していて、特約の追加ができず、30代で他の終身型医療保険に乗り換えることになった場合を考えましょう。20代の時より月々の保険料が上がってしまうため、結果として保険料総額も跳ね上がってしまいます。

先進医療費用を保険で備えるかどうかの判断軸

保険の根幹にある考えは「相互扶助」です。小さなお金をたくさんの人から集めて「共有財産」とし、誰かが病気やケガをしてしまった際に、共有財産で助けましょうという考えが保険の基礎概念です。

病気やケガをして働けなくなった、治療費を貯蓄で賄えない、万が一の時に家族が困窮するなどの不安を解消するのが保険です。つまり、保険は「安心して生活を送る」ためにあります。先進医療保障を受けることによって自分が「安心できるか否か」を判断基準としてみてください。

例えば、「自分の家系は皆がんにかかっていて、自分も将来がんになる可能性がある」「先進医療を受けることで病気が良くなるのであれば、迷わず受けたい」「年収が高くないし、数百万円の治療費はとても払えない」と考えているならば、必要になる可能性は高いでしょう。

一方「自分の家系でがんにかかっている人はひとりもいないし、もし自分ががんにかかっても先進医療を受けるつもりはない」と考えていれば、必要はないかもしれません。

自分が将来なるかもしれない病気と、それが先進医療の対象となるのか、先進医療保障を受けることで「安心できるか」を考えることが、必要か否かの判断材料になります。

まとめ

先進医療である陽子線治療や重粒子線治療は、治療費が300万円前後かかります。公的医療保険の対象とはならないため、受けることになったら費用を全額自己負担しなければいけません。貯蓄で補えない方は、医療保険やがん保険に先進医療保障特約を付けることをおすすめします。保険料は月100~300円程度なので、大きな負担にはなりません。ぜひもしもの時のことを考えて、検討してみてください。