生命保険が失効した場合の対策と知っておくべき救済措置

2023年3月27日

生命保険は、払込猶予期間内に保険料を払わないと失効してしまいます。

失効すると、本来受けられるはずの保障が受けられなくなり、解約しても気付いた時には返戻金がほとんど残っていないことがあるので注意が必要です。

たまたま保険会社からの通知を見逃してしまい、気付いたら失効していたケースなどをよく聞きます。

しかし、保険会社側はこのような事態になっても保険を今まで通りに継続する方法を用意しています。なので、失効していたとしても焦らないで落ち着いてください。

契約者には復活や解約といった選択肢が残されています。ここでは保険が失効してしまった方のために役立つ情報や、保険料の支払いについて注意したいことなどを紹介します。

失効する前に保険会社から事前通知がある

保険会社側も支払いを忘れたからといってすぐに保険を失効させるわけではありません。

確かに仕方のない事情でたまたま支払いを忘れてしまい、すぐに失効されてしまうようなことがあれば納得できない方も多いはずですが、そのような場合に備えて保険会社も対策をとっているのです。それが事前通知や失効通知といったお知らせになります。

事前通知と失効通知

保険会社は、保険料の払込がない場合、契約者に事前通知を送ります。それでも期限内に払込がない場合には失効通知といった案内をハガキなどで郵送します。

しかし、このお知らせに目を通さないで放置し、気付かない方が多くいます。また、住所変更などの手続きをしていないために、連絡をしたくてもできない方もいます。このような事態にも対応できるように、事前に手続き内容の確認や銀行口座に必要なお金を入金しておき、不備に備えましょう。

失効になってしまうまでの期間

保険が失効してしまうといざという時に保険金が支払われないので、失効になるまでの期間の把握が大切になってきます。
ここではグラフを使って月払い、半年払い、年払いを解説してきます。

月払いの場合


月払いの場合は、払込期月の翌月初日~末日までが期限になります。

半年払いの場合

(ボーナス時に保険料をまとめて支払うケース。契約応当日が10日の場合)

半年払いの場合は、払込期月の翌月初日から翌々月の月単位の契約応当日までが期日になります。

年払いの場合

(1年に1回、保険料をまとめて支払うケース。契約応当日が20日の場合)

年払いの場合は半年払いと同じく、払込期月の翌月初日から翌々月の月単位の契約応当日までが期日になります。

契約応当日が支払いのポイントに!

契約応当日とは、契約後の契約日に対応する日のことです。つまり、保険を契約した日が4月10日であれば、10日が契約応当日になります。
この契約応当日を超えると、保険が失効してしまいます。

生命保険が失効してしまった場合の対応

生命保険が失効した場合、早急な対応が必要になります。生命保険を今まで通り継続することができる「生命保険の復活」には、申請できる期限が決められています。この期間を過ぎてしまうと保険の継続は難しくなってきます。

なので、迅速な対応がとれるように失効した場合の対応について知っておきましょう。

生命保険の復活

生命保険の失効後に期間内であり、条件を満たせば契約を継続することができるのが「生命保険の復活」です。これは支払いを忘れてしまったが、もう一度同じ保険に加入したくなった人のためにある措置です。

生命保険を復活させるには保険会社によってその期間は様々ですが、失効してから2~3年の間であればできます。しかし、保険会社によっては復活することができないプランや、失効してからの申請期間が短いものもあるので確認してください。

また、失効していた間に滞っていた保険料を全額支払うことと、失効していた期間の健康状態が分かる告知書や審査が必要です。

復活させたい保険より、自分に適した保険商品が登場している可能性もあります。なので、復活をさせる場合には他の保険も確認して判断しましょう。

解約して解約返戻金を受け取る

保険契約が失効した際に、解約返戻金がある保険であれば、返戻金を受け取ることが可能です。失効して発生する返戻金のことを失効返戻金と言います。

しかし、解約返戻金がある保険とない保険があるので最初に契約する際に確認しましょう。

また、解約返戻金のある保険は、支払いが滞って払込猶予期間を超えると、ここから保険料の支払いに自動振替として立て替えられ、返戻金からも払えなくなった時に初めて失効という形になります。なので、立て替えられた分の金額と金利を差し引いた金額が失効返戻金として支払われることになります。

残る金額はわずかになってしまいますが、何も残らないよりは少しでも返戻金として受け取れるほうがいいでしょう。返戻金は解約するタイミングがとても重要になってきます。タイミングが早ければ早いほどもらえる額が多いです。

しかし、これは失効した場合の返戻金の扱いです。長年保険契約を続けると返戻率が上がる契約が多いため、より高額の解約返戻金をもらうなら長期契約したほうが利益は増えます。

復活に必要な手続き方法

保険契約が失効した際に、保険契約を継続させることのできる「生命保険の復活」にはいくつかの条件があります。滞っている保険料の全額支払いと告知書の提出などの条件を満たして初めて復活することが可能です。

滞っている保険料の全額支払い

失効する前と復活するまでの期間に未払いの保険料がある方は必ずこの支払いを一括で済ませなくてはなりません。

当然の話ですが、支払いを済ませていない契約者には保険会社も継続はさせないはずです。

復活請求書・審査または告知書の提出

保険の復活を希望することが書かれた請求書を保険会社に提出する必要があります。こちらは保険会社に問い合わせれば送ってもらうことが可能です。

そして、復活を希望する際の自分の健康状態や失効してからの期間になった病気を告知し、審査を受けることが必要になります。

支払いが厳しい場合の救済措置

日々の生活にはアクシデントがつきものです。子供のケガや、学費など様々ですが、出費が多い時期の保険料の支払いほど大変なものはありません。

しかも、保険は将来的な備えであり、保険金を受け取る時の実感がわかないので、家計が厳しい時には払いたくない、と思ってしまうことがあるかもしれませんね。

しかし、やはり保険は必要で継続したい、失効はさせたくないと思う方は多いのではないでしょうか。そんな方のために、保険会社側は救済措置として契約者貸付制度と自動振替貸付制度を用意しています。

契約者貸付制度と自動振替貸付制度

・契約者貸付制度

加入している保険の解約返戻金を担保にしてお金を借りることができるのが、契約者貸付制度になります。借りた金額を保険料や生活費などに自由に充てられるので、支払いや家計が厳しい時に非常に助かる制度です。

保険会社や契約内容によって変わってきますが、解約返戻金の7~9割の範囲で借り入れることができます。しかし、2~6%の金利が発生してしまうので、できることなら利用は必要最低限にしたほうがいいでしょう。

・自動振替貸付制度

保険料の払込がなかった際に、保険会社が保険料を立て替えて支払ってくれるのが自動振替貸付制度になります。支払いが厳しい時にはとても役立つ仕組みです。

保険会社やプランによって変わりますが、養老保険、終身保険などの解約返戻金がある保険は原則、自動的に振替が適用されます。しかし、こちらも十分な解約返戻金がないと適用されません。

なお、自動振替貸付制度が適用された場合、貸し付けた保険料には利子が発生します。

まとめ

生命保険が失効したとしても、保険会社は救済措置を用意しているため、その点はとても安心です。しかし、復活申請には期間や条件があり、自分で対応することが必要です。保険を継続することは自分の将来のためになるので、失効してしまった場合は迅速に確認し、改めて自分の加入している保険について考えてみてください。

※2022年8月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以