住宅ローンで加入する生命保険と生命保険見直しのポイント
2022年4月13日
「住宅ローンを組んだ場合、生命保険に加入することになる」という話を聞いたことがある人も多いかと思います。『団体信用生命保険(団信)』です。今回は住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入する、もしくは今後そうなっていく方に知っておいてほしい、住宅ローンと生命保険の関係性についてご説明します。
住宅ローンを組んだらほとんどが生命保険に加入することになる
冒頭でもお伝えしたように、住宅ローンを組むと、一般的に「団体信用生命保険」に加入することになります。
住宅ローンを組むなら原則加入
銀行で住宅ローンを組む場合は、基本的に団体信用生命保険に加入しないと融資を受けられない仕組みになっています。そもそも団体信用生命保険に加入しないと、住宅ローンが組めないのなら加入せざるを得ませんね。
団体信用生命保険は、一般の生命保険と同じく、加入の際に健康状態の告知が必要です。持病などがあり、加入できなかった場合は、通常より加入条件が緩い「引受条件緩和型団体信用生命保険」に加入することで住宅ローンを組めるようにしている金融機関もあります。
保険料は銀行が負担する場合が多くなっています。金融機関のホームページに「団体信用生命保険の保険料は当行が負担」などと書かれている場合は、別途保険料を支払う必要はありません。
団体信用生命保険の役割
住宅ローンを組む際に団体信用生命保険の加入が条件となる理由は、住宅ローンの債務者が万が一、死亡・高度機能障害によって働けなくなり、その後住宅ローンが支払われなくなることを防ぐためです。
債務者に万が一の事態があった時は団体信用生命保険から保険金が支払われ、その保険金で住宅ローンを清算することになります。
銀行は貸したお金をきちんと回収でき、債務者はその後のローン支払いが免除されるため、両者にとってメリットのある保険と言えます。
団体信用生命保険の特徴
それでは、このように住宅ローンに加入する際に必ずと言っていいほど登場してくる団体信用生命保険についてもう少し詳しく説明してみましょう。
原則、保障対象は死亡・高度障害のみ
団体信用生命保険は、債務者にもしものことがあった時に住宅ローンが払えなくなることを防ぐための最低限の保障です。そのため、保障対象は死亡と高度障害のみと範囲が狭くなっています。
保険金の受取人は借り入れをしている金融機関
債務者に万が一の事態があった際に支払われる保険金の受取人は金融機関です。その保険金が、残っている住宅ローンに充てられます。
ですので、団体信用生命保険での保険金で、債務者の葬儀費用や医療費、今後の生活費を補てんすることはできません。
保障を増やすことも可能
死亡や高度障害だけではなく、病気になって働けなくなり、住宅ローンの返済が難しくなるケースも考えられますよね。そういったリスクは他の生命保険でカバーすることもできますが、手厚い団体信用生命保険に加入して保障の幅を広げることも可能です。
三大疾病保障付団信
死亡・高度障害保障に加え、がん・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になると、保険金が支払われる団信です。保険料は住宅ローン金利に0.2~0.3%程上乗せされることになります。
七大(八大)疾病保障付団信
死亡・高度障害保障に加え、がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・(慢性膵炎)でも保障されます。保険料は、金利に上乗せされる契約と、別途負担する契約があります。
団体信用生命保険で保障されない範囲
繰り返しにはなりますが、団体信用生命保険は、原則、死亡や高度障害にしか保障の対象となりません。上記のように、保障を増やすことも可能ですが、すでに他の生命保険に加入している方は、それらと団体信用生命保険で「重複している保障はないか?」「不足している保障はないか?」という点を見直す必要があります。
また、保険金の受取人は配偶者ではなく金融機関です。団体信用生命保険で支払うべき住宅ローンは保障されるかもしれませんが、その後の生活費や医療費、子供の学費などは、残された方(配偶者)が働いて稼ぐか、それまでの貯蓄で切り盛りするか、他の生命保険でカバーするしかありません。
住宅ローンを組んだら生命保険を見直そう
住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険の加入が原則必須です。しかし、すでに他の生命保険に加入している人も少なくないでしょうし、団体信用生命保険だけではその後の生活費や医療費をカバーできません。結論を言いますと、住宅ローンを組んだら一度生命保険を見直してみましょう。
余計な保障や、重複している保障、また、今後家族を養っていくうえで必要な保障もあるかもしれません。ここでは、住宅ローンを組んで生命保険を見直す際に押さえておくべきポイントをご説明します。
重複している保障はないか?
団体信用生命保険は死亡・高度障害に対する保障ですが、以前から加入している生命保険と保障内容が重複していないか見直してみましょう。
重複していれば、その分保障が手厚くなりますが、必要以上の保障になっている可能性があります。不必要な保障を削ったり、保険金額を減らしたりすれば、その分保険料負担が軽くなりますよ。
不足している保障はないか?
反対に、昔から加入していた生命保険に不安がある方やそもそも保険に加入していない方は、住宅ローンを組んだことを機に生命保険で保障を手厚くしてみるといいでしょう。住宅ローンで加入する団体信用生命保険は、最低限の保障しか付いていません。しかも、住宅ローンを返済するための保障です。
万が一の際の医療費や養育費、生活費は別途用意しなくてはなりません。それらが心配な方は、生命保険に加入して十分な保障を用意しましょう。住宅を購入したということは、家族もいるでしょうから、様々な万が一の事態を想定しておくといいですよ。
月々の保険料に負担はないか?
一方で、住宅ローンを組んだということは、今後数十年間、毎月住宅ローンを払い続けなくてはなりません。以前から生命保険に加入していた方は、月々の保険料に対してシビアになるでしょう。
上記と被る内容でもありますが、同じような保障の生命保険があったら、見直して保険料を抑えることを考えてください。保険料が負担になり、住宅ローンや生命保険の支払いが滞ってしまえば元も子もありません。
まとめ
いかがでしょうか。住宅ローンを組むと原則、団体信用生命保険に加入することになります。しかし、それは住宅ローンを清算するための最低限の保障しかされませんので安心はできません。
また、今後住宅ローンを返していくことになると、月々の保険料が負担になるケースも考えられます。住宅ローンを組んだことを機に、一度保険の見直しをしてみましょう。
では、誰に見直し相談をすればいいのかと言うと、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。理由は、FPは相談者の人生の節目節目のお金の運用プラン、つまり、生命保険のこと・住宅ローンのことどちらにも精通しているからです。
住宅ローンを考えている方、住宅ローンに加入した方、それによって保険に不安がある方、月々の保険料が負担になっている方などは一度FPに相談してみましょう。
※2022年4月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以