癌(がん)でも入れる保険|選ぶ際のリスクや注意点、相談事例まで
がんでも入れる保険とは、がんにかかったことのある方や、持病のある方でも入れる生命保険(医療保険)の一種で、「引受基準緩和型」「限定告知型」「無選択型」と呼ばれる保険のことを指します。
保険の種類としては、入院・手術を保障する医療保険やがん保険、死亡保障のある生命保険など種類は様々です。糖尿病や乳がん、うつ病、高血圧といった病歴や入院経験のある方でも入れる保険として、近年がんでも入れる保険が増えてきています。
がんを経験した人は再発のリスクもありますし、持病があっても加入できる保険があるのは心強いでしょう。
しかし、癌(がん)でも入れる、持病があっても入れる商品には、それなりのデメリットもあります。この記事では、がんでも入れる保険の種類やメリット・デメリットを解説します。
癌(がん)でも入れる保険とは何か?
まずは癌(がん)でも入れる(持病があっても入れる)保険とはどういったものなのかご紹介します。
持病があっても入れる保険は2種類
がんでも入れる・持病があっても入れる保険とは、「引受基準緩和型(限定告知型)」「無選択型」と呼ばれる商品です。
どちらも通常の保険より保険料が割高になっています。これは健康な人と持病のある人とでは、保険を使う確率が違うためです。
持病のある人のほうが保険金を請求する可能性が高いため、保険料が高く設定されています。
引受基準緩和型と無選択型の違い
引受基準緩和型とは
通常の保険に比べ、加入時の告知書で問われる項目が少ない保険です。
つまり、通常の保険では加入を断られる人でも、引受基準緩和型の保険なら告知事項に該当しない場合は加入できるのです。
その分、保険料が高く設定されています。
■「引受基準緩和型」の保険に加入する際の条件
告知項目は保険会社や商品によって異なりますが、おおむね次のような内容になっています。
・現在入院中か、過去3カ月以内に入院・手術をすすめられたか
・過去2年以内に入院・手術をしたか
・過去5年以内にがんによる入院・手術をしたか
告知項目が3~5個に設定されている商品が多いです。
無選択型とは
無選択型の保険は、告知や医師の診断なしに加入できる保険です。引受基準緩和型保険よりもさらに入りやすくなっています。
ただし、保険料が割高で、保険金額が低く設定されています。引受基準緩和型保険に加入できなかった場合に検討してください。
通常の保険 | 引受基準緩和型 | 無選択型 | |
告知義務 | あり | あるが易しい | なし |
保険料 | 通常 | やや割高 | 割高 |
保障条件 | 通常 | やや限定あり | 限定的 |
癌(がん)でも入れる保険を選ぶ際のリスクと注意点
次に、がんでも入れる保険に加入する際のリスクと注意点について解説していきます。
基本的に保険料が割高になる
がんにかかっていた人や、現在持病がある方が加入できるということは、保険会社も保険金を支払う頻度が高くなり、それだけリスクを背負うことになります。その結果、保険料が割高になるのです。
【例】
一般的な医療保険 例)50歳男性、終身型、保険料:3,060円 |
引受基準緩和型保険 例)50歳男性、終身型、保険料:4,500円 |
||||
入院給付金(病気・ケガ) | 入院あたり60日 | 1日あたり5,000円 | 入院給付金(病気・ケガ) | 入院あたり60日 | 1日あたり5,000円 |
手術給付金 | 回数無制限 | 2.5~10万円 | 手術給付金 | 回数無制限 | 5万円 |
先進医療 | 2,000万円まで | 先進医療技術料の実額 | 先進医療 | 2,000万円まで | 先進医療技術料の実額 |
契約から1年以内は給付金額を50%削減 |
このように、病気にかかるリスクが高くなる引受基準緩和型保険では、通常の保険よりも保険料が割高です。保険商品にもよりますが、通常の1.5~2倍くらいになっているでしょう。
契約から1年以内は保障が半分になる
保険加入してすぐ病気・ケガなどで入院した場合、給付金額が半分程度に減額されることが多いです。この期間を支払削減期間と言って、引受緩和型保険のほとんどが1年以内に入院または手術をした場合、保障が半分に設定されています。加入時に保障内容をよく確かめましょう。
無選択型を選ぶと損をすることがある
無選択型保険を選択する場合、保険料が高いため最終的に支払った保険料が保険金額を上回るケースがあります。さらに、契約から2年以内に病気で亡くなると、払込保険料相当額しか受け取れない商品が多いということも覚えておいてください。
加入から一定期間は保障対象外
一般的に無選択型の保険は、加入してから一定期間が経たないと保障されません。また、治療中の病気は保障の対象外という条件もあります。告知義務がないからと言っても、保障されなくては意味がありません。加入前にはきちんと約款を確認しましょう。
癌(がん)でも入れる保険に関していよくある相談事例
最後に、がんになった方ががんでも入れる保険に加入する際によくある質問をまとめました。
5年前にがんを発症し手術をしました。定期的に診断は受けていますが、今後のために医療保険への加入はできますか?
通常の医療保険ですと、がんの発症歴があることで加入できない可能性が高いです。しかし、引受基準緩和型の保険であれば、がんにかかったことがあっても加入できる可能性があります。
加入したい保険があるようでしたら、加入できるかどうか保険会社に問い合わせてみましょう。
1年前にがんを発症し、現在は投薬治療を行っています。そのような状態でも加入できる医療保険はありますか?
まず、がんの発症歴があり現在も治療中とのことで通常の医療保険に加入できる可能性は極めて低いと言えます。また、引受基準緩和型医療保険でも数年以内に発症し、現在も治療を受けているとなると加入は難しいでしょう。
そこで、申告のいらない無選択型医療保険が候補になります。しかし、ご説明のように、現在治療中の病気や、加入してから一定期間は保障されないなどの制限がありますので、慎重に検討してください。
今のところ入院・手術の経験もありませんがどんな保険がいいでしょうか?
現在健康で持病や既往症がない場合は、通常の医療保険やがん保険、死亡保険(終身保険・定期保険)などがいいでしょう。具体的にどんな保険がいいのかは、FPにご相談いただければ、すべての保険商品のなかから最適なものをご案内できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
がんでも入れる保険は便利な部分も多いですが、保険料が割高になるなどデメリットもたくさんあります。そのなかでも最適な保険を選ぶためには、ファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。納得のいく提案をもらってから、加入を検討してください。
※2022年9月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以