責任準備金とは|保険会社の支払い能力に関する解説ガイド

2023年5月11日

責責任準備金(せきにんじゅんびきん)とは、保険会社が将来の保険金や解約返戻金などの支払いに備えて、保険料や運用収益から積み立てている資金のことです。

責任準備金(せきにんじゅんびきん)とは、保険会社が将来の保険金や解約返戻金などの支払いに備えて、保険料や運用収益から積み立てている資金のことです。

保険に加入、もしくはこれから加入を検討している一般の方も、聞いたことがあるかもしれませんが、そこまで深く考えたことはないでしょう。

しかし、この責任準備金が今後もらえる保険金、解約返戻金などに関わってきますので、責任準備金についての知識を深めることで賢く保険を選べます。

今回は、我々が支払っている保険料がどのようになっているのか、責任準備金の仕組みと、それに関連した保険会社の仕組みについてご紹介します。そのことを踏まえていい保険を見つけましょう。

 

責任準備金の仕組み

冒頭でもご説明しましたが、責任準備金とは、保険会社が保険料として預かった(支払ってもらった)資金や運用収益を積み立て、今後の保険金・解約返戻金などの支払いに備えるものです。

責任準備金は保険業法で定められている

責任準備金は、保険業法で一定額の積み立てが決められています。それもそうです。保険金を受け取ろうとして保険会社に問い合わせたら「今、保険金を他の方にも支給していて不足しているので、順次お支払いします。」なんて言われたら、保険会社として信頼できないし、事業が成り立っていませんよね。

万が一責任準備金の金額が著しく減ってくると、保険会社は監督機関から行政指導を受けます。それでも責任準備金が用意できない(いわゆる保険会社の破たん)場合、破たんした時点で責任準備金の90%が生命保険契約者保護機構によって補償されます。

責任準備金のイメージ

責任準備金は保険の種類によって大きく2種類に分かれます。掛け捨て型と言われる定期保険では責任準備金が少なく、積立型の保険(終身保険や養老保険)では多いです。また、積立型の保険は年々責任準備金が増えていきます。イメージとして以下の図を参考にしてください。

定期保険の責任準備金イメージ

定期保険の責任準備金は、お伝えの通り低額です。また、契約終了時(満期)には、責任準備金が0になるように山なりの弧を描きます。定期保険は、保障が一定期間で終わるので、保険会社としてもそれほど多くの責任準備金は必要ありません。

終身保険の責任準備金イメージ

一方、積立型の保険は責任準備金も右肩上がりで積み立てられます。これは、加入年数が長くなるにつれ、満期保険金や解約返戻金を準備しなくてはいけないからです。

責任準備金の計算方法

責任準備金は、各保険会社で一般公開されていませんので、通常知る由はないのですが、以下のようにおおよそ算出できます。

将来の保険金や給付金-将来の保険料収入=責任準備金

後述しますが、責任準備金は解約返戻金と比例しているので、解約返戻金を目安にすると分かりやすいです。もし保険の転換などで具体的な責任準備金を知りたい場合は、各保険会社に直接問い合わせると教えてくれるでしょう。

責任準備金とソルベンシー・マージン比率|保険会社の余力

責任準備金と関連して「ソルベンシー・マージン比率」という言葉も出てきますので、こちらでご説明します。この2つは保険金を支払うための積立金として同じような意味合いで使われますが、別のものです。

ソルベンシー・マージン比率とは

ソルベンシー・マージン比率とは、今後考えられる予想を大きく上回るリスク・支出に対してどれくらい支払い余力があるのかを表した数値です。

通常、今後起きる株の大暴落や大きな自然災害は予想できません。それでも、ソルベンシー・マージン比率をチェックすれば、その保険会社にどれだけ支払い余力があるのか分かります。

一方、責任準備金は保険金や解約返戻金などの大方予想できるリスク・支出に備えた資金を指します。似ていますが、こうした違いがあるのです。

ソルベンシー・マージン比率は200%以上が健全

ソルベンシー・マージン比率は200%を下回ると、金融庁が是正措置を取ります。そのため、現在は多くの保険会社が200%を大きく超えています。

ソルベンシー・マージン比率は、保険会社のHPで公開されており、一般人も閲覧可能です。自分が加入している保険会社のソルベンシー・マージン比率をチェックしてみてもいいでしょう。

責任準備金と解約返戻金の違い

いかがでしょうか。このように保険金支払いなどのために保険会社が積み立てている資金を責任準備金と言います。そうすると、次に気になるのが「解約返戻金との違い」です。

確かに、責任準備金と解約返戻金は同じように積み立てられていくお金なので混同してしまいがちです。こちらでは責任準備金と解約返戻金の違いを解説します。

責任準備金から解約返戻金が出る

上記でもお伝えしているように、保険会社は責任準備金で保険金・満期保険金などを支払います。解約返戻金も責任準備金の中に含まれますが、責任準備金の額が解約返戻金の額を下回ってしまうと、解約返戻金を支払えない事態になります。突然の保険金給付もできないでしょう。

そこで、責任準備金は解約返戻金よりも多く用意されています。

また、上の図をもう一度ご覧ください。解約返戻金も上の図の責任準備金と同じような形で積み立てられていきます。

定期保険の場合、解約返戻金はないか、あったとしても少額なので、責任準備金は図のように低くなります。満期が近づくにつれて、ごくわずかな解約返戻金は下がり、最後には責任準備金も0になるのです。

対して、積立保険の場合、加入年数が長くなるにつれて解約返戻金が増えます。解約返戻金に比例して、責任準備金も右肩上がりになるのです。

まとめ|保険の選び方

責任準備金について理解していただけたでしょうか。責任準備金は、保険会社が保険金や解約返戻金などを支払うための資金です。必要最低限の資金が確保されているからこそ、急に保険金を請求したり、解約したりしても、お金を受け取れます。

最後に保険を選ぶ際のヒントをご紹介します。

ソルベンシー・マージン比率が高い会社は安定

上記でお伝えした、ソルベンシー・マージン比率が高い保険会社は、今後予想外の事態が起きたとしても保険金を支払う余力があります。つまり、安定しているということです。

特に、保険商品は数十年単位で付き合っていく商品ですので、保険会社に安定感があることは加入者にとって大きなメリットでしょう。

200%以上が健全ですが、過去には400%の会社でも経営破綻しているため、最近は600%以上が望ましいとされています。

保険選びはFPにご相談ください

このように、保険に関する難しい言葉は多く、保険を選ぶ基準は多々あります。当然、保険の種類も様々です。保険選びをしている方は、一度FP(ファイナンシャルプランナー)への相談をおすすめしています。

無料でご自宅や職場の近くで空いている時間を指定できますので、まずは以下から相談してみましょう。

※2022年9月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以