学資保険に加入すべき人とは?|特徴・加入のタイミング・選び方のポイントに注意

2023年11月19日

この記事では、子どもの小学校、中学校、高校、大学でかかる教育費に備えるための「学資保険」についてご紹介します。

学資保険の特徴やメリット、必要性や加入のタイミングなど、分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

学資保険は、子供の養育費のための備えはもちろん、ご自身に万が一のことがあった場合にも堅実に備えたい方におすすめです。

将来的に子供の教育費は必要になるけど、浪費癖があり、なかなか教育費が貯められないといった方にも適しています。

しかし、学資保険は貯蓄機能が最もメインな保障ですが、実はあまりお金が増えない場合もあります。

他の保険商品に比べればそれなりに増える商品があるものの、返戻率の低い商品や、子供の入院保障特約などで元本割れする商品などがあるので、どのような保険を選ぶかが重要です。

ここでは、学資保険の特徴、加入のタイミング、選び方のポイントを解説し、学資保険以外で教育費の備えを考えている方に向けて、別の方法もご紹介します。

学資保険のおさらい

学資保険は、満期の際にもらえる満期金を教育資金に充てようという人が利用します。

子供の大学進学のためのお金を確保したいならば、子供の高校卒業時を満期に設定することで資金確保が可能です。

契約者本人である親が万が一の事態に陥った際や、子供が病気・ケガなどをした際に給付金がおりる商品もあります。

学資保険のメリット・デメリット

学資保険には、メリットとデメリットがそれぞれ存在します。

学資保険のメリット

学資保険のメリットとしては下記の3つが挙げられます。

  • ・計画的に学資金を準備できる
  • ・保険料払込免除特約付きの商品が多いので、親が死亡しても学費を残せる
  • ・返戻率100%以上の商品を選ぶことで、元本以上のお金が返ってくる

学資保険は教育費を補う保険ですので、学資金を受け取れます。加入すると月々保険料を納めることになり、貯金が苦手な方でも着実にお金を準備できるでしょう。

もし契約者が死亡してしまった場合には、それ以降の支払い義務が免除された上で、学資金を受け取ることができます。

返戻率100%以上の保険なら、支払った保険料を超える額のお金を受け取れるためお得です。

学資保険のデメリット

学資保険のデメリットは主に下記の5つです。

  • ・金利が固定される
  • ・中途解約で損をする
  • ・健康状態によっては加入できない
  • ・・年齢制限が設けられている
  • 保険会社の倒産で満期保険が減らされるケースがある

学資保険は固定金利ですので、支給額の目途は立ちますが、大きくお金が増えないことをデメリットに感じる人もいます。また、途中解約をしてしまうと、支払った保険料の全額は戻ってきません。

子供にかかる教育費はいくら?

衣類や食費など子供にかかる費用はたくさんありますが、そのなかでも最も大きい比率は学費です。

幼稚園で必要になる学費

まずは幼稚園の学費を見ていきましょう。

区分 幼稚園
公立 私立
学習費の総額(年間) 165,126円 308,909円
上記のうち学校教育費  61,156円 134,835円
上記のうち学校給食費 13,415円  29,917円
上記のうち学外活動費  90,555円 144,157円

表:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」より

私立と公立では大きな差があり、ピアノ・水泳・サッカー・学習塾などの習い事を始める時期になれば、追加の費用はやはり心配になります。

子供の習い事の資金を削ってしまうことがないよう、しっかり教育資金を貯めておきたいものです。

小学校で必要になる学費

私立は公立と比較して約5倍の学費(総額)がかかります。

また公立・私立に関係なく、中学受験をする家庭の子供は塾に通い始めるので、余計に負担が大きくなるため真剣に考えなくてはならない時期です。

区分 小学校
公立 私立
学習費の総額(年間) 352,566円 1,666,949円
上記のうち学校教育費  65,974 円  961,013円
上記のうち学校給食費  39,010円  45,139円
上記のうち学外活動費 247,582円 660,797円

表:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」より

受験シーズンになれば、受験料・交通費・宿泊代などを全て含めると総額数百万円を超えることもあります。

中学校で必要になる学費
区分 中学校
公立 私立
学習費の総額(年間) 538,799円 1,436,353円
上記のうち学校教育費 132,349円  1,061,350円
上記のうち学校給食費  37,670円  7,227円
上記のうち学外活動費  368,780円 367,776円

表:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」より

私立中学校は公立中学校の約3倍の学費(総額)がかかります。

高等学校で必要になる学費

高校になると私立高校に入学する子供も多いですし、学習塾や予備校、部活などに参加していれば出費もピークに達するのがこの時期です。

区分 高等学校
公立 私立
学習費の総額(年間) 512,971円 1,054,444円
上記のうち学校教育費 309,261円 750,362円
上記のうち学校給食費 0円 0円
上記のうち学外活動費 203,710円 304,082円

表:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」より


大学で必要になる学費
教育機関
学費
生活費
合計
大学(国立・公立・私立平均)
1,148,700円
664,300円
1,813,000円
短期大学(公立・私立平均)
1,061,700円
494,200円
1,555,900円

表:日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査

学資保険に加入するベストなタイミング

子供の年齢が低いうちに加入したほうが満期までの年齢が長くなるため、月々の保険料が安くなります。

例えば、0歳~18歳の間に300万円の積み立てをする場合と、5歳~18歳の間に積み立てをするとのでは、月々の負担が大きく変わります。

学資保険へ加入するなら早ければ早いほどいいです。

学資保険選びの3つのポイント

生まれたばかりの子供のために保険に加入する場合、子供の高校卒業時期を満期に設定したら、18年間ほども保険料を支払い続けることになります。そのため、学資保険は慎重に選ばなければいけません。

学資保険を選ぶポイントは主に3つあります。

  1. ・返戻率が高いものを選ぶ
  2. ・満期と満期保険金をよく見て選ぶ
  3. ・振込期間ができるだけ短いものを選ぶ

学資保険に付けることができる特約

学資保険には、さまざまな特約を付けることができます。

■医療特約

子供が病気やケガをしたときに、その程度に応じて保険金が支払われる特約です。

例えば、子供が入院したときに入院給付金、手術したときに手術給付金、長期入院になったときに一時金が支払われます。
■災害特約(傷害特約)

災害特約は不慮の事故で子供が傷害を受けた際に、程度に応じて保険金が支払われる特約です。

傷害特約は災害保険をより拡大したもので、不慮の事故や伝染病で死亡または高度傷害の状態になったときに保険金が支払われます。
■育英年金特約

保険料払込期間中、親に万一のことがあった場合にその時点から年金が受け取れる特約のことで、家族の大黒柱に先立たれたときの生活費を保障します。

特約を付けなくてもいい理由

万が一のために便利に見える特約。しかし、あまり必要ない場合もあります。

これからその理由を説明します。

子供が亡くなっても経済的には困らないから

学資保険は子供を大学に入学させる際の教育資金の確保を目的としており、子供が死亡した場合は大学入学に備える必要がありません。そのため、子供が死亡したときに保険金が出る特約は不要でしょう。

子供の公的医療制度が充実しているから

医療を受けたとき、現役世代の大人は健康保険で窓口負担額が3割となります。

子供は加えて各自治体が設けている「乳幼児医療費助成制度」や「義務教育就学児医療費助成制度」など、様々な制度により窓口負担が無料になるケースが多くあります。

医療特約は医療保険に比べて保障が手厚くないから

医療保険には先進医療特約やがん特約などを付帯できる場合があります。一方、学資保険の医療特約はシンプルな保障内容になっているため、不安が残る方もいるでしょう。

手厚い医療保障を用意したいなら。学資保険に特約を付けるよりも別途医療保険を検討するのがおすすめです。

元本割れする可能性が高い

学資保険に医療特約を付けると返戻率が100%を下回ってしまうケースが多くあります。

学費を用意するため積み立てた保険料の総額より、満期保険金が少なくなってしまうのです。

学資保険で受け取ったお金にかかる税金

学資保険は契約の満期時にお金が受け取れる保険ですが、このお金を受け取った際に税金がかかるのかを心配をされている方も多いと思います。

満期時に一括で受け取ったお金は「一時所得」という扱いになり、所得税の対象ですが、もらった額全てに課税されるわけではありません。

学資保険以外の教育資金を確保する方法

学資保険以外で子供の教育資金を確保する方法を5つご紹介します。

1.預貯金で賄う

貯金ができる方は、学資保険には加入せずにそちらの利用をおすすめします。

学資保険は自由な引き出しができないため、予想外の事態に対してまとまったお金が必要になった場合に対応が難しくなります。

2.生命保険で賄う

預貯金だけでは心配という方は、生命保険で賄うという方法もあります。使えるものは低解約返戻金型終身保険や個人年金保険、外貨建て終身保険などです。

どれも掛け捨て型ではなく貯蓄型の保険なので、将来的にまとまった額のお金を準備できます。

3.借り入れる

教育ローンや奨学金などで、お金を借りる方法もあります。利息を付けて返済することになりますが、貯金や保険だけでは対応しきれないのなら検討しましょう。

4.定期預金

自由に引き出せない代わりに、普通預金よりも高い金利が設定されている定期預金はお金を貯めたい人におすすめです。

投資や返戻率の低い保険とは違い、元本割れのリスクがありませんので、損をすることもありません。しっかりやれば確実にお金を貯められる手段だと言えます。

5.株、投資信託など金融商品

お金を貯める・増やす手段として株や投資信託なども、選択肢に入ってくるでしょう。

「NISA」を始める人が増えたことで、投資は以前より身近になっています。ただし、ある程度は専門の知識が必要になりますし、元本保証がありません。

学資金の全てを投資で賄うのではなく、まずは貯蓄や保険加入をして、プラスアルファで検討するといいでしょう。

もし、ご自身で学資保険が選べない場合は、プロに相談をすることをおすすめします。

※2023年9月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以