医療保険の積立と掛け捨てを徹底比較|見るべきメリット・デメリット
2022年3月1日
保険料や保障内容など、星の数ほど医療保険が存在する中で、その種類はいくつかのタイプ分けができます。その区分けのひとつ「積立型」と「掛け捨て型」は保険を選ぶ時にも注意したいポイントです。
両者にはどのような違いがあり、メリットとデメリットはどのようなものがあるのか?保険に加入する際には気になる点かと思います。今回は積立型と掛け捨て型のどちらの保険がより良い保険なのか、比較検討しつつご説明します。
なお、被保険者の死亡時や高度障害状態になった際に保険金を受け取れる生命保険にも積立型と掛け捨て型の保険が存在します。生命保険における両者の違いは、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
医療保険の積立型と掛け捨ての大まかな違い
まずは、両者の保険タイプについて大まかな違いを見てみましょう。下記の画像をご覧ください。
かなり違いがあることがわかりますね。大まかな違いが把握できたところで、両者のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。まずは積立型から。
医療保険:積立型のメリット・デメリット
積立型保険は、支払う保険料を積み立てしてくれる保険です。支払われた保険料はそのまま運用され、解約の際にはその保険料の一部が戻ってきます。もちろん、保険料を支払う期間は保険の内容に沿った保障を受けることができます。まず最初に、この項目で、積立型保険商品のメリットとデメリットを説明していきます。
積立型のメリット
貯蓄としての側面を持つ
積立型の保険は保険料払込期間まで保険料を支払った場合、支払った保険料以上の金額が戻ってくることがあります。そのため、「なかなか貯金ができない人」や、「将来に向けて貯蓄をしたい人」に対しては計画的に貯蓄ができる方法のひとつとして効果的です。
積立方法を外貨建て(保険料の支払いを外貨にする方法)にすれば、為替の変動によって大きな利益を得ることもできますが、一方で損をしてしまうこともありますので、加入の際はよく検討しましょう。
満期になると満期金が支払われる場合がある
積立型保険の中には、満期になると一時金や満期金として一定の金額が保険会社から支払われるものがあります。これは掛け捨て型保険にはないメリットです。
積立型のデメリット
保険料が掛け捨て型と比べて割高
積立型の保険商品は、一般的に同程度の保障を受けられる掛け捨て型保険と比べて、保険料が割高です。保険料を安く抑えるためには、月払いより年払い、年払いより一括払いをすれば合計の保険料を安く抑えることができますので、お金に余裕がある場合は、支払いの方法として検討してみましょう。
保険の見直しがしづらい
ライフスタイルの変化により、保険の条件や保険料の見直しをしたい時が来た場合、積立型の保険は見直しがしづらい保険になってしまいます。一般的に積立型保険を途中解約する場合、その払戻金は今まで支払った保険料を下回ることがほとんどです。
また、途中解約した場合、保険料払込総額より解約返戻金の方が多いと税金もかかるため、その分マイナスとなってしまいます。外貨建て保険で大きな利益が出そうという場合などを除き、保険の途中解約はおすすめできない行為です。そのため、「途中で解約する予定がある人」や、「保険に入る目的が、保障を受けることに限定される人」には、あまりおすすめできません。
インフレにより価値が低減する場合がある
長期的に見た場合、一般的にはインフレがすすみ、貨幣価値はゆるやかに減少していきます。例えば、1955年にはラーメン一杯が40円だったのに比べ、現代では安くても600円前後、高い場合は1,000円前後のものが主流になっています。そのため、長期的に考えると、支払った保険料の価値は低減していると考えられます。
医療保険:掛け捨て型のメリット・デメリット
掛け捨て型保険は、積立型保険商品と同じく保険の内容によって様々な保障を受けられますが、支払った保険料が戻ってこない保険商品です。この項では、掛け捨て型保険のメリットとデメリットについて説明していきます。
掛け捨て型のメリット
積立型保険に比べて保険料が安価
一般的に、掛け捨て型保険は、積立型保険に比べて保険料が安価です。これは、積立型保険のように、保険契約者に対して保険料を払い戻す必要がないためです。「支払う保険料を抑えたい人」「貯蓄や資産運用は他の方法で行っている人」に向いている保険商品と言えます。
ライフスタイルの変化に応じて保険の見直しがしやすい
積立型保険のデメリットで説明したように積立型保険は、保険の見直しや解約時に、支払われる払戻金が支払った保険料総額を下回ることがあります。一方で掛け捨て型保険は、積立の部分がないため解約時に損をすることが少なく、保険の見直しもしやすいです。
「就職」「転職」「結婚」「出産」などライフスタイルの変化によって、「医療保障をさらに手厚いものにしたい」、もしくは「わずかな保障で十分になった」など保険の見直しをする際に、保障の内容を変えることができるのが掛け捨て型保険の強みです。
<h3掛け捨て型のデメリット
長期間の保障には向かない
医療保険の場合、一般的に掛け捨て型保険は保険料を支払った期間だけ保障が受けられる保険商品です。積立型の医療保険は長期間保障を受けられるのに対し、掛け捨て型は短期間の保障に特化した保険と言えるでしょう。
かけた保険料が返ってこない
掛け捨て型の保険はその名の通り、支払った保険料が戻ってこないのが特徴です。そのため、積立型保険の項目と内容が重複になってしまうかもしれませんが、「将来に向けて貯蓄をしたい人」などには向かない保険と言えます。
結論:医療保険は掛け捨て型の方が良い?
ここまで、積立型保険と掛け捨て型保険を比較してきましたが、いったいどちらが使い勝手の良いお得な保険なのでしょうか?メリットやデメリットを考慮して筆者が選ぶ答えは「掛け捨て型保険」です。
理由として、物価や税金の上昇によって、保険料は月日が経つにつれて高くなっていく傾向にあります。加入当初に割安に感じられた保険料はしだいに高く感じられることもあるでしょう。また、変化の激しい時代なので「就職」「転職」「結婚」「出産」などライフスタイルの変化によってどうしても保険の見直しが必要な場合も出てきます。
その際、保険の見直しがしづらい積立型保険の場合、保険の見直しをして解約を行うと、支払ったお金が減ってしまう場合があります。
保険は必要な分の保障を受けられる掛け捨て型保険にして支払う保険料を安くし、その分、資産運用などをした方がリスクが少ないでしょう。次項で説明する節約の方法でも「固定費を減らす」という方法がありますが、保険の内容と保険料を見直すことは効果的な方法となるはずです。
それでも積立型の保険を選ぶ場合は、以下の項目に気をつけて見直しを行いましょう。
- ・月々の保険料
- ・支払う保険料の合計
- ・支払う保険料の合計から将来戻ってくるであろう返戻金を引いた実質の負担・保障期間あたりの保険料
以上の項目に気をつけることで、積立型の保険でも有効に活用できる場合があります。
貯蓄を考える上で医療保険以外のおすすめの方法
この項目では、積立型保険商品以外の「貯蓄に効果的な方法」を説明します。前項で「保険は掛け捨て型がお得」と説明しましたが、掛け捨て型保険を選び、将来に向けて貯蓄をしたい場合は、他の方法で蓄えを用意する必要があります。本項目ではその際のヒントになる情報をお伝えします。
給料日に一定の金額を別口座に移動してしまう
多くの貯蓄本に書かれている方法として、「給料日に一定の金額を別口座に移動してしまう」という方法があります。貯金をする場合、支払われた給料から毎月の食費、住居費、光熱費、交際費、その他雑費を支払い、残りを貯金に回すという方法をとる人が多いと思いますが、この方法ではなかなかお金が貯まりづらいのも事実。
そこで、給料日にお金が支払われた時に、別口座を用意して一定の金額を振り込み、残ったお金で生活するという逆の方法をとります。このとき口座に置いているお金は「はじめからないもの」と思い込んでしまいます。こうすることで、出ていくお金を効率的にコントロールできます。
貯蓄をする具体的な目標を立てる/h3>
例えば、スポーツの練習をする時に、漠然と「うまくなりたい」というだけではモチベーションが保てない時があります。そのため、「~月の大会で優勝したい」「~までに大会に優勝して喜ばせたい人がいる、そのために優勝したい」など、できるだけ具体的に「目的」「期間」「レベル」などを描くことが大切です。
貯蓄においても同様のことが言えます。「~のために(目的)、~までに(期間)、~円を貯めたい(レベル)」を設定すれば、モチベーションが高まり、より貯蓄がしやすくなるでしょう。
自分の支出を記録につけて、お金の使い方を知る
一般的に、支出と収入のうち、収入を上げるには大きなリソース(時間、お金、労力)が必要です。一方で、支出を抑えるためには、収入を上げる場合と比べて、比較的少ないリソースで効果を上げることができます。
自分のお金の使い方を知るために、まずは支出を記録につけてみましょう。毎日の支出を家計簿につけても良いですし、レシートを溜めておいて、月末にまとめて記入する方法でも大丈夫です。
この時には、1円単位の細かな支出まで気を配る必要はありません、ざっくりとで良いので、自身の支出を知ることで、自分のお金の使い方を把握できます。
支出を「投資」「消費」「浪費」に分けて考える
自分の支出の傾向を知った後は、支出を「投資」「消費」「浪費」という3種類に分けます。区分けの基準は以下の通りです。
投資
将来の収入増に結びつく支出です。学習のための本や講座の申し込み費、貯蓄や資産運用、健康な体をつくるのための食品購入費などがここに含まれます。
消費
生活に必要な支出です。住居費、光熱費、仕事のための交通費などがここに含まれます。
浪費
投資にも消費にも含まれない支出です。無駄な飲み会の費用、過度な娯楽や嗜好品のための費用などがここに含まれます。
ざっくりとで良いので、この3種類に支出を区分けしたら、その翌月から「消費」と「浪費」を減らし「投資」を増やすよう、支出をコントロールしてみましょう。基本的には「消費」は減らしづらいので、「浪費」を積極的に削り、その分を「投資」にまわす方法がおすすめです。
この考え方が身に付いてくれば、お金を支払う時に「これは投資、これは出費」などを考えるようになってくるはずです。このように、支払うお金の種類を意識することで、無駄遣いも減ります。
生活にかかる固定費を減らす
家賃や光熱費、新聞や雑誌の購読費、携帯電話の通信費などは毎月支払う「固定的な」支出のため「固定費」と呼ばれます。固定費は主に「消費」に含まれる種類の支出ですが、この固定費を抑えることで、さらに支出を減らすことができます。
具体的には、
- ・携帯電話のプランを見直して月々の通信費を減らす。
- ・新聞や定期購読の雑誌にあまり目を通していない場合は購読をやめる
- ・少し不便になっても家賃を減らしてみる
などを行うことで、支出を減らすことができます。
例えば、筆者の携帯電話の通信費は月々8,000円でしたが、「プランを見直す」「いらない有料オプションを解除する」「料金がお得になるキャンペーン中に加入する」などを繰り返すことで、今では通信料を月々4,000円程度に抑えることができました。
月々4,000円のお金が浮くと、1年では48,000円の支出を抑えることができます。少額のお金でも、1ヶ月、1年、数十年と積み重ねていくことで大きなお金になりますので固定費を見直すことは重要なことです。
時には贅沢をする
節約をしていると、様々なことを我慢する機会も多くなると思います。フラストレーションが溜まっていると、仕事や日常生活に支障をきたしかねません。そのため、一定額が貯まった時にはほしかったものを買うなど、自分にご褒美を与えてあげましょう。
資産運用をする
支出を減らして浮いたお金をそのまま置いておくのは得策と言えません。お金は別の方法で運用することで、増やすことができます。例えば、この記事で紹介している積立型保険は、長期間運用することで、支払った保険料以上の金額が手元に戻ってくる場合があります。
一方でリターン(戻るお金)とリスク(失うお金)は比例します。株やFXなど、ハイリターンの運用方法は成功した場合は戻るお金も大きいですが、失敗した場合は失うお金も大きいです。これらの「ハイリスク、ハイリターン」の運用方法に全てのお金をつぎ込んでしまうのもまた得策とは言えません。
資産運用の定石として、複利の定期預金や積立型の保険商品など「ローリスク、ローリターン」の運用方法で将来的に必要な生活資金を確保しつつ、余剰資金の一部を「ハイリスク、ハイリターン」の運用方法で運用するのが一般的です。
まとめ
今回は、積立型と掛け捨て型の2つの保険の種類を比較し、貯蓄のための方法をご説明しました。医療費や生活費など、生きていくには必要不可欠なお金。そのお金をしっかりと管理するためにも、医療保険に加入する際は支払い方法を検討しましょう。
星の数ほどある保険の種類、積立型と掛け捨て型以外にも、保障内容や特約など、検討する要素は数多くあります。まずは資料請求を行い、比較検討することから始めてみませんか?
※2022年3月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以