おすすめの医療保険から自分に合った保険を選ぶための考え方
2022年3月2日
おすすめの医療保険、自分の代わりに誰かが勝手に選んでくれたらなぁ。なんて思っているのではないでしょうか。自分に最適な医療保険をパパッと選んでくれる人やサービスがあったらとても便利ですよね。
しかし、ひとりひとりの事情に細かく合わせていくのは至難の業。さらに保険会社も保険商品の開発をしていますから、全社の情報をリアルタイムに把握するのも現実には厳しいでしょう。
今回は、医療保険の種類や最近の医療事情をシンプルに解説し「こんな人にはコレが向いている」といったおすすめの医療保険を紹介します。
まずは目的を確認しよう
保険選びは面倒で、さっさと終わらせたいものかもしれませんが、まずは目的をはっきりと確認しましょう。うやむやな状態で加入してしまっては、自分に合っているかわからないまま懐からお金が出ていくことになります。
どんな事態に備えたいのか
医療保険に加入する目的は主に「病気やケガにかかる治療費」を補填することです。病気やケガの種類はたくさんありますから、入院期間や治療方針も異なります。どのような事態に備えたいのかを、いったん考えてみましょう。
例えば長期の入院に備えたいのか、入院はしないが通院を何度もする事態に備えたいのか、といったことが挙げられますね。通院に備えたいのに、入院の保障が充実した保険に入っては、いざというときに頼りになりません。備えたい事態の把握はとても大切です。
近年の医療事情
さて、長期の入院と聞いてもピンときませんよね。長期の入院とはいったいどれくらいなのでしょうか。平成29年患者調査(厚生労働省)によると、患者の平均入院日数は30.6日(病院の場合)となっています。
では30.6日を超える入院を長期として、主な病気の平均在院日数を見てみましょう。
血管性及び詳細不明の認知症
平均在院日数…349.2日
脳血管疾患
平均在院日数…78.2日
慢性腎臓病
平均在院日数…47.9日
上記の病気を見ると、平均入院日数の2倍以上の期間も入院する疾病があります。もちろん健康であることが一番いいのですが、こうなったら困る!といった事態はどれなのか、候補を絞るといいかもしれません。長期入院に備えたい場合は、それに合わせた保険に加入する必要があります。
他の方法を探してみる
目的が見えてきたら、保険以外の方法でそれを達成できないか考えてみましょう。もしかしたら、単純に貯蓄で賄えるかもしれませんよね。ここでひとつ簡単な計算をしてみましょうか。
平均在院日数の30.6日という数字と、医療保険の入院給付金の日額(5,000円or 10,000円)を使ってみましょう。平均在院日数と入院給付金の日額を掛けてみると、だいたい153,000円と306,000円になります。これを貯蓄で賄えるならば、少なくとも1回の入院費用は貯蓄で賄えそうです。
もちろん全ての病気がこの範囲でおさまるわけではありませんから、あくまでも目安です。若い人であれば病気・ケガをする確率はあまり高くないため、貯蓄をしたほうがお金の使い道も広がるのではないでしょうか。
また「高額療養費制度」という、ひと月あたりの医療費が一定額を超える高額になった場合、超えた分の金額が返ってくる公的な制度もあります。一定額は、年齢や所得に応じて決められており、厚生労働省のページから資料を閲覧できます。
医療保険の種類
つづいて医療保険の種類をざっと把握しておきましょう。医療保険は大雑把に分類すると以下の種類にわかれます。
定期型医療保険
保険の保障期間に期限が設けられている(例えば10年、20年など)医療保険です。満期を迎えたときは、更新をするかしないかを選択します。更新の他には別の保険にのりかえるといった選択肢もあります。
定期型医療保険の特徴は、若いときは保険料が安く、年齢とともに高くなっていくことが挙げられます。若いときに掛け捨てとして一時的に利用するのであれば、費用もそれほどかからず便利です。
終身型医療保険
終身型は読んで字のごとく、保障が一生涯つづく医療保険です。保険料の支払いに関しては、一生涯支払い続けるタイプと、60歳や65歳までなど、一定期間のうちに払い終えるタイプがあります。
定期型と比較すると、若いときの保険料が高いという欠点があります。また、一度加入すると見直しがしづらいといった点も不便です。保障が一生涯つづくといった安心は、老後への備えに向いていると言えます。
その他の保険
上記2つの保険の他に、少し特殊な医療保険もあります。
女性保険
女性保険は、女性特有の病気(乳がん、子宮がん、子宮筋腫など)に対する保障を充実させた女性向けの医療保険です。日額5,000円や10,000円など、通常の入院保障にさらに5,000円〜10,000円を上乗せすることができます。
女性保険と聞くと、女性が優遇される(保険料が安くなる?)と勘違いしてしまいそうですが、そうではないのでご注意ください。上乗せする分だけ保険料は高くなります。
引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型は、保険に加入する際の条件を通常よりも緩くした保険商品です。通常の保険は告知書というものに病歴などを書き、保険会社に提出します。その際、既往症のある方は、加入を断られる場合があります。しかし、引受基準緩和型は告知書で申告が必要な条件を緩くしているため、条件にひっかからなければ保険に加入できます。
その代わり、通常の医療保険より保険料が高いです。持病を理由に通常の医療保険への加入を断られてしまった場合に検討してください。
無選択型医療保険
無選択型の医療保険は引受基準緩和型の医療保険と似ていますが、大きく異なる点がひとつあります。無選択型は、告知書の提出をせずに加入できる点です。持病のある方でも加入ができるようになっている分、保険料は割高です。
定期型が向いている人
定期型が向いている人の特徴は以下の3つです。
一時的に加入したい
定期型の保険は10年や20年など、保険期間が決まっているものでしたね。例えば、貯金が500万円貯まるまでは念のため保険に加入をしたいといった場合には定期型が向いています。
見直しをしながら検討したい
定期型のメリットは見直しをしやすいことです。医療保険に加入してから10年が経過し、更新の時期がきたとします。10年も経つと、新たな保険商品が発売されていることもあるでしょう。
保険商品は見直しすることで、同じ保障内容でも保険料の安い商品へのりかえることが可能です。終身型の場合はそれができないため、見直しをしながら保障を得たい方には定期型の医療保険が向いています。
年齢が若い
年齢の若い方が終身型の医療保険に入った場合、見直しができないことに加え保険料が定期型より高くなることが懸念されます。若いうちは病気やケガをする確率も少ないですから、加入をしない、もしくは念のために定期型に加入するといった選び方をするのがいいでしょう。
若い人は定期型に加入するべきだというわけではなく、終身型に加入するよりは定期型に加入し、見直しや保険の要・不要を判断した方が懸命ということです。
終身型が向いている人
終身型が向いている人の特徴は以下の3つです。
老後に備えようとしている
終身型の医療保険は保障が一生涯つづきます。老後は収入も減りますから病気・ケガに対する不安が募ります。そういった不安に対処するという意味でも、老後に備えようとしている方は終身型の医療保険が向いています。
見直しをしたくない
見直しを全くしないのはおすすめできませんが、保険をじっくり選び、一生涯加入するといった選択肢もあります。いちいち見直しをするのが面倒といった方にも、終身型の医療保険が向いているでしょう。
ただし見直しをしないつもりならば、自分に必要な保障を綿密に考えなければいけません。特にまだ若い方が終身型に加入をする場合は、かなり慎重になったほうがいいでしょう。
同時に貯蓄もしたい
終身型の場合は、貯蓄性のあるものとそうでないものを選ぶことができます。解約返戻金があるものは中途解約をしてもある程度のお金が返ってくるようになっているので、同時に貯金をすることもできます。中途解約を全くしないつもりで加入するならば「低解約返戻金型」の医療保険がおすすめです。
これは、保険料払込期間終了前の解約返戻金を低く抑えることで保険料を抑えている商品です。払込が済んだ後であれば、払込総額よりも解約返戻金の方が多くなるようになっています。ただし、中途解約をした場合に返ってくるお金は少なくなってしまうので、注意してください。
まとめ
いかがでしたか?今回のコラムでは医療保険の大枠をつかめたかと思います。基本的には定期型と終身型があり、持病がある方向けには引受基準緩和型や無選択型の医療保険があります。また、女性向けには女性保険がありますが、女性の保険料がお得になるわけではない点に注意が必要です。
自分が医療保険に入る目的は何か、どんな事態に備えたいのかを把握することがスタート地点になります。Webサイトや保険会社のおすすめする医療保険の中から選択肢を絞るイメージはできたでしょうか。ぜひ本記事を、医療保険を選ぶ際にお役立てください。
※2022年3月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以