医療保険の全種類|種類ごとの特徴とその必要性

2022年3月2日

保険の種類を医療保険に絞ってみても、様々な種類があります。用途に合わせて医療保険を選んでいかないと、いざという時に役に立たなかったり、保険料を払い込んだだけになったりすることも起こりえます。

今回は、これから医療保険の加入を考えている方のために、医療保険の種類とその特徴についてご説明していきたいと思います。医療保険選びの参考にしていただければ幸いです。

医療保険は民間医療保険と公的医療保険の2種類

まず医療保険には、加入が義務づけられている「公的医療保険制度」があります。保険証の提示で医療費7割を負担してくれる制度ですね。

極論を言ってしまえば、公的医療保険制度で十分に医療費を賄えるようでしたら、わざわざ保険会社に保険料を支払って民間の医療保険に加入する必要性もないのです。

民間医療保険と、公的医療保険の違いをまとめると以下の通りです。

民間医療保険 公的医療保険
加入条件 加入は任意で加入条件有 全国民に加入義務
保険料 年齢・保障内容などで決まる 収入や加入している健康保険の種類によって決まる
給付方法 保険会社に申請 医療機関で自己負担を軽減
保険の役割 各個人(世帯)の保障の強化 全国民に最低限の保障

公的医療保険では、国民が医療を受けられるように、最低限の保障がされます。つまり、この保障を強化するために民間医療保険に加入することになります。民間医療保険の必要性については、その人の状況によります。病気やケガなど、もしもの事態になった時に医療費負担が心配な方、貯蓄の少ない方は民間医療保険の加入を検討します。

民間医療保険と公的医療保険の違いについては、以下のコラムもご覧ください。

保障期間の違いによる医療保険の種類

民間の医療保険の保障期間ですが、こちらは大きく分けると「終身医療保険」と「定期医療保険」の2種類にわけることができます。

終身医療保険

終身医療保険とは、医療保障が一生涯続く医療保険を言います。いつ病気になり、医療費がかかるかは本人でも分かりませんし、高齢になるほど入院・通院をする確率は上がってきますので、保障が一生涯続くことは安心ですね。

ただ、その分月々の保険料が高くなる傾向にあります。中途解約してしまうと損することが多く、保険の見直しがしにくいことがデメリットとしてあります。

定期医療保険

定期医療保険とは、5年や10年などの決められた期間のみ保険料を支払い、その間のみ保障がされる医療保険の種類です。若い間は保険料も安いのですが、年齢が上がるにつれて保険料が高額になってきます。

契約期間が終了すれば、保険は終了または更新されます。更新の際は、当初に加入したときより年齢が上がっているので、保険料も上がってしまいます。お子様がまだ小さくて、入院すると家計が苦しくなる場合や、もしもの時に備えられるくらいのお金が貯まるまでの期間など、ピンポイントで加入することをおすすめしています。

特化型医療保険の種類

医療保険と言っても、様々な保障があります。がんに対する保障がされる「がん保険」などは、代表的なものですね。どのような保障の種類があるのかをこちらでは見ていきましょう。

がん保険

今は2人に1人ががんにかかる時代と言われています。治療が長引きやすいことから、がんに特化した「がん保険」が多く販売されています。

がんにかかる原因は様々で、完全に防ぎきることは難しいです。がん保険には、がんと診断された時点で給付金が受け取れる商品や、がんによってかかった手術費・入院費などに対して給付金が受け取れる商品があります。

ただし、がんと呼ばれる病気でも上皮内新生物(上皮内がん)は給付金を受け取れない契約もありますので、加入前には約款をきちんと読むようにしましょう。

がんでも入れるがん保険

医療保険は病気やケガに対する保険ですから、過去に病気になった方、今後病気になる可能性が高い方は加入できないような条件が設けられているものがほとんどです。病気がちな方こそ入っておきたい医療保険ですが、病気がちな方でも比較的に加入しやすい保険の種類に「引受基準緩和型」「無選択型」の医療保険があります。

保険料は高くなる傾向にありますが、加入条件が易しいことが特徴です。このことについては、後述にてもう少し詳しくご説明いたします。

三大疾病保険

がん以外にも、日本人の死因として多い「急性心筋梗塞」と「脳卒中」。これら3つの疾病に対する保障を受けられるのが「三大疾病保険」です。しかし、結論を言ってしまうと、三大疾病保険への加入はあまりおすすめできません。

理由としては、保険金給付の条件が厳しい傾向にあるからです。例えば、急性心筋梗塞の場合、診断を受けてから60日以上の入院にならないと給付されないなどの条件があります。がんは診断された時点で支払い対象となる場合がありますが、急性心筋梗塞や脳卒中は条件が厳しいです。

三大疾病保険に加入する場合は、これらの要件をきちんと理解した上で加入するようにしてください。

女性向け医療保険

女性が発症しやすい疾病に特化した医療保険です。乳がんや子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣がん、卵巣炎など女性特有の疾病を手厚く保障します。

保険料は、通常の医療保険よりも高い傾向にありますが、女性であれば一度は検討しておきたい医療保険の種類です。

貯蓄性のある医療保険の種類

医療保険は基本的に、もしもの時に備える「保障」がメインです。いかに保険料を抑えつつ、充実した保障を受けられるか?というのが医療保険選びの一般的な選び方です。

ただ、医療保険にも貯蓄性のある種類があります。上記でお伝えした、解約返戻金がある終身医療保険などが貯蓄性のある保険と言えるでしょう。

ただ、医療保険に貯蓄性を持たせることはあまりおすすめできません。終身医療保険でも、途中で給付金を受け取ることがなければ、元本割れしてしまうことは十分ありますし、本来、医療保険は被保険者のライフスタイルに合わせて、臨機応変に加入していったほうが良いです。今後医療の発展によって、現在発売されている医療保険の魅力も少なくなってしまうことが考えられます。

見直しがしにくい終身医療保険で貯蓄性を求めるのではなく、他の終身保険や養老保険、学資保険などで貯蓄をしていったほうがリスクが少なく、効率が良いと言えます。

加入条件が易しい医療保険の種類

医療保険は、病気やケガで入院した時や手術を受けた時に保険金が支払われる保険です。基本的に、過去に病気にかかった人や高齢の方に対しては、加入条件が厳しいことがあります。

引受基準緩和型医療保険

持病のある方や過去に入院歴があるような方でも比較的加入しやすい保険に「引受基準緩和型医療保険」があります。通常の医療保険よりも保険料は割高になってきますが、過去に入院したり、病気の診断を受けたりした方で、通常の医療保険に加入できなかった場合に検討してみましょう。

無選択型医療保険

引受基準緩和型医療保険でも加入できないような場合、無選択型医療保険があります。これは、告知や医師の診断不要で加入できる医療保険です。しかし、注意点もあります。

まずは、保険料がさらに高くなることです。どうしても医療保険に加入したいけど、加入できない方の奥の手として活用してください。また、加入条件はないものの、保障される基準は厳しく設けられていますので、加入前に約款を必ずきちんと理解するようにしてください。

医療保険に加入する判断基準

いかがでしょうか。このように、医療保険に絞ってみても様々な種類があります。数多くの中から保険を選ぶアドバイスは、FPなど保険のプロからのアドバイスを受けることをおすすめしますが、そもそも医療保険に加入する必要性はあるのでしょうか?

最後に、医療保険に加入する必要性や必要性を判断する基準をご説明します。

もしもの時の費用が賄えるかどうか

まず、医療保険は「入院した時、病気になった時」の医療費を保障するものです。すなわち、もしもの事態に対しての貯蓄が十分にあるようでしたら、掛け捨ての要素が強い医療保険にわざわざ加入する必要性は低いと言えます。

必要な貯蓄額は一概に言えませんが、おおよそ自分の年収の1~2倍程度あれば安心はできるでしょう。医療保険の加入の必要性は低いかもしれません。一方で、貯蓄が100万円以下の方は、もしもの病気やケガで入院してしまった場合、金銭的不安が出てきますので、必要性は高いと判断できます。

日々の生活習慣は規則正しいか

こちらも一概には言えませんが、病気の原因には日々の生活習慣が影響している場合が多いです。喫煙・飲酒・暴飲暴食・夜更かし・運動不足など、生活習慣があまりよろしくない方は、日々の生活習慣を見直すことが必須ですが、もしもの可能性も高くなりますので、医療保険の必要性は高いと考えられます。

家族などを養っていく必要があるか

もしもあなたが病気やケガで働けなくなった時に、養っている家族が多ければ多いほど、医療保険に加入する必要性が高くなります。一家の大黒柱は、子供が自立するまでの間、定期医療保険にピンポイントで加入しておくと良いかもしれません。

会社員か自営業か

働き方の違いでも医療保険の必要性は変わります。大きなポイントは、会社員か自営業かの違いです。自営業の方は、もしも働けなくなった時に収入に直結してしまいます。そうなってしまうと、日々の生活や養っている家族にも影響してしまいます。働けなくなってしまうと困る可能性が高い自営業の方は、医療保険への加入を検討しましょう。

まとめ

いかがでしょうか。このように単に医療保険と言っても様々な種類があります。さらには、医療保険以外の保険まで目線を広げると、数え切れないほどの種類・組み合わせがあります。

これから保険に加入しようとお考えの方は、まずは保険のプロに相談してみることをおすすめします。

※2022年3月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以