医療保険の払込期間の決め方|押さえておくべき3つのポイント
2023年7月28日
医療保険への加入をお考えの方は、「払込期間を何年にするか」が気になる方も多いでしょう。結論を申し上げますと、医療保険に加入する方の年齢や医療保険の目的、現在の財産状況によって適した払込期間が変わるため、一概にこれだとは言い切れません。
しかし、ある程度払込期間を判断するための項目があります。今回は、医療保険の払込期間を決めるにあたって知っておきたいいくつかの知識についてお伝えしていきます。
医療保険の保障期間と払込期間は違う
まず、払込期間を決めるにあたって一点気をつけていただきたいことがあります。それは「医療保険(生命保険)の払込期間と保障期間は一緒ではない」ということです。
払込期間とは
既にご存知でしょうが、払込期間とは保険料の払い込みが完了するまでの期間を言います。医療保険の契約形態は大きく分けると、定期タイプと終身タイプがあります。
定期タイプの医療保険は、基本的に保険料の払込期間=保障期間となっています。一方、終身タイプの医療保険は、一生涯支払う「終身払い」と一定期間のうちに払い終える「短期払い」があります。
保障期間とは
保障期間とは、医療保険の保障を受けられる期間を言います。定期タイプの医療保険は契約期間が数年~数十年単位で設けられており、契約更新をしなければ保障期間が終了します(自動更新される契約もあります)。終身タイプの医療保険は、途中解約しなければ保障期間は一生涯続きます。
医療保険の定期タイプと終身タイプのメリット・デメリット
このように、医療保険は定期タイプと終身タイプに分けることができますが、実際のところどちらのタイプがいいのでしょうか。こちらでは、定期タイプと終身タイプのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
定期タイプのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・保険料が安い ・保険の見直しがしやすい |
・掛け捨て型がほとんど ・加入年齢が上がるにつれて保険料が上がる |
医療保険の定期タイプのメリット・デメリットをまとめると上記のようになります。まず、メリットとしては、終身タイプと比べると保険料が安いです。また、契約更新が数年~十数年ごとに訪れるので、家族構成や家計の状況に合わせて保険の見直しができます。
一方で、定期タイプの医療保険は基本的に掛け捨て型です。年齢が上がるにつれ医療を受ける可能性が高まるため、契約するたびに保険料が上がっていきます。
終身タイプのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・保障が一生涯 ・保険料が途中で上がらない |
・保険の見直しがしにくい ・保険料が高い |
終身タイプの医療保険のメリット・デメリットを述べると、上記のようになります。メリットとしては、度々お伝えのように保障が一生涯あることですね。
また、保険料はずっと一律で、途中で上がることはありません。
デメリットとしては、一度契約をした後に解約してしまうと、損をしてしまう可能性が高く、保険の見直しがしにくいところです。保障が一生涯続きますので、定期タイプの医療保険と比較すると、保険料が高い傾向にあります。
医療保険の払込期間が長い・短い場合のそれぞれのメリット・デメリット
いかがでしょうか。まず、医療保険は保障期間の違いで大きく2つのタイプに分かれます。定期タイプの医療保険は、基本的に払込期間=契約期間となるため、そこまで払込期間を気にすることはありません。しかし、終身タイプの医療保険にした場合「払込期間をどれくらいに設定すればいいのか?」という問題が出てくると思います。
こちらでは、払込期間を長くした場合と短くした場合のメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
払込期間を長くした場合のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・月々の保険料が安くなる ・保険の見直しがしやすい |
・老後も保険料を払い続ける場合がある ・長生きするとさらに保険料を払い続ける場合がある ・払込保険料総額が上がる |
まず、メリットですが、払込期間が長くなるので自ずと月々の保険料が分割されて安くなります。月々の負担が軽減されるのはうれしいですね。また、月々の保険料が安いことで、保険の見直しもしやすくなります。
一方で、払込期間を長くするデメリットは、老後も保険料を払い続けるケースが出てきてしまうことです。さらに、終身払いの場合、被保険者が長生きすれば保険料も払い続けなくてはなりません。払込保険料総額を見ると、払込期間を短くした場合と比べて高くなってしまう傾向にあります。
払込期間を短くした場合のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・払込保険料総額が下がる ・定年までに払い終えると老後の保険料負担がなくなる |
・月々の保険料が上がる ・保険の見直しがしにくい |
メリットとしては、払込期間が短くなることで保険料の総額が安くなることです。定年までに払い終えるよう払込期間を設定すると、老後は保険料負担なく保障を得られます。
一方で、デメリットとしては払込期間が短くなることで、月々の保険料が上がり、負担が大きくなる点です。途中解約してしまうと損をしてしまうケースが多く、保険の見直しに向いていないという点も挙げられます。
状況に応じた医療保険の払込期間の決め方
以上が、保障期間や払込期間が違うことで、どのような違いがあるかというご説明ですが、実際のところ、保障期間と払込期間はどのように決めればいいのでしょうか。
冒頭でお伝えしたように、年齢や資産状況、家族構成などによっても変わってきますので一概には言えませんが、以下の点に注意して決めていただければと思います。
まずは保険の目的で定期か終身かを決める
医療保険加入の目的は人によって変わってきます。まずは目的に応じて保障期間を「定期タイプ」か「終身タイプ」に決めましょう。こちらも細かい状況などで一概には言えませんが、以下を参考にしてみてください。
定期タイプが適しているケース
・子供の養育費やローンの支払いが完了するまでなど、一定期間だけ備えたい
・医療費を払えるだけの貯蓄がない(費用面が心配)
終身タイプが適しているケース
・一生涯の保障を手に入れてもしもの事態に備えたい
・貯蓄性を少しでも求めている
無理のない範囲で払込期間は短めに
保険のタイプを決めたのであれば、払込期間はなるべく短くすることをおすすめします。しかし、上記でお伝えしたように、払込期間が短くなることで、月々の保険料が上がります。
保険料の支払いが負担になって、途中で解約してしまうような事態になると本末転倒なので、払込期間を決める際は、無理のない範囲で極力期間を短くしていきましょう。
収入があるうちに保険料を払い込むのがベスト
上記で、無理のない範囲とはお伝えしましたが、極力収入があるうちに払込期間が終了すると楽です。つまり、60~65歳の定年の年齢までには払込期間が終了するように設定しましょう。
理由としては、老後は老後でかなりの資金が必要になります。ほとんどの方が、保険に資金を回す余裕がなくなってくることが考えられるのです。そのため、極力老後に保険料を払うことがないよう払込期間を設定してください。
それでも、月々の保険料に負担が出てしまうようでしたら「医療保険には加入しない」「定期タイプの医療保険で一時的に保障期間を設ける」などの方法を考えましょう。
まとめ
いかがでしょうか。医療保険の払込期間についてまとめると
・目的に応じて「定期型」か「終身型」かを選ぶ
・払込期間は無理のない範囲でなるべく短く
・収入がなくなる(定年)までに払込期間を終了させる
この3点に注意しながら医療保険の払込期間を決めていきましょう。また、度々お伝えしていますが、保険の良し悪しは個人の状況によっても様々です。今回の内容は一般論であるため、本格的に保険加入をお考えの方は、一度保険のプロに相談してみることをおすすめします。
※2023年1月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以