持病がある方でも入れる引受基準緩和型保険の概要と注意点
2023年9月21日
引受基準緩和型保険は持病のある方でも加入しやすい保険です。一方で、通常よりも割高な保険料がかかったり、給付金が削減される期間があったりする場合もあるので、リスクについても押さえておきたいところです。
今回は、引受基準緩和型保険の概要とメリット、具体的な注意点についてお伝えします。ぜひ加入前に確認してください。
引受基準緩和型保険とは
引受基準緩和型保険とは、引受基準が緩和されているから、過去に病気で入院や手術をした方も加入しやすい保険です。ここでは、引受基準緩和型保険の概要を見ていきましょう。
持病がある方でも加入しやすい
入院や手術歴といった告知項目が3~5つあるだけで、告知項目に該当しなければ加入できます。通常の保険に入れなかった人も加入しやすいのが特徴です。
詳細な告知事項は保険会社や保険商品によって異なります。ここでは審査・告知がゆるいということだけ覚えておきましょう。
引受基準緩和型保険の保障内容
引受基準緩和型保険の保障内容には例えば次のようなものがあります。
死亡保障
死亡保障が付いていると、被保険者が亡くなった際に遺族に保険金が支払われます。わざわざ割高な保険料を支払ってまで保険に加入したい方は、将来の病気に対して備えたい人もいるでしょうが、残された家族の生活を心配している人も多いのではないでしょうか。
ただ、死亡保障が足りなかったり、反対に多すぎたりしたら困りますので、死亡保障はいくら出るのか、契約前に忘れず確認してください。
入院保障
入院した際に給付金を受け取れます。既往症が悪化・再発した場合も支払対象としている商品が多いです。ただし、契約後1年間は給付金が減額されるなど、制限が付く場合があります。
手術保障
手術を受けた際に、手術内容に応じた給付金を受け取れます。どの手術に対応しているのか、いくら受け取れるのかは保険によって変わりますから、加入の際は必ず確認しましょう。
3大疾病保障
日本人の死因トップ3であるがん・心疾患・脳血管疾患(肺炎による死者のほうが多い年もあります)に対する保障です。
最も死亡リスクが高い病気に備えたいのであればこれだけでも構いませんが、もっと幅広い疾病に備えたい人には次のような保障があります。
7大生活習慣病保障
上記の3大疾病に加え、糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎臓病に対応したのが7大生活習慣病保障です。保障の幅は広くなりますが、その分保険料も高くなる点は要注意です。
先進医療特約
先進技術を用いた治療で患者への負担が少ないものの、健康保険の適用がまだされていない先進医療に対応した特約です。がんの治療に使われる陽子線治療や重粒子線治療は、300万円ほどかかります。
先進医療特約を付帯すると、治療にかかる費用をカバーしてくれるのでいざというとき安心です。
また、先進医療の保障を付けたいだけであれば、保険料が割高な引受基準緩和型保険ではなく、がん保険を検討する選択肢もあります。
引受基準緩和型保険に加入する際にネックなのが割高な保険料
何度か触れていますが、引受基準緩和型保険は保険料が割高なのが懸念点です。
保険には健康な人ほど保険料が安くなり、そうでない人ほど保険料が高くなる仕組みがあります。
健康でない人ほど保険会社が加入者に給付金を支払う回数や金額が多くなり、健康な人と同じ条件で引き受けてしまうと不公平になるからです。
そのため、どうしても健康な人と同じ条件では加入しづらく、保険料が高くなってしまいます。
持病のある人が引受基準緩和型保険に加入するのは得なのか
では、持病のある人が引受基準緩和型保険に加入するのは得なのでしょうか。
保険料が割高なので、貯金や社会保障制度で対応できるなら加入しないほうがいいかもしれません。
しかし、具体的に備えたい疾病をカバーできる保険がある場合や、保険に加入することで安心感を得たい場合は加入してもいいでしょう。
ここでは、持病のある方が引受基準緩和型保険に加入するにあたって、できるだけいい選択をするために覚えておきたいことをお伝えします。
通常の医療保険で加入できるものがないか探す
もし通常の医療保険に加入できるのであれば、そちらに加入したほうが保険料を抑えられます。
まずは通常の医療保険を探し、保険会社の担当者や代理店、FPなどに相談してみましょう。審査が通れば、健康な人と同じように加入できます。
保険に加入できなければ特別条件を付ける手もある
通常の医療保険で加入審査を受けた結果、特別条件付きで加入できるケースもあります。
保険料の割り増し、給付金の削減、「特定疾病・部位不担保」などの条件です。
「特定疾病・部位不担保」は、特定の疾病や特定の部位に関しては保障の対象外とするものです。この条件でもかまわない場合は加入を検討してください。
手術費や入院費が貯金で賄えるレベルなら加入しなくてもいい
あなたの持病が悪化した際にかかる医療費が、貯金や社会保障制度で賄える金額であれば保険に加入するメリットは少なくなります。
保険に加入して安心を得たい人は加入するといい
あなたがどんな病気になり、どんな手術をすることになるのか想定することはできても完璧に予想することはできません。保険に加入することで安心が得られるのであれば、割高でも精神衛生上いいかと思います。
残された家族の生活が不安な人も加入するといい
もしものことがあった際に家族を守るため、保険に加入したい人もいるでしょう。引受基準緩和型保険には医療保険も死亡保険もあります。死亡保障の付いている商品を探してみましょう。
保障内容は忘れず確認すべき
持病があっても入れるからと喜んではいけません。「特定疾病・部位不担保」のように保障されないパターンもあるので、具体的に懸念している病気に関して確実にカバーされるかどうかは絶対に確認してください。
まとめ
いかがでしたか?
引受基準緩和型保険は持病があっても加入しやすいですが、保険料が割高だったり、加入後一定期間は給付金が削減されたりします。保険の相談をする際は将来の懸念点とどんな保障を付けたいのかを明確にし、保険会社や代理店、FPに伝えることが大切です。
※2023年1月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以