自転車保険のすべて|自転車保険の費用感と加入すべきケース

2023年10月30日

皆さんは自転車保険の存在を知っていますか?聞いたことはあるものの、詳細に知っている方は多くないと思います。

今回は、自転車保険が「加入の必要はあるのか?」「具体的にどのようなものなのか?」「加入した方がいいのはどのような人か?」について解説していきます。

なぜ自転車保険が必要なのか?

日本は世界第7位の自転車大国

突然ですが、日本人ひとり当たりの自転車の保有台数って知っていますか?正解は、2人につき1台となる「0.5台」です(出典:自転車産業振興協会「2017年自転車統計要覧 第51版」)これは世界第7位となる数で、この数字から日本は世界でも有数の自転車大国と言えるでしょう。

誰もが一度は乗ったことのある自転車は、身近な乗り物として、通勤・通学の足や、趣味のサイクリングで活用している人も多いかと思います。

しかし、身近で親しみやすい乗り物だけに、その危険性を自覚していない人も多いのです。

参照:国土交通省「自転車の活用に関する現状について」

自転車は、実は危険な乗り物です

道路交通法では、軽車両として扱われている自転車。スポーツバイクでは時速40km、ママチャリでも時速20kmほどの速度が出せます。これが歩行者にぶつかったとしたら、結果は言わずもがなで、自転車を運転する人も歩行者も大きなケガを負うでしょう。

このような危険性を持つ乗り物でありながら、自転車運転手のマナーや、自転車の走行環境は決していいとは言えません。自転車は法律上車道を走ることを義務付けられていますが、車道はお世辞にも走りやすいとは言えず、そのためか歩行者に混じって歩道を走る自転車の姿をよく見かけます。

車道を逆走する自転車運転手もよく見かけますし、傘さし運転、携帯をいじりながらの運転など、とにかく危険な走り方をしている人達がたくさんいます。

あなたが気を付けていても、相手の不注意で事故に巻き込まれることもあります。事故はいつ起こるか分からないのです。そして、起きたのが対歩行者との事故だった場合、加害者になるのは、ほとんどが自転車です。

その時に支払うべき賠償金が高額になるのをご存知でしょうか?

自転車事故の加害者になった時の高額損害賠償の例

損害賠償額:約9,500万円
・小学5年生の男子が高速で坂を下り、歩行者の女性に正面衝突してしまった。被害者の女性は意識が戻らないまま寝たきり状態となりました。[平成25年神戸地裁]

損害賠償額:約5,000万円
・16歳の女子高生が、夜間に携帯を操作しながら片手運転を行い、歩道を歩いていた女性(57歳)に衝突。被害者には歩行が困難になる後遺症が残った事例です。[平成17年横浜地裁]

損害賠償額:約3,000万円
・15歳の男子中学生が、歩道上で無灯火で自転車を運転し、対向から来た62歳男性と衝突。男性は転倒、頭を強打し死亡した事例です。[平成19年大阪地裁]

これらはいずれも高額の賠償金額が発生した事例です。

事故の原因となった「無灯火・携帯電話を操作しながらの運転・片手運転」などは、どれもついついやってしまったことがある人が多いのではないでしょうか。

自転車事故の中で、対歩行者の事故件数は全体の3.9%(出典:一般社団法人日本損害保険協会「自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~2022年8月版」)と極めて少数ですが、対歩行者の事故を起こした場合、個人ではカバーしづらい高額の賠償金支払いを命じられる可能性があります。また、対歩行者の事故でなくても、事故を起こせば治療費や入院費は家計の負担になります。

そんな時に頼りになるのが、近年増え始めた自転車保険です。

自転車保険で補償される範囲

自転車保険で補償される範囲は主に以下の4つです。

◇「加害者になった時」

上で説明した高額賠償がこのケースに当てはまります。公道で歩行者とぶつかってしまったり、他の自転車にぶつかってしまったりした時の賠償金や治療費の支払いはもちろん、車やガードレールにぶつかってしまった場合など、物品を破損してしまった時の損害金に補償が行われます。

◇「自身がケガをした時」

自身の過失で落車やケガをした時が、このケースに当てはまります。例えば、公道を走行中にバランスを崩して転倒した時に入院費や治療費が補償されます。

◇「被害者になった時」

これは自動車や他の自転車などの過失で、あなたがケガを負わされたケースです。自転車保険では、主に入院費や手術費などケガの治療費が補償され、弁護士による示談交渉代行の特約が付いた保険も登場しています。

◇「自転車が盗難に遭った時」

普段乗っている自転車が盗難に遭ったケースです。自転車盗難保険は、まだあまりポピュラーではない保険ですが、盗難に遭った自転車の値段の一部を補償してくれます。

この中でポピュラーな補償内容が「加害者になった時」「自身がケガをした時」「被害者になった時」の3パターンです。

自転車保険に加入すべき人とおすすめの保険

自転車保険について知識が増えたところで、どのような人がどのような自転車保険に加入した方がいいのかをご紹介します。

自転車に乗り始めたお子様

まだ自転車の乗り方をよく知らず、むやみにスピードを出したり、飛び出したりして事故に巻き込まれてしまうことが予想されます。

歩行者とぶつかってしまい加害者になったり、自動車との接触で物品を破損させてしまったりすることも考えられるため、個人賠償責任の補償額が手厚いものを選ぶことをおすすめします。

通勤、通学に自転車を利用する方

日常的に自転車に乗る機会が多いと、それだけで事故に遭う機会が多くなります。特に恐いのが発生率の高い対自動車の事故です。

対自動車の事故の場合、自転車の運転手が大ケガを負うことが多いため、入院・通院補償が手厚いものを選びましょう。また、対自動車の事故に備え、示談交渉代行サービスが付いたものがおすすめです。

趣味で自転車によく乗られる方

自転車の知識が深く、自転車の扱いにも慣れているでしょうから、事故に遭わない・遭わせないように心がけている方が多いと思います。

高額な自転車に乗られる方も多いでしょうから、自転車の盗難補償特約が付いているものや、自転車のトラブルに備えてロードサービスの付いているものがおすすめです。

自転車保険の費用感

自転車保険の保険料は補償内容や補償金額によって異なります。同じ補償内容・金額でも保険会社によって保険料に違いが出るケースもあるので、加入前に比較検討するといいでしょう。

自転車保険は月200~1,000円ほどで加入できるものがあり、年間では2,500~1,2000円ほどです。補償内容を充実させればさせるほど保険料は高くなります。「これくらいの保険料なら続けられる」と思うものを探しましょう。

傷害保険でも対応できる

傷害保険はケガをした時の治療費を補償する保険です。医療保険と似ていますが、補償範囲が異なります。

医療保険は病気もケガも保障しますが、傷害保険でカバーできるのはケガのみです。補償の範囲が狭いので医療保険より保険料が安く、持病があっても加入を断られません。

また、傷害保険に個人賠償責任保険をセットすることで、相手への損害賠償も補償対象となります。

自転車保険はどこで入れるの?

相手にケガをさせてしまった時に頼りになる自転車保険、それでは、いざ加入したい場合にはどのような場所で、どのように加入すればいいのでしょうか?

自転車保険は他の保険と同様に、パンフレットを取り寄せて電話で加入するもの、インターネットで申し込みができるもの、また手軽なものでは、コンビニで加入できるものもあります。

加入したい時にすぐ申込できるので、自転車保険の必要性を感じている方はすぐにでも探してみてください。

終わりに

いかがでしたでしょうか?もしもの事故に備えるために有効な自転車保険。様々な種類がありますが、それぞれ補償の範囲も金額も違います。まずは資料を請求して、各社の違いを比べてみましょう。保険と共に、安心、快適な自転車ライフをお過ごしください。

※2023年2月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以