自転車保険の必要性とおすすめの選び方
2023年11月1日
自転車保険とは、自転車に乗る人が、交通事故によるケガを補償してもらうために加入する保険のことです。事故にあった時は保険金を受け取れ、加害者となった時は相手への損害を補償してくれます。
日本は現在世界第7位の自転車大国と呼ばれ、日本人1人当たりの自転車の保有台数は、2人につき1台の「0.5台」となっています(※1)。また、自転車による事故は全国で約6万件に上り(※2)、毎年減少傾向にあるものの、自転車事故による死傷者は令和3年で359人(※3)もいました。
そこで今回は、万が一の交通事故に備えるために自転車保険の選び方を紹介しますので、参考にしていただければと思います。
自転車保険をおすすめする理由と自転車保険加入の必要性
自転車保険をご紹介する前に、まずは日本で起きている自転車事故のデータを確認しておきましょう。2020年の自転車事故の発生件数は6万7,673件でした。件数は年々減少していますが、全事故に占める割合は増加傾向にあります。
また、自転車事故による死傷者は令和3年度で359人でした。こちらも年々減少していますが、1日に約0.9人が自転車事故で亡くなっているという計算になります。
小学生に超高額の損害賠償請求
平成25年、神戸地裁で争われた裁判の話です。小学5年生の男子が坂を高速で下っていた際、歩行者の女性に正面衝突事故を起こしてしまいました。被害者の女性は意識が戻らないまま寝たきり状態となり、これを受けて裁判所は損害賠償額約9,500万円を請求した例があります。
この判例は高額な賠償金となったことで有名になりましたが、この事件以外にも数千万円の賠償金を命じられた案件は多々ありました。
自転車事故は場合によって高額な損害賠償金を請求されることがあり、事故はいつ起こるか分かりません。
参照:日本損害保険協会|知っていますか? 自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え(2021年8月版)
多くの自治体で自転車保険の加入を義務化
兵庫県は2015年に自転車保険の義務化しました。「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」には、交通安全ルールの順守やマナーの徹底、運転時のヘルメット着用などが具体的に記載されており、特に注目すべき点は自転車損害賠償保険などの加入義務化です。
これは、自転車事故の損害賠償は高額になるケースがあり、被害者と加害者の負担軽減を目的としています。
その後、兵庫県と同じく義務化する自治体が増えました。努力義務とする自治体や、努力義務から義務化にした自治体もあり、自転車に乗るすべての人が自転車保険について考える必要があるのです。
自転車保険の保険料はお手軽価格
自転車保険に加入したい、またはお住いの自治体が自転車保険を義務化しており加入しなければいけない…。そんな時に気になるのが保険料です。
しかし、自転車保険の保険料は高くても月に1,000円程度で、万が一に高額な損害賠償請求をされた場合でも、この程度の金額であればかなりお手頃な価格と言ってもいいでしょう。
自転車保険が義務化されていない地域にお住いの方も、保険で備えておくと安心です。
自転車保険のおすすめな選び方
では、どういった自転車保険を選べばいいのか、保険選びで損をしないためのポイントを見ていきましょう。
個人賠償責任の金額が大きいこと
保険は自分が事故を起こしてしまった場合に役立つものですので、補償としては1億円〜2億円など、できるだけ金額が高いものを選ぶのがおすすめです。今までの自転車事故では、賠償金が9,500万円になった判例もあります。これくらいの額をカバーできる保険に加入していれば「備えあれば憂いなし」でしょう。
示談交渉サービスや弁護士費用特約があること
被害者側との交渉になった際に、示談交渉サービスや弁護士費用特約があれば、保険会社や弁護士に示談を代行してもらえます。スムーズに交渉できるよう、これらのサービス・特約を付帯しておきましょう。
自転車保険には自賠責保険などもありませんから、明確な基準がないまま当事者同士で争うと着地点が曖昧になりトラブルに発展する可能性が高くなります。そういった場合でも重要性は高いです。
補償範囲は本人だけではなく家族も含める
自転車保険の補償範囲には、自身に加えて配偶者や子供までカバーできるものがあります。自転車保険でカバーできる範囲はどこまでなのかを確認しましょう。
ただ、「家族」の定義が保険会社によってまちまちであるケースがありますから、この辺の確認も重要なポイントです。
自転車保険特有のサービスに何があるのかを確認
例えば、先ほどお話しした弁護士費用特約に加えて、「盗難補償」「修理金一部負担」「自転車ロードサービス」などもあります。
これらのサービスも保険会社によって違いが出てきますので、自分には何が必要なのかを考えて取捨選択していくことが大事ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、自転車保険の必要性や選び方をご紹介させていただきました。自転車保険は多くの保険会社で販売されているので、自分にあったものを選び、事故に備えていただければと思います。
※2023年2月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以