学資保険の返戻率を上げる方法と学資保険を賢く選ぶポイント
2023年11月21日
子供の教育費に備えるための学資保険。
貯蓄性を期待するものですから、最適な保険に入るなら、学資保険を比較して返戻率が高いものを選ぶべきです。
子供1人を大学まで出そうと思うと、公立の学校に通わせるのか、私立の学校に通わせるのかなど、進路によって教育費の金額は大きく違ってきますが、少なくとも1,000万円ほど必要と言われています。
この記事では、学資保険を選ぶ上で最も重要である返戻率について詳しく解説します。
学資保険は子供の教育費に備える保険です。
メリットもありますが、保険料が高い、元本割れするなどのリスクもありますので、加入には十分な検討が必要です。
学資保険の『返戻率』とは
学資保険は、契約時に決めた時期に満期保険金や祝い金の名目で給付金を受け取れる、教育費の確保を目的とした保険です。
しかし、『保険料の支払総額=保険金の受取総額』というわけではありません。
返戻率(へんれいりつ)(戻り率とも言われます。)が関わってきます。
ここでは、学資保険の返戻率について詳しく見てみましょう。
返戻率の算出方法
返戻率とは、満期保険金や祝い金など、受け取れる保険金の総額に対しての支払う保険料総額の割合を言います。
つまり、返戻率が高ければ高いほど、保険金の受取総額は多くなります。
計算式で表すと以下の通りです。
返戻率 =保険金の受取総額 ÷ 保険料の支払総額 × 100 |
例えば、保険料の支払総額が500万円で保険金の受取総額が550万円ならば、その返戻率は110%です。しかし、同じ保険料でも受取総額が490万円ならば返戻率は98%で元本割れ(※)となり、貯蓄を目的とするには向いていない保険商品と言えます。
ただし、返戻率が100%を切り、元本割れする保険商品は、その多くに貯蓄目的以外の様々な保障が付いています。
子供の疾病や傷害への保障を備えたもの、契約者である保護者の死亡等への保障を備えたものなど、教育費の確保に加え、保障に重点をおいた学資保険です(保障型学資保険と言います)。
保険料が保障に充当されるため、教育費の積立を目的とした単純な貯蓄型学資保険よりも返戻率が低くなる傾向にあります。
学資保険のタイプ | 返戻率 | 保障 |
貯蓄型 | 高 | 低 |
保障型 | 低 | 高 |
(※)元本割れとは |
元本割れとは、返戻率が100%を下回り、保険金の受取総額が保険料の支払総額に満たないこと。 |
一般的な学資保険の返戻率の相場
では、一般的に学資保険の返戻率はどれくらいなのでしょうか。
契約者を男性30歳、保険加入時の被保険者の年齢を0歳とした時の返戻率の相場は、保障の内容が充実した保険商品に関しては100%未満、保障があまり充実していない保険商品に関しては100%~110%といったところです。
保障が多くなるほど、返戻率が低くなる傾向にありますが、安心を取るか、貯蓄性を重視するかは保険に加入する人の状況や希望次第でしょう。
学資保険の返戻率を高める方法
返戻率が高ければ高いほどお得なわけですから、できるだけ返戻率が高い保険に入りたいですよね。
ただ、同じ保険商品でも契約内容などによって返戻率は違ってきます。
では、どうすれば返戻率を高くできるのでしょうか?
ここでは、学資保険の返戻率を高める5つのポイントを紹介します。
ポイント1:保険料の支払いはまとめる!
『年払い→半年払い→月払い』の順で支払う保険料の総額は高くなります。
保険料が安くなっても、受け取れる保険金の総額は同じなので、つまり返戻率が高くなるということです。月払いよりも半年払い、半年払いよりも年払いを選択しましょう。
ポイント2:保険料の払込期間は短く!
払込期間を短くすると、一回に支払う保険料の金額はアップするかもしれませんが、総額は安くなることがほとんどです。
例えば同じ契約条件でも払込期間を10歳までにした場合と18歳までにした場合とでは、10歳にしたほうが返戻率が高くなります。
まとまったお金がある方は、最初に一括で払い込んでしまう一括払いを検討してもいいでしょう。
保険料の一括払いは、保険料を安く抑えられるというメリットもありますが、一時的に大きなお金が出て行くため、家計を圧迫してしまいます。
ポイント3:保険金の受取はまとめる!
満期時以外に、小学校、中学校、高校、大学とそれぞれの入学時に祝い金の名目で、複数回に分けて保険金を受け取れる保険商品もあります。
しかし、保険金の受け取りはできるだけまとめて、遅らせたほうが、受け取る保険金の総額がアップします。
ポイント4:保障はシンプルに!
保障がシンプルであればあるほど、返戻率は高くなります。
学資保険には、子供が病気やケガをした時に保障を受けられる「医療特約」や、親が亡くなった場合に年金形式で保険金を受け取れる「育英年金特約」などを付けられる商品もあります。
ただし、これらの特約を付けると元本割れする商品が多いです。
必要性を感じないのであれば特約は付けずに、できるだけシンプルな保障内容の学資保険を選びましょう。
ポイント5:早めに加入する
学資保険は若いうちに加入したほうが返戻率が高くなります。子供が0歳の時に加入する場合と、2歳の時に加入する場合を比較すると前者のほうが返戻率が高いです。
学資保険に加入したいと思ったら早めに商品探しをしましょう。
なお、保険商品によっては子供が生まれる前でも加入できる場合があります。「出産予定日の140日前から」などと決められているので、ぜひ確認してみてください。
補足:クレジットカード払いにする!
返戻率を上げられるわけではありません。ただ、クレジットカードで支払うようにすればポイントが貯まっていくので、理由がなければカード払いにしておくのがお得かと思います。
返戻率以外に学資保険を比較する4つのポイント
学資保険を選ぶ際、返戻率によって受け取れる保険金総額が左右されるので、返戻率はとても重要なポイントです。では、返戻率だけを見て保険商品を選べばいいのでしょうか?
貯蓄型、保障型といったタイプがあるように、商品にはそれぞれ特徴があり、加入する人によっても、学資保険に求める条件は様々だと思います。
したがって、返戻率が高いからその保険商品が全ての人にとって最善とは限りません。
ここでは、返戻率だけにとらわれず、賢く学資保険を選ぶために見るべきポイントを紹介します。
ポイント1:契約内容
給付金の受け取り方法、保護者の万が一の時の保障、支払い方法などの契約内容などは事前に確認し、安心して加入できるかどうかチェックしましょう。
ポイント2:保険料
受け取れる保険料を多くしたいと思うと、やはり払い込む保険料も多くなります。
しかし、教育費の確保のためにと、無理な保険料設定をしてしまうと家計を圧迫します。
その状態が続けば、学資保険の解約を考えなければいけなくなるでしょう。
途中解約すればもちろん給付金は受け取れないですし、解約返戻金はそれまでの払込保険料総額を下回る場合が多いです。
したがって、確実に支払える保険料を設定することが重要です。
学資保険を解約すると
- ・元本割れする
- ・早期解約すると解約返戻金がない場合もある
などのデメリットが発生します。
ポイント3:給付されるタイミング
給付金を受け取れるタイミングは、幼稚園から大学まで、入学のタイミングに合わせて細かく分割して受け取れるものもあれば、大学入学時にまとめて受け取れるものなど、保険商品によって様々です。
受取るタイミングをなるべく遅らせてまとめて受け取る方が、保険会社に預けておく期間が長い分、返戻率が高くなる傾向にはありますが、いくら受け取り総額が多くなっても、必要な時に必要な給付が受けられなければ意味がありません。
どのタイミングで給付を受けたいかをちゃんと把握しておく必要があります。
また、給付されるタイミングは、「大学入学時」や「満○歳」など、おおまかなものではなく、年月日まで把握しておくとなおいいでしょう。
なぜなら、例えば大学入学時に給付金をフル活用したいと思った場合、入学金の支払いは大学入学日よりも前ですので、それに間に合うように給付を受けなければ意味がありません。
お子さんの生年月日と保険の給付のタイミングを詳細に照合しておくことで、間違いなく必要な時に必要な給付を受けられます。
ポイント4:元本割れリスク
学資保険によっては元本割れが起きる保険商品もありますので、自分が何年後に解約すれば元本割れのリスクがなくなるのかも、しっかりと把握しておきましょう。
学資保険は教育資金を準備するための保険ですから、元本割れしてしまっては意味がありません。
商品によっては、初めから元本割れしているケースもあります。
まとめ
学資保険の返戻率について理解してもらえましたでしょうか。
学資保険の返戻率は、商品選択の際の重要なポイントの一つです。紹介した『返戻率を高める方法』を参考に、学資保険を有効活用しましょう。
また、学資保険は返戻率だけで選んではなりません。学資保険を選ぶその他のポイントについても考慮していただき、あなたに最適な学資保険を選ぶようにしてください。
※2023年月時点の情報です
監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以