生命保険の解約返戻金とは|受け取れる額と返戻金の計算方法まとめ

2022年3月13日

解約返戻金(かいやくへんれいきん)は生命保険を解約した時に受け取れるお金のことです。この記事では返戻金の計算方法やいつ、どのくらい受け取れるのかを解説すると主に、返戻金を受け取った際の税金の扱いについてもご紹介していきます。

生命保険に加入する時、みなさんは何を気にしていますか?保障内容、保険料、会社が信頼できるかどうか、気にするポイントはたくさんありますね。みなさんは「解約返戻金」についてどれくらいご存知でしょうか。

解約したら戻ってくるやつ、というイメージはつかんでいるでしょうか。では実際にどれくらい戻ってくるのかをパッと答えることはできますか?答えられる方は少ないのではないでしょうか。

保険契約時、もしかすると解約返戻金は陰が薄いかもしれません。しかし解約時にはとても大きな存在になります。もしも解約することになったらと考えると、解約返戻金のことを無視するわけにはいきませんよね。

今回は解約返戻金とは何か、その仕組みや損をしないコツなどを紹介します。名前だけを見ると難しそうですが、ひとつずつ理解を深めればそう難しくありません。

生命保険における解約返戻金とは

解約返戻金とは、生命保険などの保険を、契約期間中に中途解約した時に戻ってくるお金のことを言います。

解約返戻金の型

解約返戻金には以下の2つの型があります。

従来型

従来型は、通常のように解約返戻金が付いているものです。解約返戻金がどれくらい戻ってくるかは「返戻率」によって異なります。例えば返戻率が70%であれば、払い込んだ保険料の7割が戻ってきます。

返戻率は、保険商品によって違いますから、契約前に必ず確認をするようにしましょう。

低解約返戻金型

低解約返戻金型は、返戻率を従来型の7割程度に抑えることで、月々の支払い保険料を抑えた商品です。保険料払込期間中の解約返戻金は少なく、払込が終了した時点で解約返戻金が増える仕組みになっています。イメージが湧きにくいかもしれませんので以下に例を示します。

【低解約返戻金型終身保険の例】

保険商品:A社の終身保険
契約内容:35歳男性 保険金額1,000万円 60歳で払込終了

月払い保険料:23,180円
保険料払込期間:25年
保険料払込総額:約700万円
払込終了時の解約返戻金:約773万円

上記の契約で保険料を25年間支払い続けると、払込が終了した時点で、解約返戻金の方が払込総額よりも約73万円多くなっています。このまま契約を続ければ解約返戻金の額は増え、被保険者が死亡した場合は死亡保険金の1,000万円が支払われます。

お得に見えますが、同じ保険商品に25年間も保険料を支払い続けるのはそれ相応の覚悟が必要です。もし保険料払込期間中に、より魅力的な商品を見つけたとしても、もったいなくてなかなか乗り換えられないかもしれません。

契約してすぐでもなく、保険料払込終了直前でもなければ苦しい思いをするでしょう。一見お得に見えますが、そういったデメリットも持ち合わせています。

また、上記意外にも「無解約返戻金型」と呼ばれるものもあります。読んで字のごとく、解約返戻金がない保険です。これも、解約返戻金の型と言えばそうなのですが、実質的には掛け捨て型の保険という意味です。

解約が早いほど少なくなる

解約返戻金の金額は、解約するのが早いほど少なくなります。払い込んだ保険料(積み立てられている部分)から解約手数料のようなものが差し引かれるためです。保険会社にとって、費用がかかるのは新規契約をする時です。例えば、資料請求の費用や契約時にかかる人件費(契約手続きなど)が挙げられますね。

契約時にかかった費用を払い込んだ保険料から徐々に回収していき、いずれ全ての費用分を集める仕組みになっています。ですから契約したばかりのタイミングで解約をすると、積み立てに充てられた分から未回収の費用を差し引くことになります。早期に解約すると解約返戻金が少なくなるのはこういった仕組みがあるためです。

解約返戻金は貯蓄の代わりになる

解約返戻金のある生命保険は貯蓄の代わりにもなります。先ほど紹介した低解約返戻金型の生命保険は、保険料を払い込んだ後は解約返戻金が払込総額を上回っていましたよね。

その状態で中途解約をすれば、現金として自分の手元に残ります。貯金をしたのと同じ効果が得られるのです。ただし解約した場合、保障はなくなってしまいますので、保障を残すのと現金にするのとどちらがいいかを検討する必要があります。

いつ支払われる?

さて解約返戻金はいつ支払われるのでしょうか。通常は解約手続き終了後、約1週間で振り込まれるようです。1週間が経過しても振り込まれない場合は問い合わせてみましょう。

解約返戻金のある生命保険・ない生命保険

解約返戻金は、全ての生命保険に付いているわけではありません。付いている生命保険と付いていない生命保険は以下のようになります。

解約返戻金の付いている生命保険

終身保険

終身保険は基本的に長期の加入が前提となります。そのため長期間払い続ければ解約返戻金を貯蓄のように利用することが可能です。しかし特約がたくさん付いている場合は、払い込んだ保険料の積み立て部分が少なくなり、解約返戻金も少なくなる可能性があります。

養老保険

養老保険は「生死混合保険」と言って、被保険者が満期日まで生存していた場合と死亡した場合いずれも保険金(同額)が支払われる保険です。

そのため保障を得ながら貯蓄ができ、老後の資金確保に向いています。養老保険では10年や15年など、ある程度の期間支払いを続けていれば解約をしてもほとんどのお金が戻ってきます。もちろん保険会社によって返戻率は異なりますから、加入前に必ず確認をしましょう。

学資保険

学資保険は子供の養育費を用意するための保険です。学資保険は解約しないことが前提ですから、返戻率は高くなっています。学資保険の場合は解約返戻金を目当てに加入するというよりは満期保険金が目当ての加入がほとんどでしょう。貯蓄が苦手だ、という人向けの保険です。

解約返戻金の付いていない(または少ない)生命保険

定期保険

定期保険は、解約返戻金が全くないか、あってもほとんど戻らないという保険です。保険期間が1年や10年などの一定期間になっているので、定期的に見直ししやすく、乗り換えしやすいというメリットがあります。

保障を得ながら貯蓄をすることはできないため、貯蓄目的ではなく保障重視の方に向いている保険です。

収入保障保険

収入保障保険も基本的に解約返戻金はありません。収入保障保険は万が一の事態に陥った時、保険金をお給料のように毎月または毎年受け取る保険です。

他の保険と異なり、受け取れる保険金の総額は年々減少していきます。これは、死亡・高度障害状態になった時点から満期日までを保障する契約になっているからです。

稀に、収入保障保険でも解約返戻金を積み立てられるものがあります。

収入保障保険について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

受け取れる解約返戻金はいくら?

解約返戻金は、実際にいくら受け取れるのでしょうか?解約返戻金の計算方法と確認方法についてご紹介します。

解約返戻金の計算方法

解約返戻金として受け取れる額は、返戻率で決まります。返戻率は、支払った保険料総額に対して戻ってくるお金の割合を指します。「解約返戻金額÷払込保険料総額×100」で算出可能です。

例えば、払込保険料総額が200万円で返戻率が110%なら解約返戻金は220万円。返戻率が70%なら140万円となります。

解約返戻金の確認方法

自分の契約している保険の解約返戻金がいくらなのか具体的に知りたいときは、加入している保険会社に問い合わせるのが最も早くて簡単な方法です。保険証券に記載されいる番号を伝えると、スムーズに回答してくれます。

なお、個人情報保護の観点から、保険契約に関する照会は契約者本人でないと対応が難しいです。保険契約者本人が問い合わせるようにしてください。

生命保険の解約返戻金で損をしないために気を付けるべきこと

解約返戻金を意識せずに加入をしてしまい、いざ解約をしてみたらほとんど戻ってこなかった!といった事態は避けたいですよね。そうならないためのポイントは以下の4つです。

保険に加入する目的を確認

解約返戻金ばかりに注目していると本来の目的を忘れがちです。生命保険の基本的な役割は「万が一の事態に備えること」です。自分はどういった事態に備えたいのかを今一度考えてみてはいかがでしょうか。

解約返戻金は本当に必要か

保険に入る目的が確認できたら、それを達成するのに解約返戻金が必要かどうかを考えましょう。保障を得ながら貯蓄をしたいのであれば必要かもしれませんね。しかし保障を得ることと貯蓄を分ける方法もあります。

自分にとって解約返戻金が本当に必要かどうかを検討しましょう。解約返戻金を期待するならば、長期の加入が必須です。

加入前に返戻率を確認

解約返戻金が必要だと判断したら、返戻率を確認しましょう。「全然戻ってこなかった!」というのは、返戻率の確認をしていなかったために起こる現象です。確認不足のために損をしてしまいかねません。

あらかじめどれだけ戻ってくるのかを知っていれば、その金額に驚くことはありません。残念な思いをしないためにも、加入前には返戻率をしっかりと確認しましょう。

安易に加入しない

解約返戻金が全然戻ってこなかった、というのは大抵は確認不足が原因だと思われます。もしかしたら、知人や保険会社の言うままに加入してしまった、という方も多いのではないでしょうか。

「若いうちに」「今しかない」といった言葉を安易に信用してはいけません。
中立の立場でアドバイスをしてくれるFPに相談するなどして、自分で数字をきっちりと確認してからの加入をおすすめします。

返戻率を上げるには

解約返戻金をあてにするならば、返戻率を高くしたいですよね。返戻率を高くするには以下の方法があります。

支払期間を短くする

保険料をまとめて支払って支払期間を短くすると、保険料が安くなり、結果として返戻率が上がります。例えば、学資保険であれば払込終了を18歳から10歳にする、月払いではなく半年払いや年払いにする、といった方法があります。

返戻率の高いものを選ぶ

これは当たり前なのですが、同じ保障内容でも保険商品によって返戻率は異なります。同じ保障内容の商品をFPなどにピックアップしてもらうというのもひとつの手段です。その中で、返戻率の高い保険を選びましょう。

低解約返戻金型を利用する

保険料払込期間終了後の返戻率を気にするのであれば、低解約返戻金型の保険がおすすめです。低解約返戻金型は払込期間中の返戻率こそ低めですが、払込を終えたら100%を超えるものがほとんどです。

生命保険の解約返戻金に税金はかかる?

解約返戻金で戻ってきたお金、税金はかかるのでしょうか。また、かかるとしたらどのような税金なのでしょう。

一時所得扱いになる

解約返戻金は、所得税における一時所得として取り扱われます。一時所得とは、営利目的以外の行為から生じた所得のことを言います。保険金は営利目的の営みで得たお金ではありませんから、一時所得です。その他には懸賞や競馬などの賞金、埋蔵物の発見者が受ける報労金などが該当します。

税額の計算方法

一時所得の課税対象となる金額の計算式は以下です。

{解約返戻金 − 払込保険料総額 −50万円(特別控除)}× 1/2

納めるべき税金額は、上記の結果に所得税の税率をかけて計算します。

上の計算式を見ると、解約返戻金と払込保険料総額の差が50万円を超えない場合は税金がかからないことが分かります。利回りのいい保険商品に加入している場合は税金を納める必要があるかもしれません。

生命保険の配当金についても知っておこう

生命保険の商品を見ると「配当」や「無配当」 の文字を見かけたことはありませんか?解約返戻金を勉強するついでに、配当についても学んでおきましょう。

配当金とは

配当金とは、保険契約者に配られるお金のことです。保険会社が保険料を運用した結果、生じた利益を保険契約者に還元する仕組みになっています。保険会社は死亡者数、運用利回り、事業費用の3つを予想して事業に取り組みますが、全てが予定した通りになるとは限りません。

予定よりもお金が余ってしまった場合に、余剰金が配当金として保険契約者に支払われます。この配当金がある保険商品を「有配当」、ない商品を「無配当」と呼びます。

有配当の保険は2種類に分かれる

有配当の保険は以下の2種類に分かれます。

3利源配当タイプ

予定率(死亡者数、運用利回り、事業費用)と実際の率の差を毎年集計し、余剰金があれば配るといった仕組みです。基本的に毎年配当されますが、3年ごとに配当をする保険会社もあります。

利差配当タイプ

予定利率と実際の運用の差を一定年数ごとに集計して、余剰が生じた場合に配当される仕組みです。5年ごとに集計・配当されるものが主流です。

配当金の受け取り方

配当金の受け取り方は4種類あります。

積み立て

配当金をそのまま積み立てておく方法です。契約期間中に引き出しも可能ですが、積み立てておいた場合は利息が付きます。

買増

配当金を一時払い保険料として扱い、保険金を増額したりする方法です。

相殺

配当金と保険料を相殺して月々の負担を軽くすることができます。

現金

配当金を現金で受け取ります。

まとめ

解約返戻金と聞くと難しそうですが、計算はいたって単純なもの。保険会社のサイトで計算結果が見られる場合もありますから、気軽にチェックしてみてはいかがでしょうか。

ただしHPでは簡単なプランしか試算ができない場合がほとんどです。詳細な計算をしたい場合は保険会社に問い合わせることをおすすめします。

大切な数字は、1円単位、1%単位などのように細かく計算することで計画通りにお金を運用することができます。まずは損をしないコツを覚えるところから入ってみてはいかがでしょうか。

※2022年3月時点の情報です