生命保険の告知|告知義務違反にならないために注意すべきポイント

2022年4月21日

保険に加入する際には、保険会社に自身の健康状態などを告知しなければなりません。

告知は義務化されていて、守らない場合保険金を受け取れなくなったり、契約自体を解除されたりする可能性があります。

今、このページを見ている人の中にも、告知について不安に思ったという人がいるのではないでしょうか。

この記事では、生命保険に加入する際に必要である告知の概要と、告知義務違反とならないための注意点を解説します。

生命保険における告知とは

生命保険に加入する際は、被保険者の現在の健康状態や過去の疾病歴などを保険会社に知らせる必要があります。

これは、保険法第37条によって規定されています。

(告知義務)
第三十七条 保険契約者又は被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故(被保険者の死亡又は一定の時点における生存をいう。以下この章において同じ。)の発生の可能性(以下この章において「危険」という。)に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの(第五十五条第一項及び第五十六条第一項において「告知事項」という。)について、事実の告知をしなければならない。
引用:保険法第37条

保険会社は、その告知をもとに、生命保険契約を引き受けるかを判断します。厳格な審査のもとで保険の適用が判断されているのです。

告知の内容と方法

保険会社に対して告知するべき内容は、加入する保険や保険会社によって異なりますが、代表的なものとして以下のような内容が挙げられます。

  • ・直近3ヶ月以内の診療や検査、投薬の有無
  • ・過去5年以内の病気・ケガの有無
  • ・直近2年の健康診断での異常の有無
  • ・身体障がいの有無
  • ・妊娠しているか否か
  • ・がんになった経験の有無
  • ・喫煙者か否か

これらの内容について、正しく告知しなければなりません。なお、質問事項がないものについては、告知する必要はありません。

また、告知の方法に関しても、保険の種類や保険会社によって変わります。以下のものが代表的な例です。

告知の方法 内容
告知書への記載 保険会社が用意した告知書の質問事項について記入し、保険会社に提出します。保険商品や保険会社によっては、告知書と共に健康診断書の提出を求められるケースもあります。
生命保険面接士による診断 生命保険面接士が医師や被保険者と面談し、その場で告知書を記入します。
診察医による診断 保険会社から委託を受けた診察医と面談します。面談の際には診察医の質問に返答しながら告知書に記載を行います。

なぜ告知をする必要があるのか?

なぜ保険会社に告知をする必要があるのでしょうか。理由としては、保険の公平性を保つためです。

例えば、持病があり数年に1回は入院するAさんと、健康体で今まで入院したことがないBさんがいて、同じ医療保険に加入したとします(年齢・性別は同じです)。

この場合、Aさんが医療保障を受ける可能性が高いということはなんとなくイメージできますよね。

同じ保険料を払っているのに、Aさんは保障を受ける確率が高く、Bさんは低い、となると不公平になってしまいます。

そのため、健康状態を告知してもらい、問題のある方に対しては保険加入を断ったり、特定の病気に対して免責(保険金を支払わない)にしたりするのです。

告知義務違反とは

各保険商品にはそれぞれ告知義務がありますが、事実と違う内容を告知することを『告知義務違反』と言います。

告知義務違反をしてしまうと、保険金が支払われない、契約を解除されるなどのデメリットが発生します。

ここでは、告知義務違反について詳しく見てみましょう。

告知義務違反をした際の保険会社の対応

対応1:契約を解除する

故意、もしくは重大な過失をした場合、責任開始日(保障が始まる日)から2年以内の場合、契約が解除されます。

このとき、給付金や保険金は支払われませんが、解約返戻金がある場合には支払われます。

また、この告知義務違反による契約解除の権利には期間が設けられており、

  • ・保険契約から2年以内
  • ・告知義務違反を知った日から1ヶ月以内

でなければ、保険会社からの契約解除は原則できません(悪質な場合は2年経過後でも解除できるケースがあります)。

対応2:契約の取消をする

保険金を目的とした詐欺など、告知義務違反が特に重大な場合には、保険契約自体の取消が行われます。

契約を取消されれば、当然、保険金、さらに解約返戻金は支払われませんし、それまで支払った保険料も戻ってくることはありません。

なお、2年以上保険契約が継続していたとしても契約取消は可能です。

告知義務違反はどのようにして発覚するのか?

告知義務違反が発覚するのは、給付金支払いのときか、同じ保険会社で別の保険に契約するときの2つが考えられます。

病気やケガで給付金が支払われるときには、保険会社は過去に遡って調査を行います。

具体的には、医療機関のカルテ、健康保険の履歴、健康診断の結果などを調査し、告知内容と違いがあった場合に告知義務違反が発覚するのです。

また、同じ保険会社で新たに保険を契約する際にも、再度告知を行います。このとき、以前の告知内容と相違がある場合には告知義務違反が発覚します。

告知義務違反により保険金が支払われない例

例1:死亡保険金の支払い

契約加入前の『慢性C型肝炎』での通院について、正しく告知せず加入し、加入1年後に『慢性C型肝炎』を原因とする『肝がん』で死亡された場合

例2:入院給付金の支払い

契約加入前の「高血圧」での通院について、正しく告知せずに加入し、加入1年後に「高血圧」を原因とする「心筋梗塞」で入院された場合

生命保険の告知をする際の注意点

告知義務違反となれば、契約を解除されるなどのデメリットがある生命保険の告知。では、告知する際にはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

ここで確認しておきましょう。

注意点1:あいまいな表現を避ける

病名やケガの部位、服用履歴などに関しては、正確に情報を記載しなければ、保険会社としてはリスクを判断することが困難になります。

以下の表を例に、病名や服薬履歴に関しては具体的に記載するようにして下さい。

 

あいまいな記載 正確な記載
骨折 左尺骨骨折
ヘルニア 椎間板ヘルニア
血圧を下げる薬を服用 アダラートCR錠を1日20mg服用。期間は2016年6月以降

注意点2:分からないことは担当の営業マンに確認する

自身の健康や通院履歴が、記載すべき内容に該当するか否か判断できない場合には、必ず担当の営業マンに確認しましょう。

前述の通り、仮に自身の判断で必要事項を記載しないと、告知義務違反に該当する可能性も考えられます。

意図せず告知義務違反をしてしまった場合の対処法

ついうっかり、手術の履歴や入院期間などを忘れており、意図せず告知すべき内容が漏れていることもあるでしょう。そのような場合にどのような対処をすれば良いのでしょうか。

そのままであれば告知義務違反に該当する可能性がありますので、直ちに保険会社の担当者に連絡をしてください

保険には『追加告知』という制度があり、契約後でも漏れていた内容を告知した場合には、再度審査が行われ、保険に加入できるか否かなどが判断されます。

通常の保険への加入が難しい場合は引受基準緩和型/限定告知型の保険を検討しよう

持病があって保険加入を断られた方も加入できる保険があります。それが引受基準緩和型/限定告知型の保険です。

引受基準緩和型や限定告知型の保険は、普通の保険よりも加入のハードルが低い保険商品のことを言います。

過去の病歴がある方で保険に加入したい方は、告知義務違反をするのでなく、このような基準の低い引受基準緩和型や限定告知型の保険を検討しましょう。

生命保険-告知についてのQ&A

ここでは多くの方が感じている疑問に回答していきます。

Q1:引受基準緩和型の保険の場合、持病があっても加入できるということは、保険料も通常のものに比べて高額なのでしょうか。

引受基準緩和型は、通常の保険より保険料が高く設定されています。これは、健康体の方より保険金支払いの可能性が高いためです。

健康な方は、通常の保険に加入したほうがお得なので、まずは通常の保険に申し込み、加入を断られた場合に引受基準緩和型の保険を検討しましょう。

Q2:保険のことで専門家に相談したいのですが、相談料は高いのでしょうか。

専門家への相談は、有料と無料、どちらも実施されています。

最近は、無料相談を行っているところも多いので、気軽に相談したい方はぜひ利用してみてください。

ちなみに、保険の相談をするならフィナンシャルプランナーへの相談がおすすめです!

ファイナンシャルプランナー(Financial Planner/FP)とは、相談者から、収支・負債・資産状況などの個人情報の提供を受け、それを基に将来のライフプランニングに合わせた資金の使い方や様々なアドバイスをしてくれる専門家のことです。

彼らは保険や生活についてのアドバイスを仕事にしており、相談者が損をしないためのより良い保険プランや、資金運用方法を提案してくれるはずです。

ただし、相談料を取るところもあるため、事前に調べておきましょう。

まとめ

今回は、生命保険の告知について説明しました。

病歴や健康状態などは、正しく告知しないと告知義務違反となり、給付金を受け取れない場合も発生します。

持病があり、通常の保険加入が難しい場合でも引受基準緩和型/限定告知型の保険なら加入できる可能性があります。

ぜひ加入の際は、告知義務に気を付けてくださいね。

※2022年4月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以