帝王切開には保険が効く!|帝王切開にかかる費用と保険の必要性

2022年7月12日

帝王切開にかかる費用は約40万円〜80万円とも言われていますが、健康保険や民間の医療保険を活用することで出産時の費用をかなり抑えることができます。入院費や通院費の保障も、保険を上手く使えば出産費用を黒字にすることもできるかもしれません。

帝王切開は、自然分娩で子供を産むよりも費用がかかります。

帝王切開が高額になる理由としては『手術費用の加算』と『入院日数の増加』が挙げられますが、健康保険や民間の医療保険でカバーできますので、費用を十分に抑えられるでしょう。

この記事では、帝王切開による出産をお考えの方に向けて『帝王切開の費用はどれくらいになるのか』『帝王切開をする人の割合』帝王切開にかかる費用を抑える方法』について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

自然分娩は病気ではありませんので、公的医療保険は適用されません。

費用は全額自己負担ですが、加入している健康保険から出産育児一時金が支払われるため自己負担額を軽減できます。

また、自然分娩を望んでいても、切迫早産や子宮外妊娠、帝王切開などになる可能性もあります。

もしもの時のために、民間の保険で備えておくと安心です。

以下の記事では、出産に備えた医療保険について詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

自然分娩・帝王切開にかかる費用はどれくらい?

帝王切開にかかる費用は、自然分娩に比べると高額になると言われています。

そこでまず、自然分娩にかかる費用を解説します。

なお、出産方法に関わらず、どの程度費用が発生するかは地域や病院により様々です。

ここで紹介する費用はあくまで目安であることを理解しておいてください。

自然分娩にかかる費用

国民健康保険中央会の調査による、平成28年度の自然分娩にかかる費用は以下の通りとなっています。

正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)
項目 平均値
入院日数 6日
入院料 11万2,726円
室料差額 1万6,580円
分娩料 25万4,180円
新生児管理保育料 5万621円
検査・薬剤料 1万3,124円
処置・手当料 1万4,563円
産科医療補償制度 1万5,881円
その他 2万8,085円
合計負担額 505,759円

参考:正常分娩分の平均的な出産費用について|国民健康保険中央会

平成28年度のデータからは、平均して約50万円かかることが見て取れます。

ただ、どの程度入院するかによっても費用は大きく変わります。

一般的に自然分娩には40万円~80万円程度が必要であると言われています。

帝王切開にかかる費用

自然分娩に比べて費用がかさむことが多い帝王切開。その理由は『手術費用の加算』と『入院日数の増加』です

緊急帝王切開手術の費用は地域や医療機関に関わらず、22万2,000円( 選択帝王切開は20万1,400円。令和2年度診療報酬点数表より)です。

また、帝王切開の場合は入院日数が数日増加する傾向にあり、入院費が1日約1万円としても、帝王切開の場合は10日分で10万円。これは大きな出費です。

その他に、術後の検査、抜糸処置、鎮痛薬など処置や投薬代などがかかります。

帝王切開でかかる費用は約60~100万円程度と言われており、自然分娩よりもおよそ20万円以上費用が必要になると考えればいいでしょう

施設の特徴と費用の違い

出産費用は、出産する施設によって提供できるサービスや医療技術が異なるため、値段が変わってきます。

これは費用が高い順に、総合病院、個人病院、助産所などが選べます。

以下に、それぞれの施設の特徴とかかる費用相場をお伝えします。

施設の種類 費用相場 特徴
総合病院 50万円以上 ・費用は高め
・緊急時に即座に対応できる
・個室を選択可能(別途費用)
個人病院 50万円前後 ・ひとりひとりに合ったきめ細かいサービスが充実
・様々な分娩方法に対応
助産所 45万円前後 ・費用が安い
・アットホームな雰囲気
・帝王切開などの対応ができない

このように、費用だけを見ると、助産所が安く済む傾向にあります。

しかし、帝王切開のリスクや緊急時の対応が心配な方は、医療体制が整った総合病院・個人病院に入院することが無難であると言えるでしょう。

帝王切開では公的医療保険が適用される

出産には大きな出費が必要であることを理解していただけたかと思いますが、実はすべてあなた自身で負担する必要はありません。

なぜなら、帝王切開には公的医療保険が適用されるからです。

具体的な内容としては以下の5つが挙げられます。

  • ・公的医療保険が適用される部分は自己負担が3割になる
  • ・出産育児一時金をもらえる
  • ・高額療養費制度を利用できる
  • ・出産手当金をもらえる
  • ・医療費控除が活用できる

ここでは、それぞれの内容について詳しく見てみましょう。

公的医療保険が適用される部分は自己負担が3割になる

国民健康保険や会社で加入している健康保険では、帝王切開の費用が負担される項目があります。

保険が適応される項目は手術料、投薬料、診察料、入院料などで、これらは医療行為とされているため、自己負担分は3割です。

一方、分娩費や差額ベッド代、食費などは全額自己負担です。

自然分娩には公的医療保険が適用されませんので、すべて自費で負担しなければなりません

出産育児一時金をもらえる

妊娠4カ月以上の方が出産した際に、加入している健康保険から1児につき42万円の一時金を受け取れる制度です。

(ただし、出産した医療機関が産科医療補償制度に加入していない場合は40万8,000円)

なお、出産一時金は自然分娩にも適用されます

出産育児一時金をもらうには、妊娠4カ月以上の出産であるなど、いくつか条件があります。

また、受給方法も『直接支払制度』『受取代理制度』『産後申請方式』の3種類があり、それぞれ申請方法が異なります。

以下の記事では、出産育児一時金について詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

高額療養費制度を利用できる

帝王切開は、公的医療保険が適用されるため、高額療養費制度の対象となります。

高額療養費制度とは、その月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に超えた分のお金が戻ってくる制度です。

自己負担限度額は年齢や所得に応じて決定されます。70歳未満の場合は、以下の表の通りです。

<td\>3万5,400円

年収 月単位の上限額
住民税非課税の人
年収約370万円以下 5万7,600円
年収約370-770万円 8万100円+(医療費-26万7,000円)x1%
年収約770-1,160万円 16万7,400円+(医療費-55万8,000円)x1%
年収約1,160万円以上 25万2,600円+(医療費-84万2,000円)x1%

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

出産手当金をもらえる

出産手当金は、会社員の女性が出産のために仕事を休んだ際に受け取れる手当です。

産前42日、産後56日までで、会社から給与の支払いがなかった場合に、給与の補助として健康保険から支給されます。

支給額は標準報酬日額の2/3相当額で、休んだ日数分受け取れます

医療費控除が活用できる

医療費控除とは、1年間で一世帯の医療費の支払いが10万円以上になった場合に受けられる控除です。確定申告で税務署に申請すると、お金が戻ってくるケースがあります。

妊娠の確定診断を受けてからの定期検診代や、通院のための交通費、分娩や入院の費用などは全て医療費控除の対象となるため、領収書は保管しておきましょう。

増加する帝王切開率から見る保険の必要性

厚生労働省のデータによると、帝王切開で出産する人の割合は全体の24.8%です。分娩件数は減少していますが、帝王切開手術の割合は増加しています。

これは、ほぼ4人に1人となる確率です


(出典:平成28年度我が国の保健統計/2.医療施設の動向

帝王切開が増えたのは、医療技術の発達により安全に帝王切開ができるようになったためや、赤ちゃんの健康を考慮して帝王切開を選ぶ人が増えた、などの要因が考えられます。

自然分娩を望んでいても、母体や赤ちゃんの容態によって帝王切開を選ばなければいけないケースもあります。

帝王切開になるケース

帝王切開を選ばなければいけないケースとは、どのような場合なのでしょうか?

帝王切開には、あらかじめ計画して行う『予定帝王切開』と、出産中のトラブルで自然分娩から切り替える『緊急帝王切開』の2つのパターンがあります。以下にその例を挙げていきます。

◯予定帝王切開になるケース

・逆子
・多胎妊娠
・以前も帝王切開だった場合
・前置胎盤(胎盤が子宮の出口をふさいでいる)
・児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭が大きい) など

◯緊急帝王切開になるケース

・出産に時間がかかりすぎる場合
・胎児機能不全
・妊娠高血圧症候群
・微弱陣痛 など

このうち、後者の「緊急帝王切開」が急遽帝王切開を選ばなければいけなくなるケースです。

予定帝王切開になる場合は、あらかじめ手術に向けた準備ができます。

一方、自然分娩を予定していたのに、急に帝王切開になった場合は、慌ててしまうかもしれません。

帝王切開には民間の医療保険で備えよう

帝王切開は公的医療保険が適用となるため、自然分娩より費用がかかると言ってもそこまで高額な負担はありません。場合によっては、保険適用されない自然分娩より安くなるケースもあります。

ただ、入院日数が伸びたり、様々な処置を受けることで医療費がかさむことも考えられます。大部屋より個室を選択したい方は、差額ベッド代も日数分が必要です。

安心して出産したい方は、民間の医療保険で備えましょう。民間の医療保険は、保険適用されない自然分娩は原則給付金対象とはなりません。一方、帝王切開などの異常分娩は保険適用となるため、入院給付金や手術給付金などを受け取れます。

帝王切開による出産費用を医療保険で抑える場合

帝王切開で保険金をもらうには?

実際に保険に加入する時には、どのような保険を選べばいいのでしょうか?

実は帝王切開専用の保険、というものはほとんどなく、生命保険に医療保障を付帯させるか、医療保険に加入するかの二択です。

生命保険の医療保障特約や医療保険では、入院費だけではなく通院・手術などを保障するものもあります。それでは、生命保険と医療保険では、どちらに加入すればいいのでしょうか?

入るべきは生命保険?医療保険?

ふたつの保険の違いを説明すると、被保険者の死亡時に保険金が支払われるのが「生命保険」、被保険者の治療時に保障を受けられるのが「医療保険」です。

通常、生命保険には入院・通院・手術費の保障がありませんが、医療保障の特約を付帯すると帝王切開などで治療を受けた際に保険金を受け取れます。

医療保険は、保険適用となる様々な病気やケガを保障します。保険期間が一定期間となる定期型の医療保険に加入すれば、必要な期間だけ保険に加入でき、保険料も安く抑えられます。

そのため、帝王切開に備えるなら生命保険よりも医療保険です。

通常、病気やケガはいつ起こるか分かりません。しかし、妊娠・出産はあらかじめ予定を立てられるので、子供を持ちたい方は計画的に保険を利用しましょう。

妊娠・出産を機に、

  • 子宮がんや子宮筋腫が心配などの理由で長期的に保障を受けたい
  • 加入済みの生命保険や医療保険の見直しをしたい など

上記のようなニーズのある方は、終身型の医療保険など長期で保障を受けられる保険に入り直すのもおすすめです。

どちらの保険も、帝王切開だけでなく、様々な病気やケガの治療を保障してくれるため、この機会に保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか?

保険に入るタイミング

保険に加入した方が安心なのは分かったけれど、加入のタイミングはいつにしたらいいのでしょうか?妊娠後でも保険には加入できるのでしょうか?

保険会社によりますが、ほとんどが妊娠27週目まで加入できます。つまり、妊娠しても妊娠後期でなければ加入できる可能性は高いのです。

ただ、一点注意すべきなのは、妊娠中に加入すると「特定部位の不担保」という条件付きになることがほとんどで、妊娠・出産に関する保障に制限がかかることがあります。妊娠中は以下のようなものが「特定部位の不担保」に含まれます。

・帝王切開
・切迫早産
・切迫流産
・子宮頸管無力症
・吸引分娩
・早期破水
・子宮外妊娠
・前置胎盤
・妊娠中毒症など

要約すると、妊娠中に加入すると、加入自体はできるものの「妊娠・出産を原因とする疾病」には給付金が出ません。

妊娠前に保険に加入するとこの条件は付かないため、出産に備えて保険に加入する際は妊娠前がおすすめです。妊娠後に慌てて加入しようと思っても保障を受けるのは難しくなります。早め早めに加入を検討しましょう。

帝王切開2回目は給付金が出ない?

過去に帝王切開で出産し、これから医療保険に加入する場合、妊娠・出産に関しては「特定部位の不担保」の条件が付く恐れがあります。せっかく帝王切開に備えて妊娠前に保険に入ろうと思っても、帝王切開経験者は制限が付いてしまうのです。

保険会社や商品によっては、帝王切開後5年経過していれば条件が付かないこともあります。

これは、保険に加入する際、だいたい過去5年の手術歴を聞かれることが多いのですが、所定の年数を経過しているものについては告知義務がないためです。

帝王切開は一度してしまうと、その後の出産も帝王切開が推奨されます。

すでに加入していて、再び出産を希望している場合は、継続加入がおすすめです。

保険でもらえる費用とそうでない費用

生命保険の医療保障特約や、医療保険で保障されるのは、基本的に入院や手術費です。

通院費が保障される保険もありますが、保険料が少々割高になっています。

また、検診費や検診に向かう際の交通費などは保障されない保険がほとんどです。

通院費が保障されるかどうかは大きな違いとなるため、加入の際には注意して選びましょう。

最後に

妊娠・出産には多くの費用が必要ですが、きちんと公的医療保険や民間保険の仕組みを理解したうえで望めば、負担する費用は少なくなります。

出産の後も、養育費や学費など、子供を育てるにはお金がかかるものです。

様々な制度や保険を利用して、節約できるところは節約していきましょう。

その中でも保険は有効な手段です。4~5人に1人が帝王切開となる今、まずは資料請求から保険を検討してみませんか?

帝王切開だけではなく、女性特有の病気に備えたいという方は以下の記事を参考にしてください。

医療保険に、女性特有の疾病に対して手厚い保障をセットした商品を『女性保険』と呼びます。

独身・結婚・出産後など、ライフステージの変化によって加入すべき保険は変わります。

※2022年7月時点の情報です

監修:ファイナンシャルプランニング技能士 垣内結以