外貨建て保険とは|外貨建て保険のメリット・デメリット

2022年7月17日

外貨建て保険(がいかだてほけん)とは、保険料が外貨(主に米ドル・ユーロ・豪ドル)で運用され、保険料の払い込み・保険金の受け取りが外貨で行われる保険です(一部日本円で払い込みと受け取りができる契約もあります)。

保険と言うと、もしもの時のために加入するものですが、貯蓄目的で加入する人も少なくありません。外貨建て保険に加入していると「リスクを分散できるのではないか」「投資効果もあるのではないか」と、考えている方もいるでしょう。

そこで今回は、外貨建て保険の加入を考えている方や、保険会社や代理店に外貨建て保険をすすめられた方に向けて、外貨建て保険についての解説を行っていきます。

外貨建て保険とは?

冒頭でもお伝えしましたが、外貨建て保険とは、保険料が外貨で運用される保険のことです(主に生命保険)。外貨建て保険で運用される外貨は、米ドル・ユーロ・豪ドルが主になります。

保障の仕組みは通常の保険と変わらない

外貨建て保険は、通常の日本円で加入する保険と保障の仕組みに関して違いはありません。もしもの時(死亡時)や満期時には、保険金を受け取れます。

また、種類こそは少ないものの、終身保険や養老保険(主に貯蓄性が高い積み立て型)など、複数の種類から選ぶことが可能です。

保険料・保険金が為替に影響される

外貨建て保険の大きな特徴は、運用が外貨でされることです。このことにより、月ごと(年ごと)に支払う保険料や、受け取る保険金が為替の影響を大きく受けます。以下で例を挙げてみましょう。

保険料が変動する

保険料が外貨で決まる契約と、円で決まる契約があります。例えば、「月の保険料が100ドル」のように、外貨で保険料が決まる契約に加入した場合を考えてみましょう。

1米ドル=100円の時は、円換算で月額1万円の保険料を支払うことになります。しかし、その後日本の景気回復などで円の価値が上がり円高で1米ドル=90円になったとします。

すると、円換算で月9,000円の保険料で済みます。一方、日本の景気悪化などで円安になり、1米ドル=110円となると、月1万1,000円の保険料を払い込むことになるのです。

契約時 円高ドル安 円安ドル高
為替レート(1米ドルあたり) 100円 90円 110円
円換算の保険金 1万円 9000円 1万1,000円

次に、日本円で保険料が決まる契約の場合を考えてみましょう。例えば月額1万円の保険に加入すると、支払う額は一律なので家計管理しやすいですが、為替相場によって運用できる額に差が生じます。

1米ドル=100円の時は100ドル運用できますが、1米ドル=110円の時は90.90ドルしか運用できません。

為替の変動が気になる方は、年払いや月払いではなく全期間の保険料を一度に支払う一時払いを検討してもいいでしょう。ただし、一括で支払う分、為替相場のタイミングをよく見て加入を検討する必要があります。

受け取る保険金には為替リスクがある

円高になると、外貨で保険料が決まるタイプは実質の保険料が安くなります。一方、日本円で保険料が決まるタイプは、ずっと同じ保険料でも、より多くの額を外貨で運用できます。

しかし、そのまま円高が続けばいいというものではありません。保有している保険の価値は外貨によって決まるので、外貨の価値が下がれば下がるほど受け取る保険金が下がります。

上記の契約で、死亡時の保険金を10万ドルにしていたとします。1米ドル=100円の時は、円換算で1,000万円の保険金を受け取ることになります。しかし、その後円高が続き、米ドルの価値が下がり1米ドル=90円で保険金を受け取ると、日本円で900万円の価値しかありません。

対して、円安になり米ドルの価値が上がって1米ドル=110円になると、保険金は日本円で1,100万円となり、受け取る額が増えるのです。

契約時 円高ドル安 円安ドル高
為替レート(1米ドルあたり) 100円 90円 110円
円換算の保険金 1,000万円 900万円 1,100万円

死亡保険金を受け取るタイミングは自分で決められませんが、途中解約をする場合は、為替によって日本円での解約返戻金の額が大きく変わるため、慎重になる必要があります。

外貨建て保険のメリット

このような外貨建て保険ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずは外貨建て保険のメリットからご説明していきます。

日本円より高い金利で運用でき、貯蓄性に優れている

日本は世界的に見ても金利が低いと言えます。保険に限らず日本円で預金をしていても金利による恩恵は全くと言っていいほど期待できないでしょう。しかし、外貨には金利による恩恵が幾分か期待できます。

例えば、日本国内の銀行の定期預金金利は、ネット銀行を利用しても、良くて年利0.2%です。大手金融機関では0.02%もあります。

年利0.2%の場合、100万円預けていたとしても年間2,000円しか増えません。一方、オーストラリアは金利が高めなので、年利1.5%で運用できるとしましょう。

100万円預けたら、年間1万5,000円増えることになります。仮に10年預けていたとすれば、日本:2万円と、豪州:15万円の差になります。1年間の保険料くらいは賄えてしまいそうですね。このように、外貨で運用することで金利の恩恵を受けられるメリットがあります。

資産を外貨建てで分散できる

特に資産の多い方は、資産を日本円だけで持ち続けることはリスクのあることだと言えます。リスク分散のために外貨建て保険を始めてみるのもいいでしょう。

例えば、日本の景気が悪くなり、円の価値が下がってしまった時のことを考えてみてください。海外に行かなければ関係ないと考えているかもしれませんが、海外から輸入されたものは価格が高騰します。同じものを買おうと思っても支払う金額が増えているので、その分資産が減ってしまうことを意味するのです。

そんな時に資産の一部を外貨で保有していれば、円安になっても外貨で保有していた資産は目減りしません。資産をある程度持っている方は、全てを日本円で持つのではなく、一部外貨で持っていたほうが安心です。

予定利率が高く、保険料が安くなる

外貨建て保険は予定利率が高いことも特徴で、このことにより保険料が安くなるというメリットがあります。

予定利率とは、簡単に説明すると運用利回りのことで、高ければ高いほどお得だと言われています。予定利率が高いと保険料は下がる傾向にあり、予定利率が低いと保険料が上がってしまいます。保険は主に国債で運用されますが、アメリカは日本より国債利回りが高いため、外貨建て保険の予定利率を高く設定できるのです。

円安になれば為替差益が発生

上記でお伝えした通り、外貨建て保険は為替の動きに大きく影響されます。保険金や解約返戻金を受け取る時に円安だった場合、為替差益によってより大きな金額を受け取ることが可能です。

外貨建て保険のデメリット

一方で、外貨建て保険にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

円高になれば受取金が減る

メリットとは反対で、保険金や解約返戻金を受け取る時に円高だった場合、為替差損となる可能性があります。受取額が払込保険料総額を下回り、元本割れを起こすかもしれないのです。

外貨建て保険に限りませんが、外貨を持つことはこのような為替リスクを念頭に置いておかなくてはなりません。

為替手数料がかかる

外貨から日本円に両替する時(逆も同じです)に、為替手数料が発生します。外貨建て保険では、手数料のことも想定していなければなりません。為替手数料は保険会社が負担してくれるのではなく、契約者が負担することになります。

為替手数料は「1ドルにつき○円」と決められており、1米ドルで1円の手数料を取る金融機関が多いです。

例として、受け取った保険金10万ドルを日本円1,000万円に両替したとしましょう。そうすると、10万円が為替手数料となります。保険金は高額になるため、この為替手数料が発生することはデメリットと言えます。

受け取る金額が予想しにくい・分かりにくい

外貨建て保険には為替リスクがあることから、将来受け取る保険金や支払う保険料などが予測しにくい部分もあります。特に受け取る保険金は額が大きくなるため、いくつかのパターンを想定して将来のプランニングを立てるといいでしょう。

また、外貨投資経験のない方は、「円高」「円安」「円相場」など聞いてもピンとこないかもしれません。イメージができていないうちに、保険会社の人にいいように言われ、簡単に契約をしてしまわないように注意が必要です。

外貨建て保険が向いている人

それでは、外貨建て保険はどのような方に向いているのでしょうか。

外貨預金・分散投資を考えている方

外貨預金・分散投資を考えている方は、その一環として外貨建て保険に加入してみるのもいいでしょう。ただ、忘れないでほしいのは、外貨建て保険はあくまでも保険商品です。

すでに十分な保険に加入していたり、そもそも保険の必要性を感じていない人は、他の外貨預金や投資などの方法を取りましょう。保険の加入を考えていて、さらに外貨預金や分散投資も検討している方には外貨建て保険がおすすめです。

保険に投資・貯蓄的要素を求めている方

保険加入の目的はおおよそが保障を受けるためです。しかし、少しでも保険に投資・貯蓄的要素を求めている方は、メリットでもお伝えしたように外貨建て保険を考えてみてもいいでしょう。

お伝えしたように外貨建て保険は為替リスクが伴う保険商品です。それらリスクを承知したうえで加入を検討してください。

まとめ

いかがでしょうか。保険の選択肢として、外貨建て保険に加入してみるのもありです。しかし、保険の種類は外貨・日本円問わず、様々な種類があります。保険のことでお悩みでしたら、資産運用も含めてFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみると安心です。